メッキ

「本物」になりたい。

「リアル or フェイク？」と聞かれれば僕は迷わず、フェイクです。と答える。
言ってみれば金になりたいメッキだ。どんなに本物のフリをしてもきっと本物にはなれないのだろう。少年がプロ野球選手にはなれないと気づいてしまうアレにどこか似ている。

ところで僕は普段、医療従事者として病院で働いている。そこにはもちろん医者がたくさんいる。先生の中には3浪、4浪しているなんてザラにいる。多くは医者の子だ。生まれてから医者になることを決定づけられている人も多い。諦めることを許されないのだ。きっと大変な努力であっただろう。もがいた彼らをとても尊敬している。本物だ。

僕の人生の目標はとてもふんわりしていて「幸せに暮らしたい」というものだが、できるだけもがいてみようと思って今も文章を書いている。
きっと油断すれば今にでもメッキがはがれてサビが見えてしまうだろう。そんな時は家族、友達との思い出にすがって、できれば会って話してメッキを塗り直して生きていこうと思う。大好きなシュークリームに頼るのもいい。

自分なりの精一杯をして、時には必死で逃げて不器用に「本物みたいなメッキ」を演じていこうと思う。