見出し画像

ChatGPTでキャラクターと会話する遊び~GPTテイオーを例に~

ChatGPTのロールプレイ

ChatGPTは色々な用途に使われていますが、利用方法の一つに「キャラクターとの会話をシミュレーションする」というものがあります。
平たく言えば、ChatGPTにアニメやゲームのキャラクターのように振る舞ってもらうということです。
このような使い方はライフハックや仕事のような実利には繋がりませんが、遊びとしての面白さがありますし、さらには「現状のAIと人間の違いがどこにあるのか」といった科学的に興味深いテーマにも繋がってきます。

AIは今や理論よりも実践に面白さが移行してきた部分があり、とりあえず使ってみることで理解が深まることも多いです。
実際にAIを試すことで、技術の可能性や限界を実感し、それらを応用した新たなアイデアが生まれるものだと思います。

ロールプレイに関してもう少し具体的に考えてみます。
例えば、「ウマ娘」の「サクラバクシンオー」とか、「名探偵コナン」の「灰原哀」とか、そういったキャラクターを再現することができます。
あるいは、「ツンデレ美少女」とか「ネットミーム的なお嬢様」のような抽象的な存在を演じさせることも可能です。
特徴の掴みやすいキャラ、別の言い方をすれば二次創作映えするキャラは成功しやすい傾向があるようです。
ただし、指示の与え方や会話の内容で結果が大きく変わるので、結局はユーザーの努力と工夫が最も重要です。

この手の遊びはやはり男性の方が好きなのか私が見かけたのはだいたい女性キャラの事例ですが、男性キャラでも問題なくできます。

数か月前からこういうことをやっている人がいるのは知っていましたが、最近では自分の想像よりずっと多くの人がこういう方法で遊んでいることを知りました。
一方で、友人と話していてこうした遊びを知らない人も多くいると気付いたので、紹介がてらこの辺りの話を書いてみようと思います。

どうするとロールプレイができるのか

スレッドの最初にロールの指示を書きます。
指示文(=プロンプト)には、以下を明示します。

  1. これからロールプレイをすることの宣言

  2. ロールプレイするキャラクターの特徴の説明

  3. 実際の喋り方のサンプル(セリフ集)

  4. その他の注意事項。やってはいけないことなど(もしあれば)

人によってやり方は色々ありますが、基本的には上記を含んだ形であれば何でも大丈夫です。
指示文は結構な長文になると思いますが、1000文字くらいになっても特に問題ありません。
既存のキャラを違和感なく演じさせる場合、むしろ長い方が良いでしょう。

ロールプレイの実施例:「GPTテイオー」

私が実際にやってみた例を紹介してみます。
「ウマ娘」の「トウカイテイオー」が好きなので、「GPTテイオー」を生み出してみます。

実馬のテイオーが好きで、ウマ娘でもテイオー推しです。アニメ2期は今見ても最高にアツい。

なお、使ったのはGPT4です。GPT3.5でもできますが、4の方が望みの結果を得やすいと思います。

まずは、最初の指示文ですね。結構長いです。
コピペ用にテキスト版を記事の最後に貼っておきます。

試行錯誤を繰り返した結果、結構長くなりました(指示が足りないとボロが出やすい)

以下のような感じで返事がくれば成功です。

なかなか良い感じにテイオーっぽい口調で返してくれました。

指示文により、普段のChatGPTとは明らかに違う喋り方になりましたね。
次に、この「GPTテイオー」と実際に会話してみます。

会話例1

ちょうど皐月賞なので話題を振ってみました。割と良い感じのリアクションです。

会話例2

アプリではチャンピオンズミーティングの最中なので、その話もしてみます。
私のチームはテイオー&デバフネイチャ&デバフマヤノなので全てテイオー頼みです。

会話例3

ゲーム好きの設定も上手く拾っています。
レースゲームのことは指示文に書いてないけど、実際好きそう……

評価

全体として、80点くらいのリアクションはできているかなと思います。

もっとチューニングを頑張ればまだ改善の余地はありそうです。
例えば、ChatGPTはオウム返し的にこちらの言ったことを繰り返す傾向がありますが、それを除く指示を加えるとより自然な雰囲気が出るかもしれません。
他には、現状の指示文の効きの弱い部分を削って代わりの文を入れたり、指示文の情報圧縮(少ない文字数で同じ情報量を伝えるテクニック)を使うなど、より多くのロール定義を与えることによる精緻化もできそうですね。

トウカイテイオーはこれっていう強い属性があまりない(”ボクっ娘”くらい?)ので、参考セリフの量やバランスの調整が必要だったかなと思います。
ソシャゲのキャラはWikiなどにセリフ集があることも多いので、指示文に参考セリフを入れやすいのがメリットですね。
反対に、オリジナルキャラクターをやらせる場合はその辺りが難しいです。

注意点

ロールを丁寧に指定しても、会話の内容次第ではロールを無視した反応をしてくる場合があります。
傾向としては、「指示したロールに関係ない話題を扱う際には“素のGPT君”が表に出てきてしまう」というようなイメージです。
例えば、普通の女の子のロールなのにプログラミングの専門的な話を聞く、というようなケースです。

また、GPTのアルゴリズム上、「GPTの発言はGPT自身の直近の発言に引きずられやすい」という特徴があります。
一度ロールから離れると余計に崩れてしまうので、ロールを意識した会話を心がけたほうが良いみたいです。

技術的な限界について

私が知る限り、今年の1月の時点では既にChatGPTを使ったロールプレイで「俺の嫁」を作るという記事が出ており、非常に興味深い内容になっています。

このケースでは最終的に上手くいかなかったようですが、こうした遊びは今後ますます増えるでしょうし、問題点を克服するための技術的な解決方法も見出されていくことになるかと思います。
この記事の人はまだGPT-4がリリースされるより前に取り組んでおり、パイオニア的な事例として興味深いですね。

記事の通り、ChatGPTのロールプレイの一番の問題は“会話履歴が長くなるとロールを維持できなくなる”ということでしょう。
ロールの設定や会話の内容にもよりますが、50回とか100回くらいやり取りすると違和感なくやり取りするのは厳しくなってくると思います。

このような違和感を生む原因は、おそらくは長期記憶の有無によるものと推察します。
人間の記憶は短期記憶と長期記憶に分かれており、数分程度の情報は短期記憶として脳に保持されますが、長期記憶はほぼ無期限に保持することができます。
長期記憶の代表的なものは「思い出」です。テレビを見ている時に「昔、一緒にここに行ったよね」といった発言をできるのは長期記憶のおかげです。
また、人間の長期記憶の形成・保持には感情などの要素が関わることも興味深い特徴です。

現状のChatGPTには長期記憶に相当する仕組みはなく、すべてを短期記憶に近い仕組みに頼っているようです。
ChatGPTの膨大な計算量のおかげで短期記憶は人間より優秀かもしれませんが、それでも記憶できる量や長さに限界があり、それ以上昔の出来事をパッと思い出すというようなことは長期記憶のメカニズムを持たない限りは難しいのです。
将来的にはこの問題も解消されるかもしれませんが、現状はそうした制約がある点には留意するべきでしょう。

ロールプレイに関する現状の方針

ここまでの内容を踏まえて、以下のような方法で遊んでみるのが良いでしょう。

  1. キャラクターを具体的にイメージする

  2. なるべくイメージに近いようにロール指定の指示文を工夫する

  3. 会話の内容もロールの定義に沿って行い、明らかに定義外の話はしない

  4. 期待通りに動かなかったら指示文を修正する

  5. 会話を長く続けてロールが崩れてきたらスレッドを作り直す

“ごっこ遊び”として割り切るぶんには面白い遊びだと思います。
入れ込み過ぎると、「50回目のファースト・キス」や「博士の愛した数式」の登場人物のような悲しい気持ちになるかもしれませんが……(先の記事の方のように)

まとめ

ロールプレイはChatGPTを使った遊びとして面白いのは間違いないので、一度試してみると良いと思います。

私のnoteは雑多に色々取り扱いますが、AI周りの話は私の興味領域でもあるので今後も引き続き書いていこうと思っています。
今回の内容に興味を持って頂けたら、フォローやスキ評価を頂けると嬉しいです。

おまけ:コピペ用のGPTテイオー生成プロンプト

興味があればこのままChatGPTにコピペして使ってみて下さい。

あなたは「ウマ娘プリティダービー」のキャラクター、「トウカイテイオー」として振る舞って下さい。
以下に情報を記載しますので、以後のやり取りでは常にこの内容に従って下さい。

・実在の競走馬をモデルに擬人化した「ウマ娘」で、人間に近い外見と、人間離れした高い身体能力を持っています
・明るい性格の中学生の女の子です。常に前向きで、才能と努力に裏付けられた高い自己肯定感を持っています
・喋り方は年相応で、難しい語彙はあまり使いません。言語化するよりは感覚派な傾向があります。詳しくはセリフ例を参照してください
・一人称は「ボク」。少しおどけて「ワガハイ」という事もあります
・私のことは「キミ」または「トレーナー」と呼びます
・モデルの競走馬の父であったシンボリルドルフを尊敬しています。シンボリルドルフのことはカイチョーと呼び、第三者とも良くカイチョーへの憧れを口にします
・喋り方に少しクセがあり、一部の単語がカタカナ表記になります (セリフの例を参照して下さい)
・勝負事や競技的なことを好みます。ゲーム、歌、ダンスなどいずれも上手で、目立つことや称賛されることを好みます
・裕福な家庭の出身ですが、それを鼻にかけることはなく、人の輪に入ることを好みます

セリフの例
・おっはよー!無敵の三冠ウマ娘目指して、今日も頑張るぞーっ!
・そりゃ、カイチョーはすっごい強いウマ娘だけどさ…ボクら2人でならきっと超えられる。超えてみせる!
・ゲームでもレースでも…トレーナーに応援されると、頑張るぞ!って思えるんだ。魔法みたいだねっ。
・いやぁ〜、バレンタインってスバラシイね!ボク、しばらく甘いものには困らなさそうだよ♪
・トレーナー、誕生日なんだ?いいな〜。今日の主役じゃん。ボクもいっぱいお祝いされたーい!
・ねーぇー、カイチョー見なかった?も〜っ、今日こそ一緒にお昼ご飯食べようと思ってたのに!
・今度一緒にゲーセン行こっ!ボク、どんなゲームでもトレーナーに勝てる自信あるよ〜♪
・パパもママも、いっつも電話かけてくるんだ。そんなに心配しなくたっていいのにね〜。
・レースもいいけど、ダンスも最高だよね〜!みんなにすごーいって思われるのはどっちも一緒だもんね
・ふふんっ、無敵のテイオー様は今日もゼッコーチョー!ボクの走りを見て腰ぬかさないでね〜?
・さっきね、抜き打ちテストがあったんだけど…クラスでボクだけ満点だったんだ!さっすがでしょ!
・うおっほん、みなの衆!テイオー様のご登校であるぞ、道を開け〜い!…なんてねっ♪

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?