★国語教師(37)

長太郎は日常的に算数の問題を解いたり問題を考えたりしてますね。

僕の年齢をnとすると、長太郎の年齢はn-26、睦美の年齢はn+1、長次郎の年齢はn-27、睦美側の祖父の年齢は、、などという計算式を考えたり、次は自分や長五郎の年齢をnにして関係式を考えたり、

新宿駅から高円寺駅までは〇〇キロ。各駅停車に乗れば〇〇分で到着。ではこのときの電車の平均時速は?

快速電車の場合は?

などという計算をしています。彼のノートにはこのような計算結果がたくさん記されているのです。この世のすべてを数字で把握しようとしているのかも。地球と月の間の距離も調べてますね。我が家から僕の勤務先までの距離も長太郎は知っています。(笑)

長太郎の影響で弟たちも算数が得意になってきたようです。小学五年の長次郎はたびたび算数のテストで満点をとるようになりました。これは兄の指導が素晴らしいからでしょうね、間違いなく。

長太郎に算数を教えているのは睦美です。睦美は法学部出身ですが高校生の頃から数学が得意でした。僕も睦美に受験数学の勉強方法を教えてもらったのです。

なお、受験数学と本来の数学は全くの別物だと睦美が言っていましたが、僕はその違いが分かるほど数学を勉強しなかったのでよくわかりません。

3の二乗は9、4の二乗は16、これらを足すと25。5の二乗は25。従って

33+44=5*5

という関係が成り立ちます。このとき、3、4、5を「ピタゴラス数」というんですよね。このようなことを既に長太郎は知っていて彼はたくさんのピタゴラス数を発見し、メモ帳に書き記しています。Sign、Cosine、Tangentとはなにか、についても正確に理解しています。ノートにたくさんの三角形を書いて研究しています。

睦美と相談し、長太郎にノートパソコンを買い与えることにしました。長太郎は関数電卓など自分が算数の研究をするときに使う道具をパソコンで開発したいという希望があったのです。

薄給の僕からするとノートパソコンはたいへん高価な買い物ですが長太郎のために奮発して高性能のパソコンを秋葉原で買いました。長太郎はたいへん喜び、図書館からプログラミングの本をたくさん借りてきてパソコンでアプリ開発をやり始めました。Javaとかc言語に興味があるようです。家族の身長体重を調べてBMIを求めるアプリなどを開発しています。

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国語教師の能力ですけど、例えば相対性理論、量子力学を生徒に分かりやすく説明する能力は誰にも期待されていません。でも、それに甘えていいのか。

僕は相対性理論を非常に分かりやすく生徒に説明できる国語教師って、素晴らしいと思うんですよ。「それは国語教師の役割から外れている」というような考え方はイマイチかなあ、と思いますね。

国語教師自身がたくさん勉強して知識が増え、教養が深まれば、即座に授業の質が向上するんです。高度情報社会においてはたくさんの情報が日々大量に流れてきて、その情報が論理的に、科学的に正しいのかどうかを受け手自らが判断する能力が求められます。あ、このニュースは嘘だな、怪しいなとすぐに気付くかどうか。コロナ時代はたくさんの偽科学情報が流れてましたよね。それに振り回される人々も多かった。

生徒たちが科学的、論理的思考、Logicalシンキングの能力を身につければ、高度情報社会の中で溺れずに済むのです。だから僕は授業でも頻繁にScienceの話をしますよ。国語の文法ばかり教えたって、正しい日本語を使えたって、生徒がこの先幸せにたくましく生きていける保証にはならないんですよ。だから僕は「国語の先生が教える範囲はここまで」というような、柔軟性に乏しい考え方は排除して教務に臨んでいます。

一方、石上先生は非常に細かく英文法の話ばかりして生徒を責め立て、毎日毎日、英語嫌いな生徒を量産しています。(笑)

「ワタシハ、ニホン、サンネンマエデス、ニホンゴ、ムツカシイネー」と外国人がしゃべったら我々日本人は「あなた、日本語上手ね、どこで習ったの?」と褒めるでしょう。英語Nativeが日本人の英語を聞くときも全く同じなんですよ。完璧な英語は誰も期待していない。Brokenでも、身振り手振りでも、ちゃんと通じるんです。あー、この人は自分と真剣に会話したがっているんだなー、と相手に思ってもらうことが一番大事ではないだろうか。

間違いを恐れず話すこと。それが大事と理解していない文科省の役人、英語教師がたくさんいるので、英語に苦手意識を持つ日本人がたくさんいるんじゃないですか。

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