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『兄弟戦争』EDH視点カード評価

カードギャラリーが出揃いましたので、いつものヤツです。

今回は私生活が忙しくてプレビューやTwitter上での評価なんかもまともに見れてなかったので、かなり新鮮な気分でリストを読む事になりそうです。
いつも以上に有力カードの見落としやルールやテキストの勘違いがあるかもなので、そんな時にはコメントで教えてくれると嬉しいです。


1・カードリスト

・通常版カード

https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/card-image-gallery/xiong-di-zhan-zheng-tong-chang-ban-kadoimezigiyarari-2022-11-04


・特別版カード

https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/card-image-gallery/xiong-di-zhan-zheng-te-bie-ban-kadoimezigiyarari-2022-11-04


・統率者カード

https://magic.wizards.com/ja/articles/archive/card-image-gallery/xiong-di-zhan-zheng-tong-lu-zhe-kadoimezigiyarari-2022-10-28


眺めていてちょっと気になったのですが、今回のギャラリーはソートがちょっと特殊になってますね。
色ごとでソートされているのはいつも通りなのですが、文字通りカードの色で分けるのではなく、固有色+α(島を参照する、青マナシンボルを持たない無色クリーチャーが青に入ったり)で分かれている感じ。

わざわざソートし直すのも無駄に面倒なので、今回のカード評価の並び順もそれに沿う形で書いていきます。

……アナウンスが目に入ってなかっただけで、実はカードの色に関するルールに手が入ったって話はないですよね?(いくら最近情報に疎かったとは言えそれだけの大ニュースなら流石に耳に入りそうだし)


2・カード評価

☆白

・災厄の痕跡


墓地追放を行いつつ、ターン中の呪文を制限するインスタント。
2マナと少し重いですが、色拘束は緩く、墓地も見る事が出来る(しかも対象を取らない全除去で!)のは中々良さそうです。

ただ、効果は非常に強力なのですが、墓地追放も呪文制限も唱えたプレイヤー自身を含んで影響を及ぼすためちょっと使いにくいです。
該当デッキは非常に少ないでしょうが、自分がクリーチャーベース、かつ墓地を利用しないデッキなら自ターンに《沈黙》のように攻撃的な使い方も出来るようになるので、そういったタイプのデッキならば採用を検討しても良さそうです。

どうしても防御寄りになってしまうカードなので、《激しい叱責》のように1ドローが付いていればもう少し採用率が上がりそうだったのですが……。


・第三の道のロラン


レジェンダリー《再利用の賢者》。
対戦相手1人にドローを与えてしまうものの、ドロー能力がおまけで付いています。
ドロー能力は、多人数戦だと《再利用の賢者》のおまけで付いてくる能力と考えれば破格の性能です。マナがかからないのが素晴らしい。

ただ、マナ総量に対するスペックは高いものの、ソーサリータイミングの3マナ単体除去はシナジーなしだと扱いにくいです。
使うのなら、クリーチャーであるという性質を上手く使える白緑デッキで、となりそうです。


・行き届いた採掘


戦場にある自分のパーマネントを回収出来るエンチャント。
今セットでフィーチャーされている蘇生を持つカードも回収できるように対応されています。

赤白固有色での《波止場の恐喝者》コンボが軽くなりました。(6マナで無限マナ成立)これまでは《嵐前線の乗り手》の8マナだったので、大分軽くなりましたね。
セットが1マナなのは偉いのですが、《波止場の恐喝者》とカードタイプが違うので手元のサーチが噛み合わない可能性があるのはマイナス点。

単体で先に引いちゃった時の事を考えるとETB持ちが多いデッキにしたい所なのですが、自ターンにしか使えない起動3マナはアド稼ぎに使うにはちょっと重いですね……。
盤面出来上がっててターン回したら即死しそうな時の《意志を縛る者、ディハーダ》とかなら差し引きで1つ宝物増やして逃げれるからアリかも?


・アルガイヴの盾、ミュレル


レジェンダリー《堂々たる撤廃者》。
戦闘能力は高くなっているものの、4マナと元祖と比べるとマナ総量が倍になっています。ただしシングルシンボルになっているのため、その点は嬉しい点となっています。

同じく《撤廃者》より重い類似カードである《イーオスのレインジャー長》は採用実績がありますが、こちらは対戦相手への制限範囲が狭い代わりに、アドバンテージを得られたり防御的に使えたりと大きなメリットがあるため、相互互換的な要素が評価に影響しています。

一方で、《撤廃者》から1.5倍のマナ総量となっていた《レインジャー長》よりもさらに重く、EDHにおいて影響力の大きそうなメリットにも乏しいこちらは使いにくさが目立つ印象です。
伝説である事を有効に使えるデッキやどうしてもダブルシンボルがきついデッキ、トークン生成や戦闘力に価値が見いだせるデッキならば辛うじてどうか、といった所でしょうか?


・魂の仕切り

新たな白のインスタント除去。
対象の土地でないパーマネントを再キャスト出来る状態で追放します。なお、再キャスト時には2マナの追加コストを求めます。

「追放する」「呪文を唱える事に制限をかける」と白のカラーパイに沿っていながら、結果的には青に定番の《分散》型バウンスにも似た効果を現わしている、というデザインの妙を感じるカード。
個人的にとても良いデザインだと思います。

類似カードの多い青だったら数多くある選択肢のひとつとなっている所なのですが、インスタントの軽量万能除去が少ない白にあっては貴重な1枚となります。
特に青を含まないデッキでは扱いやすいインスタント除去として定番となりそうです。2マナの追加コスト要求は優秀なので、なんなら青を含むデッキでも採用する場合もあるかもしれません。 


☆青

・機械力

シングルシンボル2マナで土地以外をバウンスする事の出来る、定番の《分散》系カード。
アーティファクト・クリーチャーをコントロールしていれば青1マナで撃つ事が出来ます。

少々面倒くさい条件付きとはいえ、《蒸気の連鎖》に続く1マナバウンスの追加は革新的です。
コスト減少条件を満たさずとも、最低限《分散》相当の働きはしてくれるのも扱いやすくて◎。

良く見かけるアーティファクト・クリーチャーとなると、《エスパーの歩哨》や《ギラプールの希望》や《歩行バリスタ》、ジェネラルである《求道の達人、サイラス・レン》《騒々しい写本、コーディ》辺りとなるでしょうか? あとはたまに見かける所だと《呪文滑り》とか《ファイレクシアの破棄者》とか?
似たように条件付きでコスト軽減が見込める頻出カードとしてネオ神河の魂力土地がありますが、どのデッキでも初手にある伝説条件であるためにより簡単に軽減が見込めそうなそれらですらそこまで頻繁に軽減出来てはいない事を考えると、あまり期待しすぎない程度で採用するのが良さそうです。

それでも他の《分散》系カードの地味メリットと比べると、嵌った時のリターンが大きいので高く評価したいです。


・多元宇宙と共に


《未来予知》と《全知》を合体させたようなお馬鹿パワーカード。
流石に《全知》能力はターン1回制限ですが、それでも《未来予知》能力による強力なカードアドバンテージと、踏み倒しによる強力なテンポアドバンテージの組み合わせは非常に噛み合いが良く強力です。
強いと強いを合わせるとすごい強い。カツカレーみてーなカードだな。

流石にカロリーは8マナと馬鹿高いので、使うのならば《アカデミーの学長》などの力を借りたい所。
とは言えダブルシンボルと色拘束もかなり緩く、それで8マナとなるとロングゲームだと案外すっと出てきそうなカードではあります。


・天空射の士官


兵士3体タップという結構面倒そうなコストでドローできるクリーチャー。
ただ、加えて自身で兵士トークンを生成出来る能力も持っているので自給自足が可能ではあります。2/3飛行と攻撃に参加しても比較的安全にトークン生成が出来そうな能力なのは追い風です。

自給自足できるとは言え、2、3回攻撃してようやく1ドロー分、というのは流石にちょっと悠長な感じがします。
トークンにも飛行が付いていれば戦闘要員としての使い道が増えるので、《織り手のティムナ》や《トレストの密偵長、エドリック》みたいなデッキで可能性ありそうだったのですが。

悪くはないカードだと思うのですが、色々とあと一歩感がある印象です。


・戦闘急使


1マナで出せて青1マナで蘇生出来るアーティファクト・クリーチャー。
《アーカム・ダグソン》の有能な餌候補です。

表も裏も軽いコストで2度美味しいだけでなく、いざという時にはドローに代われる点も優秀ですね。



☆黒

・ギックスの信奉者


アーティファクト版の《生き埋め》内蔵クリーチャー。
4/4という頑丈なボディを得た代わりにマナ総量が倍になっています。そんな身体はいらないので、身体を捨てて出直して来てください。

とは言え墓地利用しようとなると、カードプール的にクリーチャーである事のメリットが非常に大きいので、実質アーティファクト・クリーチャーをベースとした利用となりそうです。

《無限なるトラザイン》用カードですかね?


・ヨーグモスの法務官、ギックス

対戦相手に戦闘ダメージを与えるたびに《ファイレクシアの闘技場》的ドローが誘発するレジェンド。ブラックエドリック。

防御力の低い黒単でエドリック的に悠長にドローしてても結構しょうがない上、ライフを支払う関係で長期戦向きとも言えないので、使うのならばジェネラルとして使うよりは他のデッキの横に添える感じになりそうですね。

組み合わせ次第では枚数もりもり引けそうなであり、その割りに3マナは安めなのでちょっと期待しています。


☆赤

・兄弟仲の終焉

年々種類がじりじり増え続けている、3マナ全体3点火力の新顔。
クリーチャーのみならずPWにもダメージを与える事が出来、さらにはマナ総量3以下という条件付き《粉砕の嵐》モードの選択が可能です。

3マナ全体火力としてはかなり高水準で、盤面への影響力を考えると歴代1位になるのではないでしょうか?
自身がPWをデッキの軸として使っていてPWにまでダメージが行く事がデメリットとなるデッキ以外ならば、類似カードの中では最優先で採用して良さそうです。


☆緑

・機能不全ダニ


《苛性イモムシ》の亜種。
無色1マナのアーティファクト・クリーチャーとなり、対象がノンクリーチャーになった代わりに起動コストが緑1マナと下がりました。

色拘束や起動コストの面で見て軽くなっており、《ウルザの物語》や《粗石の魔道士》でサーチが可能で、おまけにちょっとしたゲインライフも付いてきています。
1対1交換してまで割りたいアーティファクト生物やエンチャント生物が少ないEDH的には概ね強化されたといってよいのではないでしょうか?

《溜め込み屋のアウフ》や《無のロッド》を採用する構築でなければ頼れる妨害クリーチャーとなりそうです。


・常緑のビヒモス


《世界のるつぼ》生物。
5マナと重ためである代わりに、緑緑という軽めのコストで蘇生出来るのがウリです。

《世界のるつぼ》《ラムナプの採掘者》で足りないくらい墓地から土地を使い倒したいデッキなら採用を検討されるでしょうか?

何らかの土地をキーパーツとするデッキでは、構築次第では『大量切削→ビヒモス蘇生→目的とする土地セット』という独自性のあるムーブを期待して投入される事があるかも知れません。


☆多色

・カイラ・ビン・クルーグ女王


手札入れ替えを行うとともに、捨てたカードの中からマナコスト1、2、3のアーティファクトやクリーチャーをそれぞれ戦場に戻す起動型能力を持ったレジェンド。

4マナと起動は重めですが、最大3枚分カードアドバンテージ+6マナ分のテンポを得る事が出来るのはコストに見合う程度には強力です。

回収出来るカードタイプ的に盤面に色々並べるスタックスが向いてそうなのですが、そうなると赤白という固有色もあって、競合が《軍団のまとめ役、ウィノータ》という有名強力ジェネラルになってしまうのがちょっと可哀そうな所。
《ウィノータ》にない独自要素である、アーティファクト置物を戦場に送り出せる点を活かした構築を狙いたいですね。


☆無色

・ウルザの空戦艇、リベレーター号


レジェンダリー《蜃気楼のマイア》。
飛んでたりアーティファクトでない無色の呪文にも瞬速を与えたりと、基本的には元祖から大きく強化されています。

基本のパワーは元祖よりも低いですが、呪文を唱えると+1/+1カウンターが乗るのですぐに追い越す事が出来るでしょう。
なんなら3/4くらいまでは比較的楽に育つので、いい感じにライフを守ってくれそうです。代表的な相方が《ネクロポーテンス》なので、防衛能力が高いに越した事はない面を考えると嬉しいポイントですね。


☆土地

・ウルザの作業場


『ウルザの』を持つ土地の数だけの無色マナを加える能力を持った土地。

『ウルザの』参照能力の起動には金属術の達成が必要で、さらには『ウルザの』土地単体で有用なものが《ウルザの物語》くらいしかないため、無色土地を山ほど積んでも問題なく、アーティファクトに頼る事の多いデッキ……つまり実質無色デッキ専用のカードとなっています。

これまで「《荒地》よりマシかなー」程度で投入されていたトロン土地の価値が地味に高まりました。
一方で、年々安定して増え続ける無色土地の中には《爆発域》や《屍肉あさりの地》をはじめとする有用な起動型能力を持ったモノも頻繁に現れているため、土地枠の取り合いはさらに加速しそうです。



3・まとめ

毎度毎度やらかしていたアーティファクトテーマのブロックでしたが、今回はパワーストーン・トークンという「タップイン」「用途制限」という二重の縛りを加えたメカニズムをマナ加速役に据える事で、環境をしっかりと抑制出来ているように思えます。

そもそもスタンダード向けの通常セットというのもあり、全体的に小粒な印象となりました。

そんな中にあって、珍しく白のカードが目立っているように思えます。
強力なインスタント妨害である《災厄の痕跡》、cEDHにおける強力カード《堂々たる撤廃者》のリメイクである《アルガイヴの盾、ミュレル》、汎用性の高い軽量除去である《魂の仕切り》と、地味ながらcEDH環境にすら適応し得る可能性を感じるカードが何枚かありました。
しばらくは迷走していた印象のあった、統率者戦における白へのテコ入れがうまく機能し始めているように思えます。

個別カードの評価でも書きましたが、特に《魂の仕切り》はカラーパイの枠内で上手にデザインしたものだと感心しました。


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