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2023 中日ドラゴンズ大反省会 - 打者編

はじめに

皆さんこんにちは。ドラスタ | Dragons Stats (@dragons_stats) という名前で中日ドラゴンズの試合データなどを発信しています。プロ野球がより一層面白くなるようなデータを分かりやすい形で提供できるように頑張ります。良かったらぜひフォローして頂けると嬉しいです。

さて、2023年のシーズンが終わりました。我らがドラゴンズは今年も残念な1年になってしまいました。ポジティブなニュースよりもネタみたいなスキャンダルが多く、フラストレーションを溜めているファンの方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、今年の反省を来期に繋げるべく、試合データの集計結果から最下位低迷の原因がどこにあったのかを探っていきたいと思います。
「監督の采配が~」とか「フロントの金遣いが~」とかもあるかもしれませんが、ここでは試合データから分かる部分のみで論じたいと思います。

本記事のデータは、主にNPB公式および日刊スポーツ様から集計しています。独自集計のデータがほとんどですので、一部実際の数値とずれている場合があるかもしれませんがご容赦ください。もし見つけたら教えて頂けると助かります。

今回は打者編ということで、バッティングのデータにフォーカスしたいと思います。ドラゴンズは「打てない、打てない」と言われていますが、具体的にどの指標に問題があるのか、果たして本当に打てていないのか、そういった部分を深堀していきたいと思います。ぜひ最後まで読んで頂けると嬉しいです。

※この記事は最後まで無料でお読み頂けます!



得点数に最も影響する指標とは何か

皆さんもご存じの通り、ドラゴンズの得点力は12球団中でぶっちぎりの最下位です。セ・リーグ得点数トップのタイガースが555得点(12球団でもトップ)なのに対して、ドラゴンズはなんと390得点(!)と、165点も差をつけられています。

ちなみに12球団中11位のライオンズが435得点なので、11位にも45点差つけられています。セ・リーグだけで見ると、5位はカープの493得点で、他の4球団はいずれも500点を超えています。地獄です。

さて、この忌まわしき「得点数」ですが、どんな指標と最も相関が高いのでしょうか。得点数に最も影響する指標を改善していくことが、チームの得点力向上への近道と言えるでしょう。下の表は、NPBのサイトを参考にまとめたチーム別の打撃成績です。

2023シーズン チーム別打撃成績

この中で特に得点数と関係が深そうな、"打率"、"本塁打"、"出塁率"、および"長打率"に注目してみます。これらの数値と得点数との関係をプロットした図を以下に示します。

4つの指標(打率、本塁打、出塁率、長打率)と得点数の関係

圧倒的得点数下位3球団(ドラゴンズ、ライオンズ、ファイターズ)の指標がいずれも悪いためどれも似たグラフに見えるかもしれませんが、上位の方まで俯瞰して見ると、出塁率のグラフはプロットがかなり直線的に並んでいることに気付きます。

各タイトル横に示したR2の数値は近似直線を引いた時の決定係数で、1に近いほどプロットの並びが直線に近いことを示します。出塁率のR2は0.810と、他の指標よりもはるかに高いことが分かります。

もちろんこれは12チーム、1年分だけの結果なのでこれだけだと信頼性は低いのですが、出塁率が得点数と最も相関が高いという統計的事実は書籍「マネー・ボール」などでも示されています。したがって、今回の結果は過去の知見に良く一致していると考えられます。

ちなみに書籍「マネー・ボール」の中で、登場人物であるGM補佐のポールは、「出塁率は長打率の3倍、得点数との相関が強い」と主張します。そこで、(出塁率×3+長打率)を計算し、「ポール指数」として得点数とプロットしてみます。

ポール指数(出塁率×3+長打率)と得点数の関係

先ほどの出塁率とのプロットよりもさらに直線性が増し、R2は0.890まで向上しました!ポール・デポデスタは偉大だ…!

結論
得点力を高めるためには出塁率を改善することが最も効果的である。

ボール球スイング率

出塁率を高める上で重要になってくるのが、四球を選ぶことです。四球を選ぶためには、当然ボール球に手を出さないことが大切ですね。というわけで、チーム毎の出塁率、四球数、ボール球スイング率をまとめた結果が以下です。

チーム毎の出塁率、四球数、ボール球スイング率

ドラゴンズは出塁率、四球数ともに圧倒的最下位ですが、ボール球スイング率は最下位ジャイアンツの一つ上、カープと並んでワースト2位です。ドベではありませんが、セ・リーグで出塁率、四球数、および得点数すべてで2トップのタイガース、スワローズと比較すると、かなり悪い数値になっています。また、パ・リーグはセ・リーグに比べて全体的にボール球スイング率が優秀でした。四球数も全体的にパ・リーグの方が多くなっています。

やはりボール球スイング率は四球数と良く相関しており、この指標の改善が出塁率の改善に効いてきそうです。

続いて個人成績も見てみましょう。各チームのボール球スイング率のベスト3とワースト3(150打席以上の選手に限る)をまとめました。数が多くなってしまうので、セ・リーグのみ示します。

各チームのボール球スイング率ベスト3・ワースト3(150打席以上)

まず特筆すべきはタイガースのベスト3の優秀さでしょう。特に近本選手と大山選手は主力として約600打席立っているにもかかわらず、10%台のボール球スイング率を維持していたのは驚異的です。タイガース・坂本選手とスワローズの3人も200~400打席ながらボール球スイング率10%台と、素晴らしい数値と言えます。

さて、我らがドラゴンズはというと、トップは福永選手で23.1%でした。300強の打席数ではあるものの、ルーキーでこの数値は十分優秀と言えるでしょう。2位の石川選手は23.7%で、この時点ですでにタイガースのチーム全体の数値と同じです。タイガースの選手の選球眼がどれだけ優れているかを実感するとともに、やはりチーム全体としてボールの見極めを意識していく必要があるでしょう。

個人のファンの方には大変心苦しいのですが、ワーストの方に目を向けると、ワースト1位は龍空選手でした。今年はバッティングに苦しんでいましたが、ボール球に手を出してしまっていたのが大きな要因の一つと考えられます。守備はすでに一級品、あとは打撃をなんとかすれば球界を代表するショートになれるぞ、頑張れ龍空!

ワースト2位以降は少し評価が難しいです。大島選手はボール球をヒットゾーンに落とすのが非常に上手いため、見た目の数字だけで判断するのは危ないかもしれません。とはいえ大島選手の出塁率は.316と決して高くはないため、この指標の改善はさらなる出塁率の向上に寄与すると思います。

ワースト3位の細川選手も、ボール球を振ってしまうのはスラッガーの宿命、みたいな部分もあるのかもしれません。しかしながら、来年以降は相手投手からの警戒も強まると思うので、むやみにボール球に手を出さないことで出塁率の大幅な向上が期待できます。

ちなみにDeNAのベスト2位に京田さんがいました。

結論
京田サン…カエシテ……

1打席ごとの球数

よく「アウトにはなったけど相手投手にたくさん球数を投げさせた!よくやった!」という論調を見かけます。もちろんボールを良く見極めて四球を選んでいれば自然と球数を稼ぐことができますし、球数がかさめば相手投手は早いイニングでマウンドを降りることになります。粘って球数を稼ぐ戦法は一定の効果が見込めそうです。一方、基本的に打者は2ストライクに追い込まれるとたちまち打率が下落し、投手有利になります。この考え方では、早いカウントでストライクを取りに来た甘い球を仕留める方が有効に思えます。

どちらが良いかの明確な答えは無いと思いますが、チームとして、個人としてどの程度相手投手に球数を投げさせているのか傾向を把握することは意味がありそうです。早打ち傾向の選手は自分が狙った球をしっかり捉えられているのか検証すべきですし、他方じっくり待つタイプの選手は四球数や三振数などの推移を注意深く見ていく必要があります。

というわけで、まずはチーム毎の集計結果です。四球数も合わせてまとめてみました。

チーム毎の1打席あたりの平均球数と四球数

セ・リーグで見ると、四球数の多かったタイガース、スワローズはやはり1打席あたりの平均球数が多い傾向にありました。一方でパ・リーグの方を見ると、どのチームも割と似た値になっており、四球数との相関は薄そうに見えます。

この結果を見ると、1打席あたりの平均球数から四球数を予測するのは難しそうです。ちなみにドラゴンズはセ・リーグの中では多い方から4番目でした。なんとも言えない感じですね。

続いて個人の集計結果です。150打席以上の選手に限り、多い方から3人、少ない方から3人それぞれピックアップしました。今回もセ・リーグのみ示すことにします。

1打席あたりの平均球数(150打席以上)

こう見ると、タイガースの近本、中野、カープの西川、秋山、ジャイアンツの岡本、坂本、スワローズの村上と、チームの主砲と呼ばれる選手やイヤらしいイメージのある選手は1打席あたりの平均球数が多い方に分類されています。投手側の立場から見るとどうしても際どいコースで攻めざるを得ない相手なので、自然と球数がかさんでしまうのでしょう。

ドラゴンズを見てみると、多い方から木下選手、高橋周平選手、細川選手でした。一方少ない方から並べると、龍空選手、カリステ選手、大島選手となっています。この中で最も意外だったのは大島選手でしょうか。非常にコンタクトが上手くファールで粘れるイメージがあるので、早打ち傾向だったというのは驚きです。

結論
チーム: 1打席あたりの平均球数は、四球数とはあまり相関が高く無さそう。
個人: 強打者は球数稼ぎがち。

凡打の打球傾向

続いて、打球の性質にも注目してみましょう。打球は大きく分けるとゴロ・ライナー・フライの3種類に分けることができます。一般論として、それぞれがヒットになる確率は、ライナー >> フライ > ゴロです。したがって、ゴロの割合が少なければ少ないチームほどヒット性の当たりが多く、得点力が高いという仮説が立ちます。

これはあくまで感覚的な話なのですが、今シーズン、ドラゴンズの試合を見ていて「ゴロアウト多いなー」と思うシーンが多々ありました。実際にドラゴンズはゴロアウトが多かったのでしょうか。また、このことはチームの得点力不足と何か関係があったのでしょうか。

そこで、各チームの打球の性質の割合をまとめてみました。残念ながら手持ちのスコアデータでは全打球の性質を調べることができなかった(ヒットがゴロ性の打球だったのかライナー性の打球だったのか区別がつかないため)ので、アウトになった打球のみ集計しています。したがって、特にライナーは実際の割合よりかなり少なくなっていると予想されます。全打席数に対する割合をそれぞれ算出しています。

各チームのアウトの打球の性質(対全打席)

ドラゴンズは12球団中最もゴロアウトの割合が高いという結果になりました。この集計が実際の打球割合を完全には反映していない可能性は高いですが、それでもやはりゴロアウトの割合が最も高かったという事実は問題であると言えます。

ではこれらの数値は得点数と関係しているのでしょうか。プロットして確かめてみましょう。今回は得点数のほかに、本塁打数、出塁率、長打率もプロットして比較しました。

各打球性質の割合と得点、本塁打、出塁率、長打率との関係

いずれも正直微妙な感じです。今回の結果からは、打球性質と各打撃指標との間に相関は見られなかったと言わざるを得ません。一つ可能性を挙げるとすれば、全アウトではなく全打球を分類した数値を用いた場合、結果が変わってくるかもしれません。

結論
ドラゴンズは全打席数に対するゴロアウトの割合が12球団中最多。
ただし、全アウト打球の性質と得点、本塁打、出塁率、長打率の間に明確な相関は見られなかった。

リリーフ投手に対する打撃成績

今シーズンドラゴンズの試合を見ていて、「相手のリリーフ投手から全然点取れてないんじゃないか」という印象を受けていました。早いイニングから相手の先発投手を打ち崩した試合がいくつかありましたが、その後に出てくるリリーフ投手から追加点を奪えずにジワジワ追い詰められていくことが多かったように思います。また、少ない点差のビハインドで終盤まで付いて行った試合でも、相手リリーフに手も足も出ずそのまま逃げ切られるという展開がほとんどでした。

そこで、対先発投手と対リリーフ投手に分けてチーム別の打撃成績を算出してみました。打率、出塁率、長打率、OPSの4項目を比較しています。なお、今回もセ・リーグのみの結果を示します。

対先発と対リリーフのチーム別打撃成績

まとめてみた結果、ドラゴンズは対先発OPS .631に対して対リリーフOPSは .564と、想像以上にリリーフ投手に対する打撃成績が悪いことが判明しました。出塁率でみると対先発に対して対リリーフがそれほど落ちているわけではないのですが、長打率の落ち込みが著しいです。まさかOPS5割台半ばで長打率2割台とは…

この原因としては、以下が考えられます。

  • リリーフ投手の速いストレートに対応できていない

  • 先発投手に比べてリリーフ投手に対する分析や対策が不十分

  • 試合終盤に打撃方針を変えている(それが上手くいっていない)

どれも可能性がある、というか、これらの原因が複合的に絡んでいるのかなと思われます。いずれにせよ、リリーフ投手に対する打撃成績がここまで悪いのはかなりの問題だと思われるので、早急な見直しが必要でしょう。

他球団に目を向けると、広島、DeNA、巨人、ヤクルトの4球団は対先発と対リリーフでOPSはほとんど変わりませんでした。一方、タイガースは対先発に比べて対リリーフのOPSが0.06ポイントほど落ちており、意外な結果となっています。こちらもドラゴンズと同様、出塁率はそれほど落ちていませんが、長打率が大きく低下しています。(とはいえもともとの対先発OPSが.700近い高水準ですので、チームの得点力としてはそれほど問題にならなかったのかもしれません。)

結論
ドラゴンズは対先発投手に比べて対リリーフ投手の打撃成績(特に長打率・OPS)が大幅に低下する。

ストレートに対する打撃成績

ドラゴンズ打線に対して、「ストレートが打てない」という指摘をよく耳にします。これについてもデータを見てみましょう。

下の表は、チーム別のストレートに対するスイング率、コンタクト率、打率、長打率、OPSをまとめたものです。スイング率とは投げ込まれたストレート全球数に対してスイングを行った割合を、コンタクト率とは全スイング(対ストレート)に対してコンタクトできた割合(ファール含む)をそれぞれ示しています。打率、長打率、OPSについては、ストレートが結果球になった事例のみを用いて算出しています。

チーム別の対ストレート打撃成績(スイング率、コンタクト率、打率、長打率、OPS)

スイング率を見ると、ドラゴンズはジャイアンツと並んで12球団で最もストレートに対して積極的にスイングしていることが分かりました。さらに、コンタクト率を見ると、ベイスターズ、イーグルスに次いで12球団中3位(バファローズと同率)という結果でした。コンタクトもそこそこできています。

しかしながら、打率、長打率、OPSの数字を見ると、いずれも12球団中最下位となっています。ストレートに対する積極的な仕掛けが残念ながら実を結んでいません。やはり「ストレートが打てていない」という指摘は事実のようです。

続いて個人成績も見てみましょう。各チームのストレートに対するOPS上位3人と下位3人をそれぞれまとめました。例によってセ・リーグの結果のみ示します。

各チームの対ストレートOPSベスト3とワースト3(150打席以上)

ベスト3の方を見てみると、チームを代表する好打者がずらりと並んでいるのが分かります。やはり好成績を残すためにはストレートを捉える力が必要なのでしょう。

ドラゴンズに目を向けてみると、1位:宇佐見選手、2位:岡林選手、3位:福永選手という並びでした。他球団のベスト3と比べると少し数値は落ちますが、それでも高水準です。彼らを打線の軸に据えて鍛えていくのがチームの打撃力向上の近道になりそうです。なお、4位以降は、4位:カリステ選手(.797)、5位:木下選手(.796)、6位:細川選手(.752)と続きます。期待の石川昂弥選手は.672と、ストレートへの対応は課題です。細川・石川両スラッガーの対ストレートOPSの向上はドラゴンズにとって必須でしょう。

さて、心苦しいですが下位にも目を向けましょう。高橋周平選手の対ストレートOPSは明確に課題です。今季は得点圏で良い働きを見せてくれた試合も多かったのですが、シーズン通しての出塁率やOPSは芳しくありませんでした。その主要因の一つが対ストレート成績ではないかと思われます。この指標を改善することが周平選手復活のカギになりそうです。ワースト2位は龍空選手で、彼も同様にストレートへの対応力が課題です。ルーキーの頃の鋭い打球をいち早く取り戻してほしいですね。ワースト3位に大島選手が入っているのは少し意外でした。やはり今季は例年と比べて打撃成績を落としていたと言えそうです。大島選手もまだまだ衰えて欲しくない選手なので、来季の改善に期待しましょう。

さて、もう少し対象を狭めて、150キロ以上のストレートに対する成績もまとめてみました。まずはチーム別の打率、長打率、OPSの数値から。先ほどの全ストレートに対するOPSも比較のために並べて示します。

150キロ以上のストレートに対するチーム別打撃成績(打率、長打率、OPS)

先ほどとはかなり違った結果になっています。あまり信頼できない指標ではありますが、打率においてドラゴンズが12球団中トップの成績となりました!ただし、長打率が低いことが影響してOPSは12球団中11位という結果でした。

他チームを見ると、150キロ以上に絞ることでかなりOPSが変化しているチームがあります。スワローズやホークスが特に顕著に低下しています。ちなみに対象打席数は350~600打席ほどですので、選手1人分の年間の打席数に近い値です。値自体の信頼性としてはそれほど低くないと思われます。

続いて個人成績です。こちらは先ほどと同様、セ・リーグ各チームのOPSベスト3とワースト3をそれぞれ示します。

150キロ以上のストレートに対する各チームのOPSベスト3とワースト3(150打席以上)

先ほどとはメンツがガラリと変わっています。対象打席数が20~40程度なので、数値の信頼性が低い可能性は十分あります。とはいえ、150キロ以上に絞っても相変わらずベスト3にランクインしている岡本選手や牧選手などはさすがといったところです。

さて、ドラゴンズの結果はというと、1位:村松選手、2位:ビシエド選手、3位:龍空選手という並びでした。龍空選手は全ストレートで見るとOPSワースト2位だったのですが、150キロ以上に絞ると高水準のOPSを記録しています。

一方、ワースト3に細川選手、宇佐見選手、石川昂弥選手と期待のスラッガー3人がランクインしてしまったのは少し残念です。彼ら中軸を打つ打者の速いストレートへの対応力は来季以降の注目ポイントになりそうですね。

結論
ドラゴンズは12球団で最もストレートに対して積極的にスイングし・コンタクトしているが、長打率やOPSが12球団中最下位で積極的な仕掛けが実を結んでいない。

インプレーの打撃成績

ホームラン以外のフェアゾーンに飛んだ打球がヒットになる確率(BABIP)は、統計的にだいたい3割前後に収束することが知られています。もしこれが3割から隔たりがある場合どうするかというと、セイバーメトリクス的には「運が良い/悪い」で片づけてしまうそうです。

今シーズン、打撃面で特に運が良いチーム・悪いチームはあったんでしょうか。というわけで、今シーズンの各チームのBABIPを計算してみました。

各チームのBABIP

見事にすべてのチームが3割程度に収束していますね。極端に運が良いチームや運が悪いチームは無かったようです。強いて言えば、タイガースの.307は他球団に比べると高い値ではありますが、極端に高いと言えるほどではないと思われます。

残念ながらドラゴンズの貧打は「運が悪かった」で片づけることはできなさそうです。

BABIPがほぼ同じだとすると、差がつく要素としては、三振・四死球・長打・ホームランあたりでしょうか。ドラゴンズの打者のK%(三振数/打席数)は19.6%とセ・リーグで2番目に良い数値になっているため、やはり問題は残りの要素(四死球・長打・ホームラン)でしょう。結局さんざん指摘されてきた要素に集約されてしまうことになりますが…

結論
ドラゴンズは運悪くない。

さいごに

本記事のまとめです。
ドラゴンズの打撃成績を分析すると、

  • チーム得点数に最も影響する出塁率が12球団中最下位

  • ボール球スイング率が12球団中10位タイ:球団ベスト3は福永選手、石川昂弥選手、村松選手

  • 1打席あたりに相手投手に投げさせた球数はセ・リーグ4位(四球数との相関ははっきりとは見られず)

  • 12球団で最もゴロアウトの割合が多い(得点数などとの間に明確な相関は見られず)

  • 対先発投手に比べて対リリーフ投手の打撃成績が著しく低下する

  • ストレートに対して12球団の中で最も積極的にスイングしており、コンタクト率も最も高いが、OPSは最下位:球団の対ストレートOPSベスト3は宇佐見選手、岡林選手、福永選手

  • BABIPは.283であり別に運は悪くない

様々な媒体で指摘されている内容も多く含んでいたかと思いますが、こうやってデータを可視化・言語化するとより説得力が増して面白いなあと個人的に感じます。

本当はイメージよりも良いデータがあれば「過小評価されているぞ!」と叫ぶつもりだったのですが、残念ながら今回はネガティブなデータばかりになってしまいました。要するに打撃に関しては全てが課題ということですね。

見方を変えれば上がり目しかないということなので、これらのデータが来シーズンどこまで改善されるのかを今から楽しみにしたいと思います。

ここまで読んで頂きありがとうございました!本記事は以上になりますが、もしこの記事が面白かった!という方やドラスタを応援してくださる方は、お気に入りや投げ銭などして頂けるとすごく励みになります。(※以下有料部分となっていますが、投げ銭方式ですので本文はありません。ご注意ください。)また、良ければSNSなどでも拡散して頂けると嬉しいです。多くのファンの方の議論のタネになればいいなと思っています。

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次は大反省会の投手編を書きたいと思っています。打者編よりポジティブな内容は多くなると思うので、ご期待ください!ではまた!

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