★知能研究者(21)

大卒、あるいはそれに準ずる知能とはなにか。企業はどんな知能を求めているのか。

計算能力→今はパソコンでだいたいの事務処理をこなせるので珠算一級持ってますとか暗算が得意です、などといった能力は強く求められないのではないか。それよりも、Excelでマクロを組めます、というような、各種のパソコン・アプリを使いこなす能力を魅力に思う企業が多いと推測される。

記憶力→これまたGoogle検索を用いればそれほど個人差なく、さまざまなデータを入手できる。極端に記憶力が悪いと業務に支障が生じることもあるかもしれないが。記憶力をすごく重視する企業は少ないのではないだろうか。

読み書き能力→日本語のみ。あるいは英語も。など、企業により相違がある分野である。顧客と締結する契約書、社内文書などをきちんと読み、内容を正確に把握できる能力を重要と考える企業が大半ではないか。なお、ビジネス文書をきちんと書く能力についてはOJT(仕事しながら学ぶ)とか、社内、社外トレーニングにより覚えてもらいましょう、というスタンスの企業も存在するだろう。

ユーモア感覚→いまだかつて、募集要項に「面白い話ができる人」と書いている企業を見たことがない。

問題解決能力→この能力の測定は難しい。大卒かどうかはそれほど関係ないかもしれない。なお、入社試験を工夫すればこの能力を調べることが可能だ。Microsoft、Google社の入社試験がとても参考になる。

以上、思い付くまま、書いてみた。はっきり申し上げて、大卒=知能が高い、と言えますかね。僕は少々疑問に思います。

企業に就職した先輩たちの話を聞くと、社内で活躍している人たちの共通点は

・知的好奇心が強い
・勉強熱心
・自分の頭で考える
・発想がユニーク
・部下を指導する力がある
・人間性に魅力がある
・変化に柔軟に対応できる
・明るく前向き
・仕事以外に趣味を持っている
・異性にモテる

などの性質があるようです。これらの性質って、大卒かどうかはあんまり関係ないですよね。

我が国は1995年あたりから30年近く、新しい産業を何も生み出せず、既存事業は中国、韓国、台湾などアジア各国に負け、経済が停滞しています。まさに一億総貧乏、といった様相です。

その原因はいろいろあると思いますが、その一つは企業が「大卒、あるいはそれに準ずる知能」というその中身を再定義しなかった、深掘りしなかったことではないでしょうか。


(つづく)

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