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『指輪物語:中つ国の伝承™』EDH視点カード評価

私事で忙しく、完全に出遅れたいつものヤツ。
時期的に、すでに評価も出揃ってるかとも思うのですが、取り合えず公開直後のファーストインプレッションくらいの感じ、という事でよろしくお願いします。


1・カードリスト、リリースノート

・通常版カードイメージギャラリー


・特別版カードイメージギャラリー


・統率者カードイメージギャラリー


・リリースノート

https://mtg-jp.com/img_sys/common/JP_MTGLTR_ReleaseNotes_20230601.pdf


2・カード評価

☆白

・塔の長官、ボロミア

《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》に似た妨害能力と、生け贄にして自軍を破壊不能で守る能力を持ったクリーチャー。
3マナは少し重いですが、3/3警戒は中々頼れるスタッツです。

《ラヴィニア》と比較すると、妨害能力の質で劣り、マナ総量は高く、青いピッチの餌にもならない点が気になります。
正直、《ラヴィニア》を使ってるようなデッキではわざわざ追加で入る事はなさそうだと思っています。

そのため、彼の活躍は青の入らない、かつスタックス気味にクリーチャーを展開したいデッキで期待される事となるでしょう。


・一時の猶予

白い《差し戻し》。
テキストのおかげで打ち消されない呪文へも対応可能となっております。

白にも軽く汎用性の高い打消しが追加される事となったため、今後は呪文の応酬をする際に考える事がより複雑化しそうです。
シングルシンボル2マナなので、「白+なんらかの色マナがもうひとつ立っている状態の非青デッキ」で想定するカードが大分増えそう。

適度に強い良カードだと思います。


・最後の同盟の戦い

Ⅰ、Ⅱ章で伝説のクリーチャーをサーチ出来る英雄譚。
対象制限は結構きついですし、効果を十全に受けるにはタイムラグはあるものの、4マナで2枚サーチは中々やると思います。
最低限、唱えたターンに1枚は確保出来るのも〇。

手の内が見え見えになるデメリットは大きいですが、《悟りの教示者》などでサーチ出来るエンチャントであり、伝説生物2枚を1枚で集められるのは白にしてはまずまずと言って良いのではないでしょうか?
コンボパーツを集めるパターンの場合では、6マナ準備して《最後の賭け》から一気につなげたいですね。


☆青

・風に運ばれて

ハイパー《急かし》、あるいはインスタント版《出現領域》。

《ネクロポーテンス》とのコンボやフィニッシュ直前の対戦相手へ差し込んでのインスタントウィンといった使い方が考えられています。

2マナと軽めで1ドローが付いているため、元祖である《急かし》ほどではありませんがゲームの展開上で邪魔になった時にも”ある程度は”スムーズに手札を入れ替えられます。

《出現領域》と比べた場合、戦場に何もない状態から動けるのでより警戒されにくく、土地セット権すら準備できないギリギリの状態でも仕掛けられる点で優れています。
一方で、腐っても無色マナを出せるパーマネントとして0マナでセット出来る《出現領域》に比べ、手札で滞るわ別のカードに変換するにも色マナを含む2マナを要求してくる《風に運ばれて》は、嵌らない状況下では足回りを悪くする点で劣っています。

結論としては、安定性があるのは《出現領域》、強いタイミングでより強いのは《風に運ばれて》、と言えるのではないでしょうか?


☆黒

・オークの弓使い

追加ドローに反応して1点ダメージを飛ばしてくるクリーチャー。瞬速持ちなので対戦相手のドロースペルに対応して咎めに行く事が出来ます。《船殻破り》を彷彿とさせる能力ですね。
あと、ETBでもダメージ飛ばすし、ついでにオーク動員もします。……なんだこのモリモリスペックは? ホントに2マナか?

すでに山ほど話題に上がっているので、すっかり遅れてこんな記事を書いている自分には、今更細かく書く事もなくなってしまいました。
強い!


☆赤

・火の中へ投げ捨てる

《削剥》の亜種といった雰囲気のカード。
2マナのインスタントで、アーティファクトとクリーチャーに選択式で対応できます。

アーティファクト対策として考えると、破壊不能や再利用を許さない追放除去である分こちらの方が優秀です。

クリーチャー対策として考えると、1点×2ヶ所のこちらよりも3点火力である《削剝》の方が便利な場面は多いでしょう。
ただ、《オークの弓使い》や《フェアリーの黒幕》といった最近話題の強力クリーチャーにはタフネスが1のものが多いので、上振れ時には《削剥》以上の活躍を見せてくれる場面があるかも知れません。


☆緑

・喜ぶハーフリング

久々に加わった1マナマナクリ。
無色マナを生み出す能力に加え、伝説用の《魂の洞窟》のような、そのマナで唱えた呪文は打ち消されなくなる色マナを出す能力を持ちます。

唱えられる伝説カードがなくとも取り合えず《ボリアルのドルイド》程度には役に立ち、タフネスが2と今後流行りそうな《オークの弓使い》にも耐性がある点が素晴らしいです。

必ず伝説のカードが初手にあるEDHでは《魂の洞窟》的能力が無駄になる事はありませんし、普通に強い便利枠といったカードとして頻繁に見かける事になりそうです。


☆多色

・堕落した庄察頭、ロソ

《帳簿裂き》的な誘発条件で宝物・トークンを生成するクリーチャー。
EDHにおいてこの誘発条件の達成がそこそこ容易である事は、《ルーデヴィックの名作、クラム》《帳簿裂き》といった諸先輩方が証明してくれており、その便利さは疑う余地はないでしょう。

シンボルが濃い事と、固有色が複数に跨っているために入れられるデッキに制限がかかってしまう事は少し残念な部分です。
《帳簿裂き》パイセンに倣った単色シングルシンボルであれば、非常によく見かける事になったでしょうに。

それでも十分に強力な性能です。
使える固有色のデッキであれば、頻繁に見かける事となりそうです。


・サムワイズ・ギャムジー

他のクリーチャーが戦場に出る事をトリガーとして、食物・トークンを生成する能力を持ったクリーチャー。
《大釜の使い魔》+《臓物の予見者》などのサクり台との組み合わせによる無限コンボが話題となっていますね。
このコンボは、パーツの枚数こそ多い代わりにマナ総量が安めで、《変幻の大男》から《堂々たる撤廃者》込みで揃える事が可能な点で優秀です。

色の合うハルク系デッキでは定番のコンボとなりそうです。


☆アーティファクト

・一つの指輪

除去耐性と強力なアドバンテージ能力を持つアーティファクト。
また、戦場に出た時にコントローラーを一巡の間守ってくれる能力がおまけについています。

後々ライフコストが重くなってはいくものの、普通に運用するだけでも各ターン「1→2→3→4」とドローを重ねる事が出来るため、十分な強度を持つデッキならばその辺りでゲームを終わらせられそうです。

1ライフあたり1ドローの交換を大量に行う類似カードとしては《ネクロポーテンス》がありますが、それと比較すると初動のドローの少なさがどうしても気になります。
《多用途の鍵》のようなアンタップ手段があれば「1+2→3+4→5+6」と、序盤からある程度まとまった数が引けるようになるので望ましいでしょう。


・サウロンの遺物

グリクシスカラーの色マナ2つを出す能力と、手札を増やせるルーティング能力を持ったアーティファクト。
キャストも起動も少々重たいですが、効果は中々強力です。

重い統率者軸デッキのような、マナじゃぶ気味に組みたいデッキだと、中盤のマナ加速件マナフラ対策として柔軟に動けそうです。
マナソース多めならばコストの重さもある程度許容できるでしょうし。

青黒赤という厳しい固有色の縛りがあるのが残念です。出来る事ならば、固有色を問わず幅広いデッキで使えれば良かったのですが……。


☆土地

・特になし


3・まとめ

《オークの弓使い》や《喜ぶハーフリング》をはじめとして、一部の汎用カードが結構強いセットだと思います。
モダン方面ではモダンホライゾンほどのインパクトは持っていないと思っているのですが、EDH的に見るのならばモダホラにも負けていない印象です。

一方で、コラボセットらしく大量に登場した伝説のクリーチャー群はジェネラルとしてはどれも今一つな印象。
カジュアルプレイで遠慮なく使える、と考えればちょうどいいバランスなのかも? セット内のカード同士で比べると、ちゃんと「格」が高いキャラクターのカードは比較的強く作られているのはコラボセットのカードの作り方として個人的にはとても好印象でした。

《船殻破り》は一部の構築すら歪める事を許容させていましたが、《オークの弓使い》も同様の立ち位置に落ち着きそうです。
《Timetwister》のような手札リセットや《深淵への覗き込み》のような大量ドローは軽々に撃つ事が出来なくなってしまいました。

《船殻破り》はcEDHのみならずカジュアルゲームでも大暴れしたために禁止となりました。
その時は「受動的な使い道だけではなく、能動的に能力の誘発を狙う事が出来るカードだった」「《概念泥棒》は4マナだから良かったが、3マナは軽すぎた」という点が禁止理由として指摘されていました。
このカードもまた、2マナという圧倒的な軽さで盤面に突然現れ、あらゆるレベル帯の卓で能動的に盤面やプレイヤーを焼き尽くし、禁止の憂き目にあう事となっていまうのでしょうか? 色々な意味で注目です。


そんなこんなで、すっかり遅くなってしまった新セットカード評価でした。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

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