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宇佐見真吾 この打力をどう活かすか?【2023ドラゴンズ個人成績分析 - 16】

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個人成績分析の第16弾は、昨シーズン途中に日本ハムから移籍してきた宇佐見真吾選手です。途中加入ながら打撃において大きな貢献を見せてくれた宇佐見選手ですが、その打撃内容について詳しく見ていきたいと思います。

本記事のデータは、主にNPB公式および日刊スポーツ様から集計しています。独自集計のデータがほとんどですので、一部実際の数値とずれている場合があるかもしれませんがご容赦ください。もし見つけたら教えて頂けると助かります。



2023シーズン成績まとめ

宇佐見選手の2023シーズン成績は以下の通りです。なお、ドラゴンズでの成績のみをまとめています。

宇佐見真吾 2023シーズン主要スタッツ

リーグ平均以上のBABIP(フェアゾーンに飛んだ打球のみを母数として算出した打率)に助けられてはいるものの、打率・出塁率・長打率・OPSの全てでリーグ平均を上回っており、非常に頼もしい存在です。

ボール球Swing%やWhiff%(空振り率)もリーグ平均と同程度であり、特に穴の無い打撃成績と言えるでしょう。

球種別スタッツが面白い

続いて球種別スタッツを見ていきましょう。ただし、全球種載せると数字が多すぎるので、特徴的な傾向が見られた球種のみに絞って示します。なお、ボール球Swing%・Whiff%・OPSについてはカッコ内にリーグの左打者平均の数値を並べて比較しています。

宇佐見真吾 球種別スタッツ(カッコ内はリーグ左打者平均)

まずはストレート。OPSが.800を超えており、宇佐見選手はストレートに対して強いと言えます。ボール球Swing%やWhiff%がリーグ平均よりも若干高くなっていますが、気にするレベルではないでしょう。

興味深いのはフォークとチェンジアップです。これらの球種に対して、宇佐見選手はリーグ平均を大きく上回るボール球Swing%を記録しています。にもかかわらず、Whiff%はリーグ平均以下。対フォークに至ってはリーグ平均を大きく下回っています。OPSを比較してみても、対チェンジアップでリーグ平均程度、対フォークはリーグ平均を大きくアウトパフォームしています。

おそらく宇佐見選手はこれらの落ちるボールに対して、ボール球をスイングしても当ててファールにして逃げるのが上手いと推測されます。NPBにおいて多くの選手がウイニングショットとしているフォークに強いというのはかなり稀有な能力と言えそうです。

3球種のピッチチャートを比較

上で取り上げた3つの球種について、打撃結果のピッチチャートを見てみましょう。結果球となったボールのみをプロットしています。

宇佐見真吾 対ストレート 打撃結果ピッチチャート
宇佐見真吾 対フォーク 打撃結果ピッチチャート
宇佐見真吾 対チェンジアップ 打撃結果ピッチチャート

対ストレートは高めのボールゾーンとアウトローで少し三振が多くなっているでしょうか。ただ、それ以外はほとんど三振は無く、かなりの打撃結果を残しているように見えます。

一方フォークとチェンジアップですが、やはり低めのボールゾーンであっても三振が少ないですね。先ほどのデータをサポートする内容と言えそうです。

ゾーン別Whiff%の絵がヤバすぎる

ついでにフォークとチェンジアップについて、ゾーン別Whiff%を見てみましょう。こちらはリーグ左打者平均と併せて示します。まずは対フォークから。

宇佐見真吾 対フォーク ゾーン別Whiff%
リーグ左打者平均 対フォーク ゾーン別Whiff%

続いて対チェンジアップ。

宇佐見真吾 対チェンジアップ ゾーン別Whiff%
リーグ左打者平均 対チェンジアップ ゾーン別Whiff%

宇佐見選手はそれほど打席数が多いわけではないので数字が多少極端に出ている可能性はありますが、それでもこの異質さは伝わるでしょう。アウトローゾーンはやはり少し苦手にしているようですが、他のゾーンではほとんど空振りをしていません。ヤバすぎる(笑)

この打力をどう活かすか?

ここまでを総括すると、宇佐見選手はストレートに強く、多くの投手がウイニングショットにしている落ちるボールに対して並外れたコンタクト能力を有する選手であることが分かりました。

さて、この打撃に優れた選手をどう起用すべきでしょうか。

本職は捕手ですが、守備的能力から木下選手の正捕手は揺るがないでしょう。そして第2捕手の位置は、将来の正捕手として1軍での経験を積ませていきたい石橋選手に与えるべきだと思います。

一方、ファーストでの起用も考えられます。しかし、本来の正一塁手であるビシエド選手に加えて今年から中田選手も加入したため、宇佐見選手のファースト起用は第3の選択肢と言えそうです。

これらの事情から、宇佐見選手はレフトでの起用を真面目に考えるべきかなと思います。レフトは現状大島選手 or ディカーソン選手 or 若手と候補は多いですが、大島選手を除いて未知要素が多く、宇佐見選手の起用も十分考えられるポジションです。

まとめると、宇佐見選手の起用法はレフトかファーストの出れる方といったところが現実的かと思います。こんなに打撃に優れているのに。

これは、木下選手のケガという緊急事態に対して、石橋選手に経験を積ませることよりも優先して同年代の捕手をトレードで獲るという極めて近視眼的なチーム編成を行った弊害がもろに出ていると思います。このトレードで放出した郡司選手は打撃に優れた若いプロスペクトです。オフに中田選手を獲得したことにより宇佐見選手の出場機会が減ることになるため、宇佐見選手にとってもプラスになっていません。木下選手が離脱した当時はすでにチームは最下位であり、プロスペクトを放出して中堅の即戦力捕手を獲る動きは全く理にかなっていません。

と、終わってしまったことに文句を言っても仕方ないので、とにかく宇佐見選手が活躍できる場を何とか作って欲しいですね。逆に言うと宇佐見選手が代打で控えているような打線を作り上げることができれば、チームのデプスは大幅に改善し、「強いチーム」になっているはずです。前を向いていきましょう。

まとめ

長い記事になってしまいましたが、最後までご覧頂きありがとうございました。
宇佐見真吾選手の2023シーズンをまとめると、

  • 打率・出塁率・長打率・OPSすべて平均以上と優れた打撃成績

  • ストレートに対して強い

  • 落ちるボールに対してボールゾーンSwing%が高いのになぜか全然空振りしない

  • 起用法どうすんの?レフトでの起用も考えるべきでは?

こんな感じでしょうか。

セイバーメトリクスっぽくオーダーを組んでみた結果(記事は下のリンクからどうぞ!)、チーム1の出塁率で見事に1番の座を射止めた宇佐見選手。良い成績を残しているのでやはりスタメンで使いたいところです。

チーム編成については今一度しっかりと見直しつつ、彼の打撃が活かせる起用法を見出してくれることを願うばかりです。2024シーズンは宇佐見選手がどんな打撃成績を残してくれるか楽しみにしながら開幕を待ちましょう!

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