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梅津晃大 データが示した「お化けスライダー」【2023ドラゴンズ個人成績分析 - 05】

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個人成績分析企画の第5弾は、復活した未来のエース・梅津晃大投手です。トミー・ジョン手術から復帰した2023シーズンは、3試合の先発登板ではあったものの、来シーズンのローテーション入りに大きく前進する活躍でした。本記事ではその投球内容について詳しく見ていきます。

本記事のデータは、主にNPB公式および日刊スポーツ様から集計しています。独自集計のデータがほとんどですので、一部実際の数値とずれている場合があるかもしれませんがご容赦ください。もし見つけたら教えて頂けると助かります。



2023シーズン成績まとめ

梅津投手の2023シーズン成績は以下の通りです。

梅津晃大 2023シーズン主要スタッツ

3試合の登板ながら、防御率0.95と素晴らしい数字を残しています。被打率、被OPS、WHIPの値も申し分ありません。強いて気になる点を挙げるとすれば、Whiff%(空振り率: 空振り数/スイング数)が少し低い所でしょうか。すなわち、なかなか空振りを奪えていないことを示しています。

これらの数値は、登板数が少ないために多少極端に出ている可能性があることは認識しておくべきです。ただ、大まかな傾向を把握するためには十分有用かなと思います。

球種別スタッツ

続いて、球種ごとに分解してスタッツを見ていきましょう。

梅津晃大 2023シーズン球種別スタッツ

梅津投手はストレートを含めて5種類のボールを投げます。そのうちメインになるのはストレートとスライダーです。

最も目を引くのは、スライダーのWhiff%でしょう。41.7%という値は、髙橋宏斗投手のスプリットに匹敵します。分かっていてもバットに当たらない、まさに魔球といった感じです。被スイング率が比較的低いので、打者に振らせるような配球・コース選択などを突き詰めていけば、手の付けられないウイニングショットになる可能性を秘めています。

一方、ストレートのWhiff%は6.7%とかなり低くなっています(リーグの先発右投手の平均が13.8%)。ただし、被打率などの数字はスライダーと同程度に良いため、それほど心配する必要はないでしょう。もしかしたら梅津投手のストレートはホップ成分が少なく、シュート成分が多いボールなのかもしれません。このストレートがスライダーを引き立たせる良い役割を担っていると思われます。軌道を重ね合わせて見てみたいですね。

同様に、フォークもかなり特徴的な数値になっています。投球数が22と少ないため値が極端に出ている可能性が高いですが、それでも約55%の被スイング率に対して一度も空振りを奪えていないというのは何か理由がありそうです。そして1本もヒットを打たれていません(笑)平均球速が142.5 km/hとかなり速いことを考えると、梅津投手のフォークは落ち幅の小さいスプリット系のボールではないかと考えられます。

下の図は、梅津投手のフォークの打撃結果(結果球になったケースのみ)を示したピッチチャートです。

梅津晃大 フォークの打撃結果ピッチチャート

全てストライクゾーンに行っており、かつ全て凡打になっています。梅津投手のフォークは打たせて取る性質のボールと言えるでしょう。球数を抑えながら長いイニングを投げるためには、このようなボールの存在は心強いです。

というわけで、梅津投手の球種はいずれも個性の強いボールです。役割がはっきりしていて面白いなあと感じます。

対左右別スタッツ

続いて、対左右別のスタッツを見てみます。

梅津晃大 対左右別スタッツ

どちらに対しても抑えているのですが、特に右打者はかなり得意にしているようです。一方で、Whiff%で言うと対左打者の方が圧倒的に数値が良いです。左打者にとってあのスライダーが脅威になっていると思われます。

まとめ

ここまで読んで頂きありがとうございました。
梅津投手の2023シーズンをまとめると、

  • スライダーのWhiff%が異常

  • ストレートとフォークは打たせて取るタイプの球種

  • 対右の方が得意だが、一方で対左は空振りが取れている

といった感じです。

2023シーズンは、トミー・ジョンからの復帰登板を果たせたことが何より大きかったですね。2024シーズンは少し間隔を空けながら1軍ローテを回っていくことになるのかなと思います。シーズン通して投げることができるか、そしてどんな成績を残してくれるかとても楽しみです。

宏斗の成長曲線がおかしいせいでそちらに注目が集まりがちですが、本来の次期エース候補は梅津投手だと思っています。というか、近い世代で宏斗と梅津という本格派超プロスペクトが2人もいるなんてめちゃくちゃ贅沢ですよね。ここに小笠原慎之介を加えた3人で数年後のドラゴンズのローテーションを引っ張っていってくれることを願っています。これ投手王国では?

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