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『エルドレインの森』EDH視点カード評価

『エルドレインの森』の全カードが公開されたとのことで、例によっていつものカード評価です。



1・カードリスト

今回から、すべての発行されるカードがまとめて同じページに公開されるようになったようですね。
「通常のセットに入っているカードだけ見たい」「おとぎ話カードだけ見たい」といった場合には絞り込み検索があるのでそちらで参照してください。

個人的には、ページを変えずに絞り込み出来るようになったので概ね前より使いやすくなった印象。
ただ、統率者デッキ内の新カードを検索するのには検索性が悪いのがちょっと気になりました。



2・カード評価

☆白

・月揺らしの騎兵隊

白い《孔蹄のビヒモス》といった雰囲気のクリーチャー。
全体に、トランプルの代わりに飛行を与えてくれます。

《自然の秩序》で踏み倒せない、本人が速攻を持っていないのでダメージに貢献出来ない、という点で微妙かなー、という印象です。
緑を使わない白のトークン系デッキだとダメ押しで採用される事があるかもですね。


・真夜中の一撃

《過大な贈り物》の亜種と言った風情の除去。
土地を破壊できなくなった代わりに、与えるトークンが著しく小さくなりました。

クリーチャーのサイズがある程度重要になっている現代EDHにおいては《過大な贈り物》より使い勝手が良い場面が多いのではないでしょうか?
ただ、環境は《魂の洞窟》や《ガイアの揺籃の地》を始めとする放置したくない強力な土地も多く、それらを割れずにもじもじする事も稀にあるので採用する場合はそこを割り切る必要はあります。


☆青

特になし


☆黒

・鏡に願いを

新しいセットが出るたび、頻繁に刷られている《魔性の教示者》の亜種。それの『エルドレインの森』バージョンです。
今セットで登場したメカニズムである協約を持っており、持ってきたカードのマナ総量が4以下の場合には追加コストを支払う事により踏み倒して唱える事が出来ます。

条件付きで《悪魔の教示者》になれる、と考えれば《闇の誓願》や《悪魔の意図》に近いカードであると言えるでしょう。
これら類似カードはデッキによっては高レベル帯でも採用されているカードなので、こちらもまた同じように活躍が見込めそうです。

このカードのさらに素晴らしい所は、場合によっては《悪魔の教示者》以上の効果を期待できる点です。
サーチしたその場で使いたいマナ総量3~4のカードを踏み倒した場合、マナ効率は《悪魔の教示者》すら超える事になります。
「ターンを跨いでサーチしたカードを使いたい」「サーチ先が重い、または極端に軽い」「そもそもデッキが協約が重い構築になっている」などなど扱いにくい状況は多くハードル高いですが、噛み合うデッキではc環境でも使われ得る性能はあると思っています。


☆赤

・勇気の徳目

対戦相手への戦闘ダメージ出ないダメージにより、その点数分の衝動的ドローが誘発するエンチャント。2点火力の出来事も付いています。

これ置いて《無情の碑出告》起動すれば大体勝てるんでね?
5マナと少し重いですが、継続的に大きめのダメージを出せるデッキであれば、マナ加速とダメージにつながるカードをチェインして勝つ事が出来そうです。

出来事のおかげで取り回しの良い除去になれるので腐りにくいのも嬉しいですね。
期待の一枚。


☆緑

・エルフの文書管理人

アーティファクトのETBでパンプアップ、エンチャントのETBでドローを行うクリーチャー。
後者の能力により、エンチャントレスデッキの追加要員としての活躍が期待出来そうです。

能力の誘発はターン1回制限であるものの、2マナシングルシンボルと扱いやすいマナ総量はデッキの動きをスムーズにする事に貢献出来るでしょう。
特にゲームの序盤は「早いターンからアドバンテージ稼ぎとして貢献できる」「どうせ複数エンチャントを唱える余裕がないのでターン1回制限も気にならない」「アーティファクトが1枚でも出せれば2/3とそこそこ頼れるブロッカーになる」とメリットが大きいです。


・跳び上がる奇襲

緑1マナでクリーチャーをアンタップ出来るインスタント。
n枚目の《帰還した探検者、セルヴァラ》カードですね。緑1マナは実質無料みたいなものなので、チェインに特に貢献するでしょう。


☆多色

・フェイの血筋のケラン

《武器庫の開放》と同効果の出来事を持つレジェンド。
このカードを経由する事で、手札に加わるタイプのクリーチャーサーチからオーラや装備品をサーチ出来るようになりました。

《武器庫の開放》自体が一部の特殊なデッキでしか採用されていないという現実はあるものの、現状からサーチの幅を広げるカードである事は間違いないので、環境にとって重要な一枚となると言えるでしょう。


・慈愛の王、タリオン

戦場に出るに際し選んだ数字に関連する、対戦相手の呪文に反応してドローできるレジェンド。
軽量の呪文が飛び交うcEDHでは1か2を選択すればそこそこ引けそうです。

4マナという地味な重さが少し気になるものの、ターン1回制限もなく、3/4飛行という大きめのスタッツもあり、ライフを地味に詰めるおまけもついているので中々優秀そうに見えます。
対戦相手依存の能力なので卓の構成の影響を大きく受けてしまうのですが、それでもアベレージはそこそこ高そうです。


・戦争の世継ぎ、ローアン

《暴動の長、ラクドス》に似た印象のコスト軽減能力をもったレジェンド。
軽減条件のライフロスは自分のライフであり、軽減対象は赤黒の呪文であるというのが相違点です。

自分のライフを減らすのは赤や黒が得意とする所であり、また自身のマナ総量も3マナと軽めなので早めの着地が期待出来ます。
惜しむらくは、コスト軽減がタップ能力であるためにタイムラグが発生する点でしょう。《暴動の長、ラクドス》のようにキャストからそのままビッグアクションにつなげる事が難しいです。

一方で、クリーチャー以外の呪文も軽減できるのは戦略の幅が広がる優秀なポイント。色的に、ドローとマナ加速をつなげるチェインコンボも行いやすいと言えるでしょう。


☆アーティファクト

・蒐集家の保管庫

ルーティング+宝物生成を行うアーティファクト。

手札を整えながらマナを伸ばす、という動きを2マナ設置2マナ起動で行えるというのは中々の性能。
最近は優秀なアドバンテージ獲得手段も増えて『手札が膨れるもののマナの方が間に合ってない』という贅沢な悩みを抱える事案も増えて来ているので需要があるかも知れません。
能力にクセがなく固有色を選ばない無色のカードであるため、幅広いデッキに入り得る点も優秀と言えるでしょう。


・エルドレインの玉座

単色推奨マナファクト兼ドローソースなアーティファクト。
《金粉の水蓮》を超える効率でマナを出したり、継続的に3マナ2ドローを行ったり出来ます。

2色以上の固有色のデッキにいいように使われては本末転倒な事を意識したデザインなのでしょうが、結果的にそのせいで使い勝手が悪くなっているのが残念ですね。
5マナは気軽にキャストするには重く、出したマナの使用制限は単色デッキであっても無色のカードや能力起動には使えず、ドロー能力は3マナ起動と取り回しが悪いです。

統率者カードなので、いっその事《作戦室》のように固有色に言及して「このカードは、デッキの統率者が1色以下の固有色を持っている場合にしか使用出来ない」とかしてしまえば良かったのに、とも思います。
これなら無色でも使えますしね。


3・まとめ

全般的に見て、ちょっと地味だったなー、という印象でした。
ある派手な印象が強いカードは《鏡に願いを》くらいで、他は小粒揃い。

最近は公式が統率者を意識しすぎている感が強過ぎる(そもそも毎セット統率者デッキを出してるし)ので、『セット内に1、2枚EDHに適したカードが入っている程度で、あとはニッチなジェネラルが数人特殊なカードでニヤニヤする』って感じには、10年くらい前の統率者を意識してなかった頃のセットみがあってむしろ好感が持てました。

EDH勢ながらも最近の過剰なEDH押しには少し辟易してたので、これからもしばらくはこんな感じでスタンダード向けセットを作ってくれると個人的には嬉しいかもです。
というかスタンダード頑張れ。超頑張れ。

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