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洋書「Wonder」は難しい

英検2級またはTOEIC600点超えの英語学習者に対して、R.J. Palacioの「Wonder」を勧めている人がいました。これは人気があって映画化もされている良書です。でも、英検2級やTOEIC600点程度の人には難しすぎて、挫折する可能性が高いと思います。その理由は

総語数が73,053語もある。
TOEIC Reading Sectionは、およそ6000語で構成されています。ですから、洋書Wonderは、TOEIC Reading模試の12回分です。毎日1模試を12日間続けるという課題は、600点を超えたばかりの学習者がすることではありません。TOEIC900点以上を目指しているツワモノが取り組む苦行です(笑)。

語彙レベルがやや高い。
RENAISSANCE社が毎年発行している「What Kids Are Reading」の2022年版において、WonderはGrade 4の児童が読んだ人気本の7位にランクされています。英語を母語とするアメリカの10歳児の語彙力がどの程度か想像してみてください。無理して読めないこともありませんが、TOEIC600点を超えたばかりの日本人には、やや厳しいでしょう。

Wonderは児童書の中でも比較的読みやすい本だと思いますが、英語を母語とする児童(Middle Grades, MG 4-8)を想定読者にしています。並みの日本人には手強いです。

英語を外国語として学んでいる日本の英語学習者には、graded readersをお勧めします。グレーデッド・リーダー(段階別読み物)は、文法や語彙の難易度によって7段階くらいにレベル設定されており、自分の英語力に合ったレベルの本を選べば、挫折せず読書を楽しむことが可能です。英語多読にはぜひ、グレイディッド・リーダーを検討してみてください。


Penguin Readers Level 3の「Wonder」は、英語学習者のために原作をやさしく書き直した本で、総語数は9,146語です。これなら、英検2級程度の人でも読了できるでしょう。アマゾンカスタマーレビューの一部を引用すると

それを簡略化してしまっては魅力が落ちるのではと、いささか疑念をもって読み始めましたが、ぐいぐいと引き込まれ

まず、「本当にやさしい」本を1冊読了して自己効力感を高めましょう。原作に挑戦するのは、もっともっと後で良いと思います。Graded ReadersのStage/Level 6の本を10冊ほど読んで、それでは物足りないと思ったら、英語話者向けのauthentic materialを選んでみてはいかがでしょうか。

『Wonder 用語集』
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