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#80 この声をきみに(2017)-堅物准教授のコミュ力を改善した朗読の力

U-NEXT紹介文

穂波孝は偏屈な数学科の准教授。話すことが苦手な彼に愛想を尽かした妻・奈緒は、子供と一緒に出て行ってしまう。高校生向けの公開授業でサービス精神のかけらもない講義をした孝は、話し方教室へ行くように命じられ、そこで講師の江崎京子と口論になるが…。

ということで

朗読をカギに、穂波孝(竹野内豊)と江崎京子(麻生久美子)の関係が揺れ動いたり、穂波孝と別居中の家族との距離が縮まったりしながら、堅物准教授のコミュ力が少しずつ改善されていく物語です。朗読サークルは、柴田恭兵杉本哲太片桐はいり堀内敬子大原櫻子趣里など、個性的な面々で構成されており、堅物准教授を優しく受け入れる懐の深い集団です。

ドラマの柱は朗読のネタ本

第1話から、生きる(谷川俊太郎)、くじらぐも(中川李枝子)、恋のわらべ歌(寺山修司)の3本が紹介され、最終回では11本もの作品が朗読されます。私が気に入っているのは、第2話の『おてがみ』です。小学校の教科書でも扱われている素敵なお話です。ガマくんとかえるくんの友情に焦点が当たりがちですが、私は、かえるくんがガマくんに宛てた手紙を郵便配達業者のかたつむりに託したところが大好きです。配達を待つ時間が長引くため、二匹がずっと会話しながら待ち続けるシーンにジーンときました。

かたつむりに助演男優賞を!

そう来たか!

第7話では、窮地に陥った京子(麻生久美子)を救うため、孝(竹野内豊)が勇気を振り絞って声をかけるシーンがあります。そこで朗読されるのが『HERO』(ミスチル・桜井和寿)です。歌詞を朗読されたため、認識するのに時間がかかりましたが、あのシーンにピッタリの表現でした。

最終回は朗読の嵐

最終回は、サークルによる朗読のパフォーマンスがメインとなりました。一作一作に主張があり、メンバー同士や孝の家族の関係が修復されていく過程が繊細に描かれています。コンサート終了後、孝と娘・息子は満足げな表情で頬を寄せ合います。親子のコミュニケーションが取り戻されたシーンに感動しました。朗読に挑戦してみようかなと思わせる名作でした。もちろん、挑戦しませんでしたが(笑)

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