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石川昂弥 実は巧打者タイプ?【2023ドラゴンズ個人成績分析 - 22】

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個人成績分析の第22弾は、竜の未来・石川昂弥選手です。
昨シーズンはひとまずの目標としていた2ケタ本塁打を達成し、規定打席にも到達。順調に成長していると感じさせてくれるシーズンでした。一方成績自体はまだまだ物足りない部分も多く、頭部死球による離脱など不運な部分もありました。今回はそんな石川選手の1年を振り返っていきたいと思います。

本記事のデータは、主にNPB公式および日刊スポーツ様から集計しています。独自集計のデータがほとんどですので、一部実際の数値とずれている場合があるかもしれませんがご容赦ください。もし見つけたら教えて頂けると助かります。



2023シーズン成績まとめ

石川選手の2023シーズン成績はこちらです。

石川昂弥 シーズン主要スタッツ

打率・長打率・OPSがいずれもリーグ平均程度の数値で、やはり少し物足りないと感じてしまいます。

一方で、ボール球のSwing%・Whiff%(空振り率)・K%(三振率)がいずれもリーグ平均を大幅に下回っている点が目を引きます。すなわちボール球の見極めに優れ、コンタクトにも優れているということです。にもかかわらずBB%(四球率)はリーグ平均よりもかなり悪い…なんでや…

対ストレート/対変化球別スタッツ

続いて、ストレートと変化球に分けてスタッツを見ていきましょう。

石川昂弥 対ストレート/対変化球別スタッツ

対ストレートの成績は少し寂しいですね。スラッガーとして花開くためには、まずはストレートを難なく捉えられるバッターになって欲しいところです。Whiff%が6.2%と驚異の値なので、コンタクト自体はできているはずです。あとはバレルゾーンで捉える確率が上がれば…といったところでしょうか。

一方変化球はリーグ平均以上の成績を残しています。こちらもボール球のSwing%とWhiff%がいずれもリーグ平均より優れ、コンタクト能力の優秀さが際立ちます。

特に対フォークの打撃成績がスゴイ

球種ごとの成績を見てみると、対フォークの成績が面白いことに気付きました。そこで、対フォークの打撃成績を、比較のために対ストレートと並べてまとめました。

石川昂弥 対ストレート/対フォーク別スタッツ

これまでドラゴンズの選手のスタッツをいろいろと見てきましたが、フォークに対してこれほど良い数字を残している打者は記憶にありません。そもそもリーグ平均でOPSが5割を下回るボールなのに、石川選手はなんと7割を超えています(笑)

他のデータもいろいろ見ていきましょう。まずは打撃結果のピッチチャートから。

石川昂弥 対フォーク 打撃結果ピッチチャート

三振の数がかなり少ないように思います。一方でホームランを2本打っていますし、長打も多いですね。OPS.738も納得です。ゾーン内に甘く入ってきたフォークはかなりの確率で長打にできる能力があります。

では、ボールの見極めはどうでしょうか。対フォークのゾーン別Swing%をリーグ平均と比較してみました。

石川昂弥 対フォーク ゾーン別Swing%
リーグ右打者平均 対フォーク ゾーン別Swing%

低めのボールゾーンに注目すると、石川選手はリーグ平均に比べてかなりスイングする確率が低くなっています。にもかかわらず、ストライクゾーンのスイング率はほとんど変わりません。ストライク/ボールの認識力に極めて優れていることが窺えます。

対ストレートにもスゴイデータが

OPSなどの指標で物足りなさがあった対ストレートですが、ちゃんとスゴイデータもありました。ゾーン別のWhiff%をリーグ平均と比較した結果が以下です。

石川昂弥 対ストレート ゾーン別Whiff%
リーグ右打者平均 対ストレート ゾーン別Whiff%

特にストライクゾーン内のWhiff%がいずれも1ケタ%台で、リーグ平均を大幅に下回っています。コンタクト能力に関しては、球種によらず非常に高いと言えます。

課題は速球を強く打ち返すこと

続いて球速帯別のスタッツを見てみましょう。

石川昂弥 球速帯別スタッツ

やはり球速が速くなるにつれてOPSが下がっていますね。140 km/h以上のボールをどれだけ強く弾き返せるかが今後の大きな課題になりそうです。

石川昂弥は巧打者タイプ

ここまでのデータを見ると、石川昂弥選手は完全に巧打者タイプと言えそうです。細川選手のような「空振りも多いけど当たったら飛ばすよ」みたいなスラッガー像とは違うと考えるべきです。

石川選手の明確な改善点は、コンタクトとボール球の見極めに非常に優れているにもかかわらず、フォアボールが少ない点です。この能力を活かしてフォアボールが増えてくれば、出塁率の大幅な向上が期待できます。そうすると、もしかしたら1番打者として大成するかもしれません。ちょうど全盛期のG坂本選手やYS山田哲人選手が1番を打っているイメージでしょうか。「飛ばす力のある巧打者」は球界を代表する打者にまで成長する可能性が期待できます。

石川選手は「未来の4番」と言われがちですが、もっと上位を打てる選手として育てるのも一考の余地がありそうです。

まとめ

最後までご覧頂きありがとうございました。
石川昂弥選手の2023シーズンをまとめると、

  • ボール球の見極めとコンタクトに非常に優れる

  • なのにフォアボールが少ない

  • 変化球、特にフォークに対する打撃成績が抜群

  • ストレートに対するコンタクトも優秀だが、OPSは低い

  • 飛ばす力のある巧打者は将来性あるでしょ

こんな感じです。

残念ながら開幕2軍が決まってしまいましたが、2軍でアプローチ面を見直して万全の状態で1軍に上がってきてほしいですね。将来のドラゴンズの中核を担ってほしい打者なので、今シーズンのさらなる飛躍を期待しましょう!

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