『ニューカペナの街角 統率者カード』EDH視点カード評価
ニューカペナの街角のカード評価、通常セットのカード評価に続いて、統率者カードの方もやっていきます。
1・カードリスト・リリースノート
カードリスト
リリースノート
https://mtg-jp.com/rules/img/snc_faq/JP_MTGSNC_ReleaseNotes_20220325.pdf
2・カード評価
☆白
・宴の進行役
各アップキープに、対戦相手と宝物や1/1市民やドローを共有してアドバンテージを稼いでくれるクリーチャー。1VS1だと効果は薄いが対戦相手が多いと効果の大きいという、いかにも多人数戦向けのデザインですね。
対戦相手ががめつければ、毎ターン宝物やドローをがつがつ供給してくれますが、冷静に判断されると毎ターン小さなトークンを3体生成するだけ(加えて各対戦相手にもトークン)の微妙な効果に終始してしまいます。
特にシナジーが無い場合、4マナと手札1枚の代償としては見合わないカードと成り下がってしまうでしょう。
多くの場合で有用な宝物やドローを手に入れるためにも、トークン生成を大きなアドバンテージに換えられるジェネラルで使いたいですね。
「トークンあげるくらいなら宝物(ドロー)の方がマシ」と思われるようになってはじめて、コストに見合った性能を発揮する事となりそうです。
・臨機応変な防御
自軍のパーマネントの上にあるカウンターを動かせるエンチャント。
戦場を離れた時に別のパーマネントに移せる他、起動型能力の起動でもカウンターを移す事が出来ます。
カウンター移動先のパーマネントの種類に制限はなく、なおかつ誘発型能力のカウンター移動効果は墓地へでも手札へでもライブラリーへでも誘発、とかなり自由度の高い効果となっており、コンボパーツとしての使い勝手は非常に良いと言えるでしょう。
起動型の方は起動コストが重いので使い勝手が悪いですが、墓地や手札を行き来させる系統のコンボには色々と応用が効きそうです。
・密輸人の分け前
各終了ステップに、対戦相手の複数ドローやマナランプに反応してドローや宝物を手に入れられるエンチャント。
宝物取得の方はちょっと条件が厳しいですが、ドローの方は対戦相手のドロソにタダ乗りしてぼちぼち引けそうな感じです。
とは言え結局は対戦相手頼りですし、誘発が各ターン1回のせいで上振れもしにくいため、個人的には3マナに見合うかというとちょっと怪しいかも、という印象です。
・動物学者、ベニー・ブラックス
自分のトークン生成に反応し、ターン終了時に1ドロー出来るレジェンド。召集を持っているため、クリーチャーを並べるデッキだとキャストがしやすいです。
ジェネラルとして据えるには流石に厳しい性能ですが、クリーチャー・トークン生成を頻繁に行えるジェネラルのドローソース役としては悪くなさそうです。
クリーチャー・トークンを良く使うデッキなら、自然と召集コストを準備しやすいのも相性良しですね。
☆青
特になし
☆黒
・屍体勘定
このターンに死亡した自分のクリーチャーの数だけドロー出来るインスタントです。通常ならば3マナですが、絢爛達成すれば僅か1マナで唱える事が出来ます。
ループコンボの締めとして悪くはないのですが、それならば《ズーラポートの殺し屋》《血の芸術家》のような、直接フィニッシュに繋がる上に2マナと軽く、黒いデッキでは扱いやすいクリーチャーというカードタイプであるこれらを優先する事になるでしょう。
絢爛前提ならば、1マナという軽さで単体でもクリーチャーリセットへの補填として使えるので悪くはないのですが……それでも少し厳しい印象は拭い切れません。
・致命的な策略
召集で唱えられる4マナの《英雄の破滅》。召集に用いたクリーチャーが謀議するおまけ付きです。
支払うマナを安定して1以下まで下げられる事を前提とするならば強そうですが、3体のクリーチャーを毎回準備するのは案外ハードルが高そうです。
謀議による手札整理はおまけとしては明確に強力なので、2マナまで下げるだけでも真っ当に強いカードとはなるのですが、それですら少しハードル高めの印象が残る上、その性能ですら「まずまず強いおまけが付いた2マナのクリーチャー除去があったとして、それをデッキに入れるのか?」と考えると自分の場合は少し躊躇してしまいます。
結局「やはりテンポは大正義。《致命的なはしゃぎ回り》は強いなぁ」などと思うのでした。
☆赤
・薔薇の部屋の出納係
クリーチャーが戦場に出るたび、宝物・トークンを生成したりダメージを飛ばしたり出来るクリーチャー。
《群衆の親分、クレンコ》など、クリーチャーの展開が得意なデッキならばコストに見合っただけの性能を見せてくれる事でしょう。
1周ごとに複数の宝物生成でマナ加速をしつつクリーチャーに火力を飛ばし続ける事が出来たなら、大きな制圧力となりそうです。
贅沢を言うのなら、「誘発で宝物生成。3回目の誘発ならダメージ」としてくれればより強力だったのですが。
4マナと重いカードではありますが、上振れが大きいカードなので、しかるべきデッキでは採用を検討しても良いかも知れません。
☆緑
特になし
☆多色
・道具箱、ヘンジー・トーリ
クリーチャー呪文に奇襲の選択肢を与えるとともに、統率領域から統率者が唱えられた数だけ奇襲コストを下げてくれる能力を持つレジェンド。
ハイランダー構築であるEDHでは構築と下準備の難度が高そうではありますが、不特定1マナ以下のクリーチャーを大量に用いてストーム的な動きをする事が狙えそうです。
このカードの固有色が生け贄エンジンの利用を得意とするジャンドカラーである事も追い風と言えるでしょう。
なかなか面白そうなジェネラル候補です。
※ 追記 ※
「奇襲出来るのが4マナ以上」という制限見落としてました。
とっても悪さしにくいヤツだったー。
・秘密売り、ティヴィット
戦場に出た時と戦闘ダメージを与えた時の誘発で、各人の投票に応じて手がかりや宝物を得る事が出来るレジェンド。加えて、投票を行う際に2票を投じる事が出来る能力も持ちます。
6マナと重いですが、継続的にマナや手札を大きく増やせる能力は魅力的です。戦闘ダメージ誘発のみではなく、ETBもあるおかげで即効性があるのは嬉しい所。
高いタフネスと護法により、除去に対する耐性もある程度持ち合わせている点も地味にありがたい部分でしょう。
ジェネラルにして投票デッキを組むのは楽しそうですし、他のデッキに投入してアドバンテージソースとして扱うのも中々に強そうです。
対戦相手が自分の欲しくない方を選ぶとしても、「2ドロー+3マナ」か「2マナ+未来の3ドロー」を得られると考えると結構大きなアドバンテージと言えるでしょうし。
・編集長、デンリー・クリン
後続として出て来たクリーチャーに、自身の持つカウンターを共有させる能力を持つレジェンド。デフォルトで+1/+1か先制攻撃か警戒カウンターを持って戦場に出る事が出来ます。
+1/+1カウンターを用いて無限頑強を狙う事が出来ますね。
コンボ狙いのジェネラルとして使おうと思うと、緑が入っていない固有色的に無限頑強コンボがあまり得意ではなさそうなのと、4マナと少し重めのマナ総量が気になりますが。
・略奪の女王、ジョリーン
宝物版エドリックみたいな能力を持つレジェンド。
また、その能力とシナジーする、コントローラーが宝物を生成する際に追加で1つ増やしてくれる能力も持っています。
加えて、宝物を生け贄にして自身を強化する能力も。
上2つの能力のおかげでマナを伸ばす能力はかなり高そうなのですが、どこまで行っても手札の増加に繋がらないのでマナフラに弱そうな所が気になります。
ジェネラルに据える場合、《顔壊しのプロ》《厚顔の無法者、マグダ》をはじめとした、大量に宝物を持て余している状況でもアドバンテージを確保出来るカードは十分積んでおきたいですね。
動き始めると宝物生成呪文でチェインコンボじみた事も出来そうですし、莫大な宝物からビッグアクションをぶん回す豪快な動きも狙えそうです。
・塵の活用者、オスカー
手札から捨てたカードを、墓地から唱える事を許すレジェンド。
5マナとマナ総量は高めですが、墓地参照でコストを下げてくれる能力をもっているため、十分なシナジーのあるデッキなら見た目よりずっと唱えやすそうです。
ジェネラルとする場合、手札が増えない代わりに軽いルーティングを軸に据えて動く事となるでしょう。
ディスカードをアドバンテージに換える目的だけならば、ディスカードをトリガーとして直接手札を増やしてくれる《常智のリエール》の方が強そうなので、1ターンに2回以上のディスカードにも反応出来る点や、捨てたカードをタイミングを選ばず唱える事が出来る点を活かす必要がありそうです。
☆アーティファクト
・両替機
ルーティング能力と、それによって捨てたカードを用いて宝物や2/2ならず者を生成する能力を持ったアーティファクト。
カードを捨てた際にそれを追放し、それを墓地に戻す事をコストにアドを稼ぐのですが、自身のルーティング以外にも反応して追放してくれる点、捨てたカードの追放が任意である点が、小回り利いていて良い感じです。
ルーティングには2マナとそこそこのコストがかかるものの、ほぞのアドバンテージソースとしては扱いやすい部類と言えそうです。
3・まとめ
面白そうな能力を持ったジェネラル候補が多いものの、全体的に小粒な印象のあるセットでした。
……まあ、前回のネオ神河の統率者カードがちょっと豊作過ぎたという疑惑はありますが。
ただ、チェインコンボを狙えそうな独特の能力を持つレジェンド達が、軒並み最近ありがちなターン1回制限の縛りがなかったのは構築の自由度が高くて良さそうだと思いました。
《ジョリーン》は特に高い可能性を感じます。
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