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手話の思い出

これは私が小学4年生の頃だっただろうか、私の住んでいた地区の公民館で手話を教わる機会があった。当時恐らく有名だっただろう歌謡曲に合わせ、その歌詞を手話で表現しよう、といったものだった。とはいえ、当時の私はその曲を初めて聞いたので、全然耳馴染みがないものであった。

週に1度だったか2度以上教わっていたのか覚えていないが、その曲を表現することをゴールとして、初めは五十音の手話である「指文字」を覚えて名前を手話で表現できるようにし、それからは曲の練習というような感じだったと思う。そういう風に教わって数ヶ月して、記憶が曖昧だが、年末に地区での集まりでその曲を披露したような気もする。それ以来、私が手話と関わる機会は無かった。

当時からもう二十年以上が経つ。手話で覚えているものは、そのエピソード以外だと、私の名前に入っているかなのうち一文字を表す指文字だけだ。手話や点字といった、余裕があったら学びたいと思っているものはついつい後回しにしてしまい、結局学べずにいる。
6つの点の規則性と記述のルールを覚えればいい点字に比べ、手話は先が長い。というのも、自身の名前のように1音ずつ示す必要があるものは指文字を使うだろうが、一般的な動詞や名詞などはそれに対応する手話がある。確かに、頻繁に使う語彙であれば、わざわざ1音ずつ表さなくても、まとめて1つの動作でできる方が合理的だろう。

当時手話を教わったときに知ったその曲を私は気に入っており、カラオケで歌うこともある。カラオケで歌うとき、手話自体は覚えていないが、手話を教わったこのエピソードのことを思い出す。そして、いつかまた手話を覚え直したいと心に秘める。