★知能研究者(19)

有村研究室は某企業からの委託で「漫才ロボット」を開発しています。守秘義務があるので詳しい話はできませんが、まあ一言で言うとかなり大変です。ロボットaがロボットbに何かを話しかけると、それに対してbが何か面白いことを言わないといけない。

これは会話データベースからその時その時の判断で各ロボットが会話を拾って発声するわけなんですが、たいして面白くない会話になることが多く、僕らが大笑いするような会話は滅多に発生しないんです。

これは何を暗示しているかというと、ユーモアのセンスというのはトレーニングである程度身につけることができるかもしれないが、だいたいは生まれ持ったセンス、というのがあって、それを後天的にかなりハイレベルな才能に磨き上げるのは困難かもしれないな、と。

隣の研究室の太田教授はたいへん陽気な人で、しょっちゅう冗談というか駄洒落を言うんですが、それがことごとく面白くない。(笑)

工学系の研究者としてかなり有名な、知能が高い先生なんですが、冗談を言って他者を笑わせる能力はあんまりないんですよね。

もし「お笑い学校」というのがあって、そこで学べば全員がジョークの名手になれる、というならずいぶんと貴重な学校になると思いますがあまり現実的ではないかもしれませんね。

サンドイッチマンの漫才で「レストラン」というのがあり、お客の伊達さんが店を訪れると店員の冨澤さんがいきなり「シェフがご挨拶したいと言っています」と言い、場内大爆笑です。

漫才のシナリオは冨澤さんが書いているようですが、彼は日常的に「○○が△△だったらどんな感じ?面白い?」というような、奇想天外な組み合わせを考えている人ではないでしょうか。想像力十分でないと良い結果が出せないお仕事だと思いますね。


(つづく)

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