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NARUTOは努力、孤独、承認の物語である


ジャンプ漫画のキーワードは友情努力勝利であると言われる。実際、バトル漫画のBLEACHでは一護の友情、努力、勝利の流れが確立されている。もちろんNARUTOからもそのように読み取ることができる。

ナルトの努力はサスケを取り戻したいという友情がベースでその先に待ち受ける敵を破りサスケに近づく。サスケを取り戻すことを自己実現したとき、勝利とも言える。

ただ、もっと新しい見方があるのではないか。ナルトという物語に適したキーワードは何かと考えたとき、努力、孤独、承認という結論を得た。

多くの人の命を奪った里の化け物が封印されている主人公のナルトは、里で認めてくれる人がおらず、誰もが白い目で見ていた。町を歩けば噂話をされ、後ろ指を指された。まさに少年時代の彼はひとりぼっちで過ごした。

里をまとめる3代目火影はナルトを取り巻く大人たちを評した。

人間が他人を嫌い、その存在を認めないとき…その存在を見る人間の目は恐ろしいほど冷たくなるのじゃよ(第1巻 第2話 猿飛ヒルゼン)

ナルトの身体には、九尾という恐ろしい化け物が封印されている。また封印は解けてしまうかもしれない。そうなったら里の人間は再び命の危機に晒される。まだ、九尾の犠牲者遺族は残っており、悲しみは癒えていない。記憶も残ったまま。だからこそ里の大人は彼を恐れ、疎外した。

ナルトが孤独になっても誰も構わない。その存在を誰も受け入れない。ナルトの幼少期はここから始まる。ただ、孤独を経験したのはナルトだけではない。恩師であるカカシやライバルであるサスケ、我愛羅をはじめとする多くの登場人物それぞれも当てはまる。

孤独の克服は同じ痛みを持つ人による承認である。アカデミーの恩師であるイルカは九尾の犠牲者孤児であった。孤独による寂しさからイタズラを繰り返した。今では立派な先生だが、同じ痛みを持つナルトを見守っていた。

試験でナルトが不完全な術を見せ、不合格をつけてきた。ナルトからの誤解もあったが、ミズキとの戦闘の際、努力の跡を見ていたことをナルトに明かす。里の大人が見ていた九尾という化け物ではなく、里を守る使命を持つ忍として。

孤独という同じ痛みがあっても、努力がなければ受け入れられたかは分からない。ただ、『孤独』を理解し、『努力』を見てくれたからこそその先の『承認』がある。努力からも成長できるし、承認されれば孤独からも成長できる。

NARUTOの物語は勝利で締め括られている。だが、勝利もキーワードだが、承認だって鍵のはず。そんなことを考え、今日は手を止めたい。

読んでくださり、ありがとうございました。


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