仮病で学校を休んだ話

私は所謂5教科だと社会が苦手だが、実技科目はほとんど苦手だ。何故か音楽は得意な方だが、体を上手く使う必要のある科目は大抵苦手だ。
中学1年生の冬、家庭科では裁縫関係で何かを作るという内容の授業だった。私は単純作業は嫌いでは無いが、不器用で細かい作業が苦手だった。だから、その家庭科の授業が嫌で、ある日、熱があるからと学校を休んだ。次の週も、その次の週も家庭科がある日だけ休んだ。
流石に母は訝しんだようで、その次の週も熱があると伝えると、本当かどうか訊ねてきた。嘘は吐けない。正直に伝えると、学校に行くように言われる。気は進まないが学校へ行った。
家庭科の授業は、それまで嫌がっていた程苦痛では無かった。3週も休んだ分遅れていたが、先生からそれを咎められるようなことも無く、それ以上家庭科に苦手意識を持つことは無かった。

苦手意識というのは、自身で作った幻想なのかもしれない。やってみると意外と集中もできる。その苦手意識が、自身で作った紛い物か、それとも本物か、一度勇気を持って確かめてみてもいいかもしれない。避ければ避ける程、幻想の苦手意識は大きくなってしまう。