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藤嶋健人 化け物ストレートの驚異的スタッツ【2023ドラゴンズ個人成績分析 - 15】

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個人成績分析の第15弾は藤嶋健人投手です。
昨シーズンも50試合以上に登板して超優秀な成績を収めた藤嶋投手。今回の記事ではその圧倒的な成績の源泉となる要素について、データの観点から探っていこうと思います。

本記事のデータは、主にNPB公式および日刊スポーツ様から集計しています。独自集計のデータがほとんどですので、一部実際の数値とずれている場合があるかもしれませんがご容赦ください。もし見つけたら教えて頂けると助かります。



2023シーズン成績まとめ

藤嶋投手の2023シーズン成績はこちらです。

藤嶋健人 2023シーズン主要スタッツ

いやー文句なしの素晴らしい成績ですね。このクオリティを複数年続けてきてようやく勝ちパターンのメンバーに入れそうという状況なので、ドラゴンズの中継ぎ陣の層の厚さを感じます。

細かく見ていくと、Whiff%(空振り率)、K%、BB%がリーグ平均以上、BABIP(フェアゾーンに飛んだ打球のみを母数として算出した打率)の低さに少し助けられつつも、被打率・被長打率・被OPSがいずれもリーグ平均を大きくアウトパフォームしています。どんなねじ曲がった人間でもこの成績に文句を付けるのは難しいでしょう(笑)

球種別スタッツ

続いて、球種別のスタッツを眺めていきましょう。なお、Whiff%と被OPSのみカッコ内でリーグのリリーフ右投手平均と比較しています。

藤嶋健人 球種別スタッツ(カッコ内はリーグのリリーフ右投手平均)

カーブだけ被OPSがリーグ平均より悪くなっています。ただし、被スイング率が30.4%と他の球種より低く、Whiff%もリーグ平均程度に高いので、打者としては狙いにくいボールになっていそうです。そもそもカーブは意表をついて打者の目線を上げるためのボールですからね。打撃成績の悪さはそれほど気にする必要はないでしょう。

また、フォークは被打率や被OPSの数字は十分良いのですが、Whiff%がリーグ平均を大きく下回っているのが特徴的です。スプリット系の小幅な変化のボールなのでしょう。空振りを取るボールというよりは打たせて取るボールと言えそうです。

一方えげつない成績になっているのがストレートです。平均球速が143 km/hにもかかわらず、リーグ平均を大きく上回るWhiff%を記録しています。おそらく藤嶋投手のストレートは回転軸が水平方向に近く、きれいなバックスピンに近いためにホップ成分の強いボールとなっていると推測されます。少しシュート方向に変化する一般的なストレートの軌道と異なるために、多くの空振りを奪えているのでしょう。まさにウイニングショットになりうるボールです。

ストレートのピッチチャート

というわけで、ここからはストレートのエグさを見ていく時間です。
下の図は、ストレートの打撃結果をまとめたピッチチャートです。結果球となったボールのみをプロットしています。

藤嶋健人 ストレート 打撃結果ピッチチャート

ストレートの奪三振は高めのゾーンに集中することが多いのですが、藤嶋投手の場合はどの高さでも三振が奪えています。彼の場合はゾーンめがけて比較的アバウトにストレートを投げ込んでも大丈夫そうですね。

ゾーンチャートの比較

では次はストレートのゾーン別被OPSを、リーグ平均と比較して見てみましょう。

藤嶋健人 ストレート ゾーン別被OPS
リーグリリーフ右投手平均 ストレート ゾーン別被OPS

リーグのリリーフ右腕は強力な本格派投手ぞろいなのですが、その平均と比較しても別格です。ほとんどのゾーンで被OPSが.500を下回っています。

上で示したピッチチャートと合わせてみると、被OPSの高いゾーンは1~2本の長打を浴びてしまったゾーンであることが分かります。ボールの力が落ちているのでは、といった心配は必要ないでしょう。

続いてゾーン別のWhiff%もリーグ平均と比較してみます。

藤嶋健人 ストレート ゾーン別Whiff%
リーグリリーフ右投手平均 ストレート ゾーン別Whiff%

特にストライクゾーンに注目してほしいのですが、ほとんどのゾーンでリーグ平均を上回るWhiff%を記録しています。中には30%を超えるゾーンもありますね(笑)

ストレートに限ると一般的には高めのボールほどWhiff%が高くなる傾向にありますが、藤嶋投手の場合は低めでも高いWhiff%を記録しています。先ほどのピッチチャートともよく対応する結果です。

そりゃ打たれんわ。

高めの変化球は危険?

比較のために変化球のゾーン別被OPSも示しておきます。

藤嶋健人 変化球 ゾーン別被OPS

変化球が高めに抜けると危険なボールになりうることが分かります。ストレートはアバウトにゾーンめがけて、変化球はしっかり低めに、といった意識が重要ですね。

どんな状況でも動じない男

最後に、対左右別の成績と、走者のシチュエーション別成績を見ていきます。まずは対左右別成績から。

藤嶋健人 対左右別スタッツ

続いて、シチュエーション別の成績。

藤嶋健人 シチュエーション別スタッツ

これらを見て言いたいことは、藤嶋投手は左だろうが右だろうが、ランナー無しだろうがピンチだろうが、球種の配分がほとんど変わらずパフォーマンスもほとんど変わらないということです。中継ぎ投手としてこれほど頼もしい存在はなかなかいないですね。

1点挙げるとすれば、得点圏でフォアボールが増える点でしょうか。対強打者の場面はフォアボールも選択肢になりうるので仕方ないと言えば仕方ないですが、得点圏でも全然打たれてないのでもっと強気にゾーン内で勝負しても良いのかもしれませんね。

まとめ

ここまでご覧頂きありがとうございました。
藤嶋投手の2023シーズンをまとめると、

  • 成績エグイ

  • ストレートのWhiff%が高すぎてエグイ

  • ストレートはどの高さでも空振りが取れてエグイ

  • 対左右・ランナー状況によらず安定したパフォーマンスでエグイ

  • 高めの変化球だけ注意

こんな感じです。

ストレートのスタッツがエグ過ぎて書きすぎてしまった感があります。
2024シーズンは本格的に勝ちパターンの一角として1年間フル回転してほしいですね。もうすでに節目の50登板はクリアしているので、次はやはり中継ぎのタイトルを期待したいところです。

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