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二十五、二十一_個人考察Labo#O

【期待させるから…?脚本と演出について考える】
原題:스물다섯 스물하나
邦題:二十五、二十一
英題:Twenty-Five Twenty-One
放送局:tvN

以下、ネタバレありです。

はじめに

韓ドラ!1998年、IMF、青春もの!恋、友情、スポーツ!コロナ禍。。。いろんな要素でいろんな角度から語りつくせるこのドラマ。様々な結末を予想したが、最終回はあくまでも青春。青春時代の一瞬の輝きが永遠の力になる。私自身、このドラマのテーマは一貫してこれだったことに気づいていたような、見失っていたような、認めたくなかったような本当にいい作品だったからこそこの感情の原因はどこにあるのか考えてみる。

本論

伝説のグリーンライトのシーンから演出について考える
相手に好意があることを意味する緑色のライトに包まれた夜の練習場。

この世で変わらないと信じているものは重力だけ。それ以外に何も信じていない。信じる心にはそうなってほしいという期待が含まれているから…と話していたイジンが自ら緑色のライトをつける。するとヒドも緑色のライトをつけ返して…
ヒド 「なぜあなたは私を応援するの?」 
イジン 「期待させるから。だから欲がでる。」
『二十五、二十一』4話より

ヒドは苦しむイジンにとって、唯一の期待させる人。希望のような愛のような、まだまだ分からないけどお互い何かを感じて好意の象徴であるグリーンライトをつけあった。真っ暗な練習場に映えるグリーンライト。このシーンに関わる全てがロマンティック。
こちらが言葉で説明することを躊躇してしまう程、引き込まれる演出。二人が結ばれることへの期待はもちろん、既存の言葉に当てはめられる関係ではなく、希望とかエモさとか愛とかを超越した特別な関係を見せつけられた。「青春」なんかとっくに超えて。

印象的だった上記のシーンをはじめ、このドラマはヒドとイジンが特別な関係であるという演出が非常に多かったように思う。青春時代の大切な思い出の人というより、もうなくてはならない人生のパートナー。ヒドにはイジン。恋愛よりももっと尊い運命に導かれた二人だ、と視聴者を信じさせたし、期待させた。

では脚本はどうだった?
冷静に振り返ると脚本は終始「青春の1ページ」であることを強調している。ホームページ内の企画意図や観戦ポイント、登場人物や劇中でのセリフなどから伺える。

①企画意図➡青春ものであるという記述 
「・・・このドラマは青春モノをする時のあの青春・・・青春を描くつもりだ・・・」
②観戦ポイント➡イジンが元カレであるという記述
「#3・・・ミンチェは・・・お母さんの古い日記帳を発見する・・・その日記帳で・・・出会うことになる。お母さんの夢、お母さんの友情、お母さんの元カレまで・・・」
③ミンチェ➡本編でも初回からヒドの娘が登場
ヒドの娘ミンチェの苗字がキム。また、イジンを知らない=ヒドがイジンとは結ばれていないというサイン。
④劇中➡終盤にもヒドとイジンの結末について言及
エンカーになったイジンがヒドに「結婚おめでとうございます」と公共放送で伝える。

脚本では、ヒドとイジンの関係は青春の1ページという枠から決してはみ出さない。イジンは青春時代のかけがえのないパートナーである(でしかない)というサインに溢れている。

脚本と演出のベクトルが違ったという結論
ヒドとイジンが結ばれないと提示しながらも青春時代の良きパートナーとして、儚くもいつまでも忘れられない思い出として描き続けた脚本。
激動の時代を一緒に乗り越えた、恋愛もしたが腐れ縁のような一生のパートナーとして、誰も立ち入ることのできない特別な関係だということを印象付けた演出。
ヒドとイジン二人の関係に対する脚本と演出にはズレがある。あまりにも良かった演出のせいで私たちはこのドラマに夢中になったが、盲目にもなった。脚本というか本来の意図とは差が開き、それ以上を期待してしまったのだ。だからといって、脚本が悪いという訳では決してない。もうこれ以上はニュアンスの問題だが、脚本と演出の方向性、つまりはベクトルが違ったという結論が適しているのではないか。

脚本から突き付けられた事実と制作陣の意図。強烈過ぎた演出から、信じて期待してきた二人の未来。。。その狭間にいる私に最終回突き付けられた青春ものとしてのラスト。この微妙なズレが冒頭の感情になった原因だったと分析した。

おわりに

グリーンライトのシーンの他にも、トンネル、雪、電話BOX、橋でのシーンなど計算された色彩豊かな演出はドラマ好きを唸らせた。ベクトルが違ったという結論にしたが、美化された青春をあえて描いているのかなぁとも感じられる。また一切触れてこなかったがキャスト同士の予想以上のケミも私たちを期待させたに違いない。

〈参考〉
http://program.m.tving.com/tvn/twentyfivetwentyone
企画意図、観戦ポイントはDさんの訳を参考にしました。

この内容に科学的根拠はございません。
あくまでsisters laboの見解です。ㅎㅎ

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