見出し画像

【小説】鳥かごの外は。。。#6

アキラは朝が待ち遠しかった。

とても新鮮な気持ちでメールを打つことができるし、朝を快適に迎えることができる。なにより。。。乾いていた毎日に張りが出る。
お互いの子供の年も似ているので、会話も合う。
お互いの子育ての悩み、パートナーへの悩み、それ以外にもいろいろ。

それも新鮮なことだった。他の家庭の問題などは聞いたこともない。
ましてや異性から相談をされるなんて経験がなかった。
それだけでも特別感があり、アキラは高揚した気持ちを抑えられなくなっていた。
それは相手も同じことだった。
話をしたい異性が、旦那以外にできるとは思っていなかった。

相手は綾子と名乗った。親しみを込めて「アヤ」と呼ぶことにした。
名前からして年代がアキラより上なのがわかる。
聞けば5つも上であることがわかった。でもそんなことはアキラは問題にはならなかった。

アヤのことがもっと知りたいと思うようになっていった。
とても穏やかで言葉遣い、話すテンポ、絵文字などに性格や、品の良さが出ていた。

どうしてこんな人が、家庭の外で恋を?という疑問も出てきた。

アヤはアヤで家庭の問題が色々とあった。
旦那は問題があるわけではないが、一人家に籠ってしまってワンオペ育児をしているが、旦那は相談にも乗らず、アヤが一人で負担を背負っていた。

旦那が優しくないわけではない。ただ、それぞれが個別の世界を持っているような感覚。。。
相手にされていない感覚などもあり、夜の営みもなくなっていた。
要するに家庭内別居に近いことになっていた。

アヤがまだ女性として愛されたいというのが無意識にあったのだろう。
そんな時、SNSやネットに逃げ込んだときに、たまたま琴線にふれたのがアキラだった。
だから積極的に婚外をしようとは思っていなかった。

アキラのことも実は実際にリアルでどうかなるとは思っていなかった。

アキラのプロフ、ブログを読む限り、とんでもない遠距離だから、リアルではなくバーチャルの世界で完結する、いわゆる「ネット彼氏」で完結するはずだと思っていた。

それが。。。アヤは自分でもアキラに惹かれ、心底好きになってしまった。それだけに戸惑いもあったが、気持ちが抑えられなかった。

毎朝届くラブレター。。。
これがアヤの心に深く届き、とても温かい気持ちになった。
実はそういう熱い気持ちにさせてくれる男性と付き合ったことがなかった。

こんな人がいるなんて。。。

アヤもまたアキラにハマっていくことになる。
会話をすればするほど、お互いが惹かれていった。

「どんな人なんだろう」

お互いがそう思ってしまった。
この時点でバーチャルではなく、リアルになっていってしまうことなど、アキラもアヤも、想像できていなかった。

どちらからともなく、写真の交換をすることになった。

これで更に深みにはまっていく。。。
どんな写真を交換するかによって、気持ちのスピードが増していくか否かが決まるからだ。

お互い欲求不満があったのだろう。
自然と性的な話になった。

ここから先は

727字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?