ミスを減らすには

人であれ、機械であれ、長時間稼働していればミスはつきものだ。そのミスをいかに減らすかといえば、そもそもミスをしないようにするか、ミスをしても気付けるようになるかのどちらかだろう。
製造業だと、不具合があったときに顛末書に改善案を書くことも多いらしいが、よく使われる改善案が"ダブルチェックをする"だと聞いたことがある。ダブルチェックとは、作業者が確認した項目を、別の人にも確認してもらうことだ。確かに、自身で行ったものを自身で確認するのと、他者が行ったものを確認するのとでは視点が異なる。物書きならよく分かるだろうが、誤字脱字であったり、言葉の誤用だったりは、自身で書いたものだと見落としがちだが、他人の書いたものだと妙に目についてしまう。
だが、事実としてチェックする人数が増えてもそれをすり抜けるミスというのはあるものだ。これは、そんなミスに関する話だ。

私が初めて正社員として入った会社に勤めて約1年、私は作業量が少々多い仕事を担当することになった。私の業務はとあるデータを扱う仕事で、正確なデータ入力が必要とされる。担当して数ヶ月は新しい業務に慣れることに精一杯だったが、徐々に慣れてからは効率化を行うようになった。その一環として、入力するデータの一部を、入力に使うソフトとは別にExcelにも入力することにした。というのも、入力前のデータと、入力されたソフト上のデータとに齟齬があるように思えたからだ。2つのデータが一致しないなら、3つ目を作ればいい。入力の手間は増えるが、その作業を増やしてミスが減るなら結果として効率化になると考えたのだ。
そうして3つ目のデータを作って1~2ヶ月、効率化されたことによって余裕ができ、その余裕を使って過去のデータも入力し、ようやく全貌が見えた。前任者が数十箇所入力ミスをしており、それでデータに齟齬が生じていたことが分かった。しかも、そのうち半分は、別の人に確認してもらって問題ないと言われていた部分でもあった。

その後社内でどうなったかはさておき、1人の目での確認でもミスを減らすことは可能だ。ただ、同じ項目の確認ではなく、別の角度での確認が必要だろう。製造過程では難しいかもしれないが、目視に加えて動作の確認をするとか、物書きなら目で見るだけでなく音読してみるとか、それまでと違う方面からのアプローチをすることで、よりミスは減らせると考える。少なくとも、私が3つ目のデータを作ってから一度もミスは見付からなかった。……それが単にチェックを掻い潜っているだけの可能性は捨てきれないが。