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R・マルティネス 実は器用な変化球投手?【2023ドラゴンズ個人成績分析 - 09】

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個人成績分析の第9弾は竜のお土産ことライデル・マルティネス投手です。
2023年も当然のようにセ界を無双したライデルですが、そんな彼の化け物スタッツを眺めていく回になります。データを見ていくと意外な一面もあって、面白い考察になるかも?

本記事のデータは、主にNPB公式および日刊スポーツ様から集計しています。独自集計のデータがほとんどですので、一部実際の数値とずれている場合があるかもしれませんがご容赦ください。もし見つけたら教えて頂けると助かります。



2023シーズン成績まとめ

ライデルの2023シーズン成績は以下の通り。

R・マルティネス 2023シーズン主要スタッツ

防御率・K%(奪三振率)・BB%(与四球率)・被打率・被OPS・WHIPすべての指標で圧倒的です。特にコメントすることもないぐらい圧倒的ですね(笑)

強いてコメントするのであればBABIPでしょうか。BABIPとは、フェアゾーンに飛んだ打球のみを母数として算出した打率で、多くの場合で3割前後に収束することが知られています。ライデルのBABIPは.291であり、やはり3割に近い値になっていることが分かります。最初にこの指標に気付いた人すごいですよね。

球種別スタッツ

続いて、球種別のスタッツを見てみます。

R・マルティネス 球種別スタッツ

ストレートとフォークの投手に思われがちですが、実は多くの球種を操っています。

平均球速155.7 km/hのストレートは、当然のように高いWhiff%(空振り率: 空振り/スイング)を誇っています。一方で、意外にも被打率は3割に近くなっており、狙われたときにヒットになりやすい球種であることが分かります。

ウイニングショットはフォークボールで、50%に迫るWhiff%と1割台前半の被打率で、絶大な信頼を置けるボールです。平均球速146 km/hのフォークって(笑)

3番目に投球数が多い球種はスライダーです。勝手にナックルカーブのようなボールかと思っていましたが、記録上はスライダーだそうです。こちらも30%を超えるWhiff%と1割未満の被打率で、圧倒的な球種になっています。

また、チェンジアップもそれなりの球数投げているようです。あまりイメージにありませんでした。こちらも30%のWhiff%を誇り、1本もヒットを打たれていません。また、2球だけシュートが記録されているようです。水平方向の変化成分が多かったストレートがシュートとして誤検出された可能性もありますし、試しでツーシームのようなボールを投げた可能性もあります。どちらにせよ球種の一つとして考えるには少し投球数が少なすぎるかなと思います。

フォークがとにかくエグイ

さて、187球を投じてその2/3で打者のスイングを誘い、その約半分で空振りを奪っているフォークボールについて詳しく見てみましょう。下の図は、フォークの打撃結果のピッチチャートです。結果球となったボールのみをまとめています。

R・マルティネス フォークの打撃結果ピッチチャート

低めに決まったときは当然高い割合で三振を奪っていますが、実は高めに行ってしまった場合でも全然打たれていません。ライデルの場合はストレートの出力がすごいので、フォークは低めを狙いつつコマンドが多少アバウトでも十分抑えることができそうです。

ストレートは意外に打たれている?

続いて意外にも被打率が3割近くあったストレートについても深堀りしていきましょう。今度はストレートと変化球に分けてスタッツをまとめてみました。

R・マルティネス ストレート/変化球別スタッツ

変化球と比較すると、ストレートは多くの指標でリーグ平均に近い数値になっています。被OPSは.681と十分低いものの、やはり被打率.296は少し意外ですね。この理由ですが、BABIPが非常に高くなってしまっていることが挙げられます。

BABIPは先ほども述べた通り、多くの場合で3割前後に収束することが知られています。それに対してライデルのストレートのBABIPは4割を超えてしまっています。ちょっと運が悪いですね。その分変化球のBABIPが1割台なので、帳尻は合っているのかもしれません。

続いてストレートの打撃結果のピッチチャートと、ゾーン別被打率を併せて見てみます。

R・マルティネス ストレートの打撃結果ピッチチャート
R・マルティネス ストレートのゾーン別被打率

高めのボールの方が被打率が低く、三振を奪えていることが分かります。特にライデルのような威力のある速いストレートは、高めに投げ込むことでより効果的なボールになるのでしょう。ストレートは高く、変化球は低く。基本ですが、もう少し強く意識しても良いのかもしれませんね。

実は球種割合を登板ごとに変えている

最後に、登板ごとの球種割合の推移をグラフにまとめました。

R・マルティネス 登板ごとの球種割合の推移

グラフを見ると、登板ごとに球種割合を大きく変えていることが分かります。目安としてストレートは30~90%、フォークは20~50%、スライダーは0~70%の間でそれぞれ変動しています。

これは、ライデルがストレートの出力に依存することなく、登板ごとに調子や相手打者などを見て工夫を凝らしながら抑えていることを意味しています。そりゃ誰も点取れないわ。

まとめ

最後まで見て頂きありがとうございました。
ライデル・マルティネス投手の2023シーズンの総括は、

  • 全てのスタッツがエグイ

  • 変化球は誰も打てない

  • ストレートは意外に被打率が高い(BABIPのせい)

  • 実は登板ごとに器用に球種割合を変えている

といった感じです。

こんなヤバい投手が今年もドラゴンズの一員にいてくれることがとても心強いと同時に、ありがとうという気持ちでいっぱいです(笑)2024年も9回はライデルが無双するイニングになりそうですね。彼がドラゴンズにいるうちに優勝できることを祈るばかりです。

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