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#145 ハゲタカ(2007)-失われた10年を問い直すファンドと銀行の攻防

NHK紹介文

バブル崩壊後、瀕死の日本経済を舞台に荒稼ぎした外資ファンド・ハゲタカ。 敏腕ファンドマネージャーとして、次々と企業を買収し「ハゲタカ」と呼ばれる鷲津と、鷲津に正面から戦いを挑むエリート銀行マン芝野。 2人のせめぎ合いを通し、企業買収の功罪、金に躍らされる人間の悲劇、会社の意味を浮き彫りにする。

あのころ日本の企業はきつかった

バブル崩壊やリーマンショックの影で翻弄される日本企業の苦しさを想起させるには十分すぎる暗いドラマでした。しかしながら、次々と企業買収を行うことで不評や恨みを買うも、その裏で、買収された側に生き残る道を用意しているファンドマネージャー・鷲津(大森南朋)、そして、企業を救うための融資を続けることで、もと部下の鷲津とぶつかる銀行マン・柴野(柴田恭兵)の攻防、そして、ふたりの利害を一致させ、弱大した日本の企業を外資系ファンドから守る目まぐるしい展開に惹かれました。

宿命のライバル、鷲津(右)と柴野(左)

天才役者・大森南朋

大森南朋さんと言えば、舞踏家であり演出家でもある麿赤兒(まろあかじ)さんのDNAを引き継ぐ才能豊かな俳優として知られています。このドラマでは、喜怒哀楽を一切見せず、冷酷無比に買収を続ける鷲津を見事に演じられています。優しさを見せるのはほんの一瞬で、登場する時間のほぼすべてにおいて、感情を押し殺したロボットのような存在となっています。まさに、日本企業を食い物にする外資系ファンドを体現するアイコンでした。

麿さん(ハヤブサ消防団の和尚さん)

急展開の終盤

60分×6話の構成ですが、最後の2話の展開が凄かった!5話の最後に、自殺しようとしたライバル西野(松田龍平)の誤射に遭い、生死の境をさまよいつつ、気力で意識を取り戻し、懸命なリハビリと同時に芝野との極秘の交渉を成立させ、かつて所属していた外資系ファンドをねじ伏せる鷲津。ドキドキハラハラの最終回はあっという間の60分でした。

基本的にずっとこんな感じ(インテリやくざ的)

このドラマが日本にもたらした概念

当時、タブー視されていた企業買収に関する数々の専門用語を日本に広めた点でも、このドラマの価値は大きいと思います。下記はその例です。
バルクセール        保有債券のまとめ売り
・ゴールデン・パラシュート  高額な対植菌
・プロキシ―ファイト     株主委任状争奪戦
・ホワイトナイト       友好的な買収者
・TBO               株式公開買い付け
・EBO                雇用者による企業買収

まさかの民放リメイク編(2018)

企業への忖度のないNHKだからこそ成功した作品を民放でリメイクするのは難しいと感じました。買収に伴う悲壮感を漂させることへの制約はもちろんのこと、鷲津(綾野剛)の前髪に違和感を覚えました。

なぜその前髪なのか?



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