世間も、地元も狭い

私は大学で教員免許を取得できる学科へ進み、4年生の頃の教育実習は母校でお世話になった。高校ならともかく公立の中学校だ。私が中学生の頃の先生は1人も居なかった。だが、30人程の教師の中に気になる人物が居た。それも1人や2人でなく、3人だ。

1人目は、小中学生の頃の同級生と同じ苗字の先生。向こうも気になっていたようで、話し掛けられる。話してみると、想像していた通り、その先生は同級生の親だった。実は、その同級生は小学生の頃に少し気になっていた子だったが、流石にそんなことは言えなかった。

2人目は、とある珍しい苗字の先生。私がその苗字を見掛けたのは人生で2人目だった。その苗字を初めて見たのは、中学生の頃の先生が結婚し、変わったときだった。確かその先生は教師同士で結婚したと聞いていた。話す機会があったので訊ねてみると、やはりその先生が結婚相手だった。

3人目は、私の指導教員で、高校の頃に知った苗字だった。そう、高校の頃の同級生の親が中学校の教師をしていると聞いていたのだ。まさかな、と思いつつその先生に訊いてみる。ビンゴだった。高校の頃の同級生がたまたま私の母校に勤めており、更に教育実習中の指導教員になろうとは。

流石に偶然は4つも重ならないもので、私と縁のある教師はその3人だけだった。だが、30人ちょっとしか教師が勤めていないこの学校で、ここまでの巡り合わせがあるとは、やはり世間は狭いものだ。