見出し画像

龍空 分析から明確になった「課題」とは【2023ドラゴンズ個人成績分析 - 14】

皆さんこんにちは。ドラスタ | Dragons Stats (@dragons_stats) という名前で中日ドラゴンズの試合データなどを発信しています。プロ野球がより一層面白くなるようなデータを分かりやすい形で提供できるように頑張ります。良かったらぜひフォローして頂けると嬉しいです。

Follow me! --> https://twitter.com/dragons_stats

個人成績分析の第14弾は龍空選手です。
2023シーズンは打撃にかなり苦しんだ1年になりました。一方で守備指標は素晴らしく、「あとは打てれば…」と嘆いたファンも多かったことでしょう。今回は、そんな龍空選手の一番の課題である打撃についていろいろと深掘っていきたいと思います。

本記事のデータは、主にNPB公式および日刊スポーツ様から集計しています。独自集計のデータがほとんどですので、一部実際の数値とずれている場合があるかもしれませんがご容赦ください。もし見つけたら教えて頂けると助かります。



2023シーズン成績まとめ

龍空選手の2023シーズン成績はこちらです。

龍空 2023シーズン主要スタッツ

打率やOPSなどの打撃主要スタッツはリーグ平均を大きく下回っており、満足できる成績とは言えませんね。通常3割前後に収束するはずのBABIP(フェアゾーンに飛んだ打球のみを母数として算出した打率)が.231しかない点は不運だったとも考えられますが、打球速度などがBABIPに与える影響もあると思われるため、一概に不運と決めつけるべきではないと思います。

また、ストライクゾーン・ボールゾーンともにSwing%が高く、待たずにスイングを仕掛けていく傾向にあります。ただの早打ちであればそれほど問題になりませんが、龍空選手の場合ボールゾーンのスイング率がリーグ平均よりも約8%ポイントも高くなっている点が問題です。また、これが原因でフォアボールの数がかなり少なくなっています。これらの傾向は、以前紹介した鵜飼選手にも共通する部分です。

一方で、意外にも(失礼)Whiff%(空振り率)やK%はリーグ平均と同等以上の数値になっています。すなわち、コンタクト能力には問題ないということです。

対ストレート/対変化球別スタッツ

続いて、対ストレート/対変化球に分解して成績を見てみましょう。

龍空 対ストレート/対変化球別スタッツ

対ストレートに関しては、やはりボールゾーンのSwing%は高いものの、Whiff%の数字はかなり優秀です。また、打率もそこそこといった感じですね。長打率が低いのでOPSとしては物足りなくなってしまいますが…

問題は対変化球です。Whiff%はこちらも問題なさそうですが、BABIP・打率・OPSすべての数値がかなり悪くなっています。つまり、ストライク・ボール・ストレート・変化球問わず手を出して、結果変化球に対して弱い打球を打たされてアウトになっている、という傾向が予想されます。

ピッチチャートで傾向を見てみる

上で述べた傾向をさらに確認するために、対ストレートと対変化球の打撃結果のピッチチャートを比較してみましょう。

龍空 対ストレート 打撃結果のピッチチャート
龍空 対変化球 打撃結果のピッチチャート

上の図は、結果球となったボールのみをカウントしています。

対ストレートに関しては、多くがストライクゾーン内のボールであり、それなりにヒットや長打が出ているのが確認できます。

一方対変化球は、やはり低めの見極めが難しいですよね。かなりこのゾーンで三振と凡打を稼がれてしまっています。

ゾーンチャートで傾向を見てみる

変化球への対応について、もう少し詳しく調査してみます。下の図は、対変化球のゾーン別Swing%です。リーグの左打者平均のデータと並べて示します。

龍空 対変化球 ゾーン別Swing%
リーグ左打者平均 対変化球 ゾーン別Swing%

注目すべきは低めのボールゾーン、そしてストライクゾーン内の低めです。龍空選手は低めの変化球に対してかなり手を出しやすい傾向にあるようです。このゾーンはゴロになる可能性が極めて高いため、できれば見極めたいところです。

一方で、ゾーン別Whiff%はどうなっているでしょうか。こちらもリーグ平均と並べて比較してみます。

龍空 対変化球 ゾーン別Whiff%
リーグ左打者平均 対変化球 ゾーン別Whiff%

ボールゾーンのWhiff%が高いのは仕方ないとして、重要なのはストライクゾーン。実は龍空選手は、ストライクゾーンについては変化球であってもWhiff%がかなり低い値になっています!

つまりゾーン内のボールはかなりの確率でコンタクトできているということです。逆にコンタクトできてしまうからこそ、捉え切れなかったときにフェアゾーンに弱い打球が飛んでしまったのでしょう。

したがって、龍空選手が取り組むべきは、

  • 低めのボール球の見極め

  • 狙い球を絞ること

  • ファールにするスキル

この辺りではないでしょうか。

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございました。
龍空選手の2023シーズンをまとめると、

  • ストライクゾーン・ボールゾーンともにSwing%が高い

  • 対変化球のBABIP・打率・OPSが低い

  • 低めの変化球の見極めが課題

  • ストライクゾーンのコンタクト能力に優れる

  • あとはしっかり振って強い打球飛ばすだけや!

こんな感じです。

鵜飼選手の回でも書きましたが、狙い球みたいな話はチーム側が選手にデータを入れて、コーチ・監督とじっくりアプローチを練って、どのボールを狙っていくか決めるというやり方が普通だと思うんですけど、ドラゴンズではどうなんですかね?龍空選手や鵜飼選手のように何でも振ってしまう選手がいる以上、少なくとも上記のプロセスは踏んでないと思うんですが、これはチームとして大問題では?と思います。MLBではデータ分析部隊にかなりの人員を割いているチームも多いので、見習うべき部分はしっかり取り入れて欲しいなと思う次第です。

打撃についてはまだまだ課題の多い龍空選手ですが、守備についてはかなり完成されてきたように思います。たまの送球ミスはご愛敬ですが、守備範囲が広く、守りでチームの勝利に貢献できる数少ない選手だと思います。(記憶間違ってたら申し訳ないけど)東京ドームで打ったプロ初ヒット(2塁打)の鋭い打球は忘れません。強い打球をバンバン飛ばす龍空が戻ってきてくれることを願いながら、2024シーズンも応援していこうと思います。

もしこの記事が面白かった!という方やドラスタを応援してくださる方は、フォロー・お気に入り・拡散等して頂けるとすごく励みになります。多くのファンの方の議論のタネになればいいなと思っています。

Xのフォローもぜひお願いします! -> @dragons_stats

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?