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『機械兵団の進軍』EDH視点カード評価

先日、全カードが公開されたとの事なので、いつものようにEDH視点でカードを見ていきたいと思います。

最近全然カード触れてないのでエアプ評価だぜ。


1・カードリスト、リリースノート


・通常版カードギャラリー


・特別版カードギャラリー


・統率者カードギャラリー


・リリースノート

https://media.wizards.com/2023/downloads/MOM_Release_Notes/JP_MTGMOM_ReleaseNotes_20230313.pdf


2・カード評価

☆白

・ファイレクシアの検閲官

《エーテル宣誓会の法学者》的な呪文のキャスト制限を行うクリーチャー。ただし制限を抜ける事の出来るカードタイプが『ファイレクシアン』と非常に狭く、多くの場合は《法の定め》同然に働くでしょう。
また、ファイレクシアン以外のクリーチャーをタップインさせる常在型能力も持ちます。

メインは《法の定め》能力ですが、タップインも案外いい仕事をします。
《キキジキ》系統の無限速攻トークンコンボを防いだり、《敏捷なこそ泥、ラガバン》が疾駆出来なかったり、PWを守るブロッカーの展開がワンテンポ遅れたりと、ゲーム中に細々と刺さる場面がない訳ではありません。

3マナとそこそこのマナ総量でありながら、3/3のボディと強力な妨害能力を持つスタックスクリーチャーであり、全体を減速させる事を目的としたデッキでは今後頻繁に見かける事になりそうです。


・騎士の団結

2体以上で攻撃するたびに1ドロー出来るエンチャント。
ドロー条件達成を手助けしてくれるトークン生成能力もあります。

条件達成しても毎ターン1ドローと地味ですが、ドローにマナが必要なく、2マナと軽いのが嬉しいです。
クリーチャーを並べるデッキなら結構優秀なのではないでしょうか?


・妖術師の外套

部族デッキ向けのアドバンテージ獲得装備品。
十分なクリーチャーでデッキを固める必要があるとは言え、2マナキャスト、1マナ装備という足回りの良さは魅力ですね。


☆青

・フェアリーの黒幕

各プレイヤーにカードを引かせる起動型能力と、対戦相手がターン中2枚目のカードを引くたびに自分もドロー出来る常在型能力を持つクリーチャー。

他人のドロー強化にただ乗り出来るだけではなく、対戦相手のターンに起動型能力を起動する事で能動的にアドバンテージを得る事も出来ます。
起動型能力のコストが少々重いのが難点ですが、継続的なドローを繰り返すデッキやカード(例:《織り手のティムナ》、《リスティックの研究》など)が有力であるEDH環境においては、常在型能力だけでも十分に強力と言って良いでしょう。

2マナ2/1・瞬速・飛行と素のスペックもかなり高く、瞬速で隙なく展開、マナが余ってればアドバンテージ獲得、と動けるのがありがたいです。

単体でも結構なやり手ですが、戦闘ダメージ誘発を狙うようなジェネラルではより良い活躍が期待出来るでしょう。
特に《トレストの密偵長、エドリック》とは好相性で、「ならず者である」「軽い回避能力持ち」「他人が《エドリック》の能力を利用すると自分も相乗り1ドロー出来る」という……なんだ? なんだコレ、オリカか?


・お告げの行商人

《現実からの遊離》《ペミンのオーラ》といったカードをエンチャントする事で用途限定の無色無限マナが出せると話題になっているクリーチャー。
1マナと軽いのは魅力ですね。

とはいえこのコンボ、「召喚酔いのあるクリーチャーのタップ始動であるためにタイムラグが発生しがち」「無限マナの捌け口を別で準備しなければならない」「発生した無限マナを捌け口のキャストには使えない使い勝手の悪さ」など欠点が目立つので趣味コンボかなー、という印象です。

1マナでキャスト出来て2マナ出せるので《時間の大魔道士、テフェリー》の《鎖のヴェール》コンボのマナ源にどうかなー、と少し考えたりもしましたが「コンボ成立まではまともな仕事がない」「召喚酔いのせいでもっさり」「どうせ他にもう1枚2マナ出せるパーマネントが必要なら《アフェットの錬金術師》でいいのでは?」などなど懸念点が噴出しまくったので没です。


☆黒

・溜め込む親玉

戦場に出た時にカードを1枚サーチして手に入れる事の出来る《ルーン傷の悪魔》のようなクリーチャー。

元祖よりも1マナ重いものの、召集を持ち、さらにはサーチしたカードにも召集を与える事が出来るため、概ねテンポを得が期待出来る上位互換といって良いでしょう。
サーチしたカードを追放領域に置くため、ハンデスや手札リセットにも対応出来るのも地味に嬉しいポイント。
まあ主な使い道はリアニメイトや踏み倒しでしょうし、本体の重さの差はそこまで大きな違いとはならなそうですが。

《溜め込む親玉》本人が召集の支払い要員になれるため、ETBでサーチしたカードは最低限黒1マナ分は軽くなる事を期待出来るのは嬉しい点ですね。


・冥府の君主

生きている《有り余る無》とでもいった能力を持つクリーチャー。
元祖と比べると、手札上限の制限は撤廃されていますが、一方でドローするたびに1ライフを失うようになっています。

クリーチャーであるため踏み倒しや再利用、戦場からの撤去が行いやすく、多くの場合エンチャントである元祖よりも扱いやすいと言えるでしょう。

《リサイクル》《有り余る無》をキーに据えようとしたデッキは過去にいくつかありますが、そのいずれもがそこそこのパワーを持ちながらもファンデッキ寄り止まりになってしまっていました。
個人的には「コイツなら結構やれるのでは?」と思っているので期待しています。


☆赤

・梁町の殴り棒

《金脈のつるはし》に似た、戦闘ダメージ誘発で宝物・トークンを生成出来る装備品。
装備コストこそ《つるはし》より少し重くなっているものの、キャストは安く、威迫で攻撃を通しやすい点は優れていると言えるでしょう。

《金脈のつるはし》が悪くはないんだけどちょっとだけ微妙かなー、くらいの性能だったので、アレンジ版のこちらに期待。


・炎の中へ

全体2点ダメージと手札交換のどちらかを行うソーサリー。
手札交換モードは、ここ最近のテキストにある+1枚引けるタイプなのでアドバンテージを失う心配がないのが嬉しい点ですね。

3マナのカードとしてはどちらも中途半端な効果ですが、嵌る状況によっては十分効果的なため地味に便利そうな一枚です。


・先駆的な歴史家

対象に速攻を付与出来るクリーチャー。
何気に「2マナ以下」「速攻付与対象に制限なし」「戦場に出たターンから速攻付与可能」「速攻付与にマナがいらない」「使い回せる」という条件をクリアできるクリーチャーは初。(のはず。恐らく)

1マナだが単発の《松明の急使》や、付与対象に条件付きの《血茨のなじり屋》《煤の焚きつけ屋》などではカバーし切れない範囲での速攻付与が欲しいジェネラルでは採用されそうです。


☆緑

・機械蜘蛛の順応

コンパチ緑1マナアンタップカード。
《帰還した探検者、セルヴァラ》のようなアンタップを繰り返してチェインをしたいデッキの新戦力となってくれるでしょう。

+2/+2修正は緑に多いパワー参照とも相性が良くて◎ですね。
《養育者、マーウィン》などにもいいかも知れません。


・深根の道探し

プレイヤー(やバトル)への戦闘ダメージ誘発で、ドローの質を上げつつアドバンテージを得られる(かも知れない)クリーチャー。

アドバンテージの獲得は「タップインの土地」という形なので、マナ加速にはなるものの直接的な手数の増加には繋がりにくい効果です。
しかしながら、諜報で呪文の比率を上げたり《地平線の梢》のようなカードでドローに替えたりといった手段で補う事は出来ます。

墓地からの土地セットもフェッチランドが多用されているEDHでは誘発しやすいですし、2マナ2/3という軽く良好なスタッツを考えれば十分過ぎるアドバンテージ能力と言えるでしょう。
《織り手のティムナ》共闘や《浄火の戦術家、デリーヴィー》、《トレストの密偵長、エドリック》のようなアタック要員の欲しいデッキでは優秀な新戦力となりそうです。


☆多色

・碑出告と開里

ETBで《渦まく知識》する能力と、死亡時にライブラリートップからインスタント・ソーサリーを無料で唱える能力を持ったレジェンド。
なんらかの生け贄手段を用いて、出したその場で殺せれば自己完結します。

《無限なへの突入》《深淵への覗き込み》《来世の警告》辺りの強力な呪文を積み込んで一気に勝ちに行きたい所です。
《Sacrifice》や《弱者選別》のような、マナを作り出すような呪文で生け贄に出来れば大量ドローからの繋ぎもスムーズでしょうし、それらがデッキにあるならばジェネラルを用いずに手札からの直接キャストも視野に入れる事が出来そうです。

また、ETB単体でもそこそこ強力なので、ブリンクさせまくるのも面白そうです。
5マナと少し重めなのが気になりますが、青黒で固有色もまずまず強く、悪くないジェネラル候補なのではないでしょうか。


・ヴォーデイリアの波の騎士

カードを引くたび、マーフォークや騎士に+1/+1カウンターをばらまく能力を持ったクリーチャー。

《水底の生術師》との組み合わせによる無限ルーティングが話題になっていますね。

ルーティングは強制なので途中で止める手段がないと死にます

クリーチャー2枚で完結し各パーツもそこまで重くないので、クリーチャーの扱いの得意なバントカラーのデッキで検討しても良いかも知れません。
欠点としては、それぞれ単体だとカードとして弱いという事でしょうか? 特に《ヴォーデイリアの波の騎士》は単体だとEDHにおける仕事がかなり薄いです。


☆アーティファクト
特になし


☆土地
特になし


☆両面カード

・ラヴニカへの侵攻/ギルドパクトの模範

ETBでパーマネント破壊するバトル。
変身後は2色デッキでアドバンテージを稼げるサポートカードとなります。

2色デッキ向けのカードなのですが、このカード自体の固有色は無色であるため、あらゆるジェネラルで使う事が出来ます。
そのETB性能から2色ジェネラルよりも無色ジェネラルが喜びそう、っていう不思議カードです。

無色デッキで使える除去も増えてきましたが、5マナソーサリーの(ほぼ)万能パーマネント破壊はまだまだ優秀扱いして良いでしょう。
無色ジェネラルとの対戦では見かける事になりそうです。(無色ジェネラル自体が頻繁に見かけるかはともかく)


・テーロスへの侵攻/永久防護のエファラ

ETBでオーラや神や亜神をサーチ出来るバトル。
変身後はエンチャントの盤面への追加をトリガーとしてドローするクリーチャー、俗に言うエンチャントレスとなります。

ETBでアドバンテージを得つつエンチャントレスの追加が出来るので、ある程度殴れるエンチャントレスデッキならば投入しても良さそうです。

ただ、欠点としてこのカードの固有色が白青であるという事があります。
エンチャントを多用するジェネラルの多くが白緑でまとまっているため、採用が現実的なのは《日照のトゥヴァーサ》《仮面使い、エストリッド》くらいになってしまいそうなのが少し残念ですね。


・イコリアへの侵攻/イコリアの頂点、ジローサ

ETBで大体《破滅の終焉》するバトル。
人間をサーチ出来ない点と、大量マナからの全体パンプでフィニッシャーを務める事が出来ない点で劣っていますが、マナ総量は同じですしリアニメイトも出来るため概ね同じような使用感にはなるでしょう。

現状でよく使われているカードのコンパチなので、追加の《破滅の終焉》として多くのデッキに投入される事になりそうです。


3・まとめ

十分にパワーのある、既存の採用カードに近い性能のカードが多いセットだった印象です。

《イトグモの蔦》に近い性質を持つ《機械蜘蛛の順応》
《破滅の終焉》に近い性質を持つ《イコリアへの侵攻》
《弁論の幻霊》に近い性質を持つ《ファイレクシアの検閲官》
《殲滅学入門》に近い性質を持つ《ラヴニカへの侵攻》
《有り余る無》に近い性質を持つ《冥府の君主》
《ルーン傷の悪魔》に近い性質を持つ《溜め込む親玉》

などなど、元のカードを採用しているデッキに追加で入ったり入れ替わったりするカードが多そうです。

またそれ以外でも、軽量で扱いやすく、カードパワーも高めなカードが多い印象を持ちました。
《フェアリーの黒幕》《深根の道探し》辺りは、デッキの根幹を成すほどのカードではないものの多くのデッキをパワーアップさせそうな予感です。

一方で、ここ数年の流れにそぐわずジェネラル候補となるクリーチャーは多かったものの、あからさまに強いレジェンドはいなかったように見受けられました。
相変わらず「独特な構築を求められそう・動かし甲斐がありそう」といった雰囲気レジェンドこそ多いですけどね。
カジュアルプレイ向けとしてはこの方向性で正解でしょう。

また、新タイプ『バトル』は結構しっかりと調整されている印象です。
少なくとも、エルドレインの当事者カードのように簡単に1枚で2枚分の仕事をこなしてしまうようなカードは無いように見えます。

個人的には「そこそこのパワーを持ちつつ汎用性の高いカードが多いセット」というのは好みなので、今セットへの印象は大分良かったです。


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