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『統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い』EDH視点カード評価

カードイメージギャラリーも出揃ったとの事で、いつものように新セットをEDH視点で評価していきたいと思います。


1・カードリスト、リリースノート

・カードリスト

・リリースノート

https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/commander-legends-battle-baldurs-gate-release-notes-2022-06-01


2・カード評価

☆白

・ゴライオンの養子、アブデル・エイドリアン

《動く死体》などを利用する事で《世界喰らいのドラゴン》同様のコンボを狙える背景選択持ちレジェンド。
土地を追放出来ない代わりに、コンボ失敗時のリスクが非常に小さく、他に適当な土地でないパーマネント1枚あるだけでも無限トークンアタックが狙えます。自ターン直前に行う事でトークンに疑似速攻を与えられる《ネクロマンシー》ならなお良いでしょう。

共闘での反省からか、背景選択自体が微妙である(どうあがいても固有色が2色までに留まってしまう、背景単体だとテンポ失っておいてほぼ仕事しない、そもそもカードパワーが……)ためジェネラルに据えるのは難しそうですが、他のジェネラルのデッキに投入するコンボとしてならば十分選択肢には入りそうです。


・オグマの文書管理人

ヘイトベアっぽい顔して実のところ一切対戦相手を制限しない、ドローソースクリーチャー。
それっぽく瞬速が付いてはいますが、恐らくはタイミングを狙って構えられる事もなく戦場に出てくるタイプの生き物です。(下手に構えると自ターン直前エンドのキャストに合わせてフェッチやチューターを切られるため。もちろん他の妨害と両天秤に出来る利点はありますが)

EDHだとそこそこ見かけるサーチを誘発条件とするため、ある程度ドローの即時性に期待出来るのが、ゲームスピードの上がっている現代cEDHでは良い所ですね。


☆青

・キャンドルキープの賢者

統率者が戦場に出たり離れたりした時に1ドロー出来る背景エンチャント。

3マナは少し重いですが、《ロフガフフの息子、ログラクフ》のようなコストも命も軽いジェネラルだと中々良いドローソースになりそうです。

とは言え、背景選択の統率者とするには流石に心許ない性能の印象は拭えません。固有色も最大2色と少なく、誘発先も1枚だけというのはいかにも頼なさげです。
使うのならば、軽めの共闘デッキに入れる方が良い活躍が出来そうです。


・ディスプレイサーの仔猫

クリーチャーでない呪文を唱える事で、土地でないパーマネントをブリンクする能力を誘発させる猫ビースト。
4マナは少しばかり重いですが、いかにもコンボ要素の塊といった風情のクリーチャーです。

すでに何件かコンボや小技が提案されており、例えば、

・《墓場波、ムルドローサ》ジェネラルが《直観》1枚で勝ち。(《仔猫》《水連の花びら》《歩行バリスタ》をサーチ、《花びら》キャストするたびに《ムルドローサ》をブリンクして墓地利用能力をリフレッシュさせて無限マナ→《バリスタ》)

・《呪文探究者》+黒で勝ち。(《暗黒の儀式》→《納墓》(《タッサの神託者》)→《発掘》→《Demonic Consultation》)

・《粗石の魔道士》でデッキの0マナ非生物アーティファクト全部出す。

・《Mystic Remora》のような累加アップキープをリセット。

・《永久の証人》とフリースペル・追加ターン呪文。

・《波止場の恐喝者》とバイバック。

などなど、挙げていくと枚挙にいとまがありません。
かなり楽し気なカードとなりそうです。


・ローブ・オヴ・ジ・アーチマギ

戦闘ダメージ誘発で、その点数に等しい枚数のドローが出来る装備品。
装備コストは4と重いですが、ウィザード、邪術師、シャーマンへの装備であれば僅か1マナで装備する事が可能です。

パワー高めで飛行などの回避能力を持つ、該当クリーチャータイプのジェネラルであればコストに見合うだけの強さを発揮してくれるでしょう。
《永遠の大魔道師、ジョダー》《反体制魔道士、ケス》《風の憤怒、カイカ》《大渦を操る者、イドリス》あたりなどは、ジェネラルとしての性能も高く相性がよさそうです。


☆黒

・契約武器

クリーチャーに装備されている限り、ライフによって敗北する事がなくなる装備品。
また、攻撃誘発で《闇の腹心》のようなドロー能力(+装備しているクリーチャーへのプラス修正)が誘発します。

黒単でも《むかつき》+《ファイレクシアの非生》コンボのような事が出来るようになりました。
いや、前から一応《Lich》とか《驚愕の逆転劇》とかはありましたけど……ほら、使い勝手とかが……ね?

マナ総量は4マナと少し重たいですが、使い道が使い道だけに装備にマナが必要ないのが地味に嬉しいです。


☆赤

・ギルドの職人

ライフの最も高い対戦相手に対するジェネラルの攻撃誘発で、宝物を2つ生成する背景エンチャント。
2マナと軽めなのが嬉しいです。

《キャンドルキープの賢者》同様、統率者に据えるよりも軽いジェネラル、特に複数回誘発の狙える共闘ジェネラルにおけるマナソースとしてデッキに投入する方が強そうです。
戦闘ダメージを与える必要もないため、パワーが0の《ロフガフフの息子、ログラクフ》でも誘発するのが嬉しい所。威迫が地味にいい仕事をしてくれるでしょう。


・無謀なバーバリアン

生け贄に捧げる事で赤マナ2つを得る事の出来る2マナクリーチャー。
おおむね《触媒の精霊》の上位互換カードです。

《山賊の頭、伍堂》のような《発生器の召使い》を採用しているようなデッキでは、追加の加速要員として活躍してくれそうです。

《発生器の召使い》と違い召喚酔いに影響されずマナに換える事が出来るので、《地下牢の管理人、グレンゾ》のようなクリーチャーチェイン系デッキでも採用される事になるでしょう。


・魔法暴走

《混沌のねじれ》の亜種と言った雰囲気を持つ、あらゆるタイプのパーマネントに対処出来るインスタント。
デメリットに「はずれ」が存在し、単純な除去となる可能性もあった《混沌のねじれ》とは違い、(デッキ内に同タイプのカードがあるのならば)確実に別のパーマネントが出てくるためにデメリットはより重くなっています。

ただ、ダブルシンボルですが2マナと《混沌のねじれ》より軽く、デッキによってはより構えやすいのは嬉しい点ですね。

そもそもの話、赤単デッキはインスタントでエンチャントに触る手段に欠けるため、そういったデッキでは《混沌のねじれ》と共に使われる事となりそうです。


☆緑

・なし

特にないです。


☆多色

・混沌の造り手、ヤン・ヤンセン

アーティファクト・クリーチャーをクリーチャーでないアーティファクト(宝物)2つに、クリーチャーでないアーティファクトをアーティファクト・クリーチャー2つに変換する能力を持つレジェンド。
シンボルは濃いもののマナ総量3とそこそこ軽く、能力はマナの支払いなくタップのみで起動出来、速攻により召喚後即座に能力起動出来るため使い勝手は中々に良好です。

《侵入警報》で無限マナ・無限トークンコンボ……と行きたい所ですが、残念ながら固有色に青を含んでいないためにジェネラルではこのコンボを狙う事が出来ません。
マルドゥカラーで狙えるコンボとなると『《アシュノッドの人体改造器》などのアーティファクト化カード+《前兆の時計》』辺りでしょうか?

中々楽しそうなジェネラル候補だと思います。


・歩哨竜、ミーリム

トークンでないドラゴンが戦場に出るたび、そのコピーを作り出すドラゴンレジェンド。
固有色的にも、ドラゴン専用《二つ反射のリクー》といった雰囲気のあるクリーチャーです。特化している分、コピー作成にマナがかからないのと伝説でも増やせるのがお得な所。

《世界喰らいのドラゴン》や《変わり身の狂戦士》のような覇権持ちでループコンボを狙う事が出来ます。
また、《秘儀での順応》などのクリーチャータイプを与えるカードと組み合わせれば、さらにコンボの範囲は広がるでしょう。

《クローン》系で《ミーリム》のコピーとなるのも面白そうです。
コピーを行うたび伝説でない《ミーリム》を倍々で増やせるので、後続のドラゴン・トークン生成がとんでもない事になったりします。

低~中レベル帯あたりで、派手で奇妙な動きをするデッキが組めそうな良いジェネラル候補です。


・時を超えた英雄、ミンスクとブー

PWとなった新ミンスク。
毎ターン、相棒であるブーを生成する誘発型能力と、その相棒を使い倒さんとする忠誠度能力を持ちます。

+1忠誠度能力は恒久的な+3/+3修正で、強化しながらブーで殴り続ける事を考えると、速攻トランプル4点→7点→11点と中々良いダメージが出ます。

-2忠誠度能力は《投げ飛ばし》に似た効果で、加えて投げたのがハムスターであればパワー分のドローが出来ます。
+1能力で膨らませたブーを投げるのはもちろん、大きめの多相クリーチャーを投げるのも即時性があって良さそうです。

真骨頂は、ジェネラルに据えた時の有色無限マナ。
戦場に出た時に生成されたブーを-2忠誠度能力で生け贄に捧げ、《ミンスクとブー》自身にダメージを与える事で忠誠度が綺麗に0になるので、《ミンスクとブー》統率領域に戻しながら1ドローを繰り返す事が出来ます。

初期忠誠度が3と少な目、かつ忠誠度を増やす事も苦手なために撃たれ弱いのが気になりますが、殴って良し、アドバンテージを稼いで良し、無限マナの捌け口にしても良し、と結構器用かつパワーのある印象を受けるジェネラル候補です。


・骨の王、マークール

死亡した自軍のクリーチャーに、エンチャントとしての第二の生を与えるレジェンド。

《献身のドルイド》を用いると《即時換装》コンボと同じような挙動で無限マナを狙う事が出来ます。
……最近このパターンが多いですね。そろそろ《献身のドルイド》過労死するんじゃないかな……?


・暴走魔法の使い手、ニーラ

1ターンに1回、呪文を唱えるたびに呪文の踏み倒しチャンスがもらえるレジェンド。
コレ系の踏み倒し赤青クリーチャーにしては、呪文のタイプを選ばないのが少し珍しい気がしますね。(赤青だと「インスタントかソーサリー」となっている事が多いので)

《渦まく知識》や《神秘の教示者》などで《無限への突入》のような決定力のある呪文を積み込んで決めに行きたいですね。


☆アーティファクト

・マイティー・サーヴァント・オヴ・ルークオ

戦闘ダメージで誘発する強力なドロー能力と、戦闘ダメージを通しやすくするサイズとトランプルを兼ね備えた優秀な機体。
さらにはマナ総量も3マナとその能力の割りには低めで、1枚ディスカードを迫る優良な護法能力も兼ね備えています。

その優秀さに対するデメリットは、搭乗4という少し重めの搭乗コストと、ドロー能力がちょうど2体のクリーチャーによって登場された時のみと制限されている点です。
逆に言うと、そこさえクリアできるデッキであれば強力なドローソースとして働いてくれるでしょう。

それなりに高めのマナレシオを持つ共闘や、《空召喚士ターランド》や《開闢機関、勝利械》のような、1体あたりパワー2以上の搭乗コストを賄えるトークンを量産できるレジェンドなどだと特に上手く扱えそうです。


・難問の細工箱

基本的には《マナリス》相当の弱いマナファクトなのですが、ついでにジャラジャラと蓄積カウンターが乗っていくアーティファクト。
100個の蓄積カウンターを消費して、ライブラリーから好きなアーティファクトを出す事が出来ます。

アーティファクトサーチは強力なのですが、それを起動するためには期待値でも10回ほどダイスを振る必要があるため、普通に使うには少し悠長な印象が強いです。

考案されているのが、20個以上の蓄積カウンターが乗ったコレを《崇高な工匠、サヒーリ》で《ダークスティールの反応炉》に変えてしまうコンボ。
必要枚数は多めですが、あまり見慣れない特殊勝利カードで勝てるロマンコンボです。


☆土地

・バルダーズ・ゲート
・ガンド門

今回のセットで「門」カードが大量に加わり、《迷路の終わり》デッキが大分強化されました。
また、固有色の少ない門もかなり増えたので、門デッキを組めるジェネラルの種類もかなり増えました。3色程度のジェネラルならば、問題なく門デッキを組む事が出来るでしょう。(今回登場した《九本指のキーネ》なんかは代表的なものと言えるでしょう)

そんな門の中でも、特に強そうなカードを2枚ピックアップさせていただきます。

《バルダーズ・ゲート》は門版《ニクスの祭殿、ニクソス》のようなカードで、4枚以上の門をコントロールをコントロールしているのならばマナ加速になる事が出来る土地です。
(日本語版は誤植となっていて、参照するのは他の門の数となっています)

《ガンド門》は、門がアンタップ状態で出るようになる常在型能力を持っています。
タップインが多くテンポの悪かった門デッキですが、このカードを最優先で戦場に送り出す事でかなりのテンポ向上を見込む事が出来ます。

両方とも、門デッキの抱えていたモッサリ感の低減に大きく貢献してくれる良カードと言えるでしょう。



3・まとめ

《オグマの文書管理人》や《ディスプレイサーの仔猫》、《マイティー・サーヴァント・オヴ・ルークオ》といった可能性を感じるカードは何枚かはありましたが、全体的にカードパワーは抑え目で、カジュアル環境は別としてcEDH環境への大きな影響は無さそうです。

現在の環境で跳梁跋扈する共闘の強さに警戒したのか、背景選択カードはパワーが控えめに思えました。(好きな固有色を追加出来る自由度の広さがあるため、今後研究で爆発する可能性はありますが)
また背景カードも、そもそも統率者がいてはじめて効果を発揮するというシステムがテンポ悪くて弱いという事もあり控えめな印象が強いです。もう1マナくらい軽くても許されたのでは感のあるカードが多いです。

ジェネラル候補となるレジェンド達も面白そうな能力持ちは多いものの、上手く活かそうと思うと、コストが重かったり大きな手間のかかりそうなものが多い気がします。
カジュアル向けと言えば聞こえはいいですが、それにしても使っていて気持ち良くなるまでのストレスが大きめとなってしまっている、という印象を個人的には感じました。

その辺の話をすると、カジュアル向けファンデッキのコンセプトとして人気のありそうな門サポートをしっかりしてくれた事に対しては、非常に好感を覚えました。
こういうのでいいんだよ、こういうので。


統率者向けセットの割には少し寂しい感想となってしまいましたが、統率者デッキの方に大いに期待したいです。
すでに公開されているカードが何枚かありますが、その中ですら通常セットに比べると目を引くカードが多いですし、全カード公開が楽しみです。

統率者デッキの内容が全て公開されたら、通常セットと同様にレビューして記事にしたいと考えています。
そちらの方もどうぞよろしくお願いいたします。


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