★極道学園(63)

「悶絶・我孫子学園~女理事長の秘密」という小説を書いてポン社長に送ったあと極道温泉に入ってのんびりしていたら、いつの間にか寝てしまった。

......

目覚めたら俺は公園にいた。あたりを見渡したらすぐ側に老婆がいて、「龍太郎、龍太郎」と俺の名前を呼ぶ。いったい、あなたは誰?

老婆は言った、私はあなたの母親です。

俺はとても驚き、本当に?と聞き返した。

はい、そうです、私はあなたの母です。

老婆は俺の隣にぺたりと座りこみ、静かに語り始めた。

旦那の暴力に耐えきれず家を出たというのは俺の予想通りだ。あなたを置いて逃げてしまい申し訳ない。しかし、あのときはそれしか選択肢がなかった、本当にごめんなさい。毎日毎日あなたを思い、罪の意識に苦しめられていました。

俺は老婆に言った、全く気にしないでください、あなたが逃げた気持ちはすごくよく分かりますよ。俺だって、逃げたかった。俺が十七歳のとき、父が死んだ話を教えたら母は目を伏せ、しばらく無言だった。

老婆は泣きながら俺の手を握り何度も何度も謝った。龍太郎、ごめんなさい、ごめんなさい。

......


親分!親分!

俺は目覚めた。なんだ、夢か。それにしてもリアルな夢だ。母親の顔もはっきり覚えているし、手にはまだ母に握られた感触が残っている。

親分!
ポン社長がいらしてます。


園に戻ったらポン社長が応接室で待っていて、「親分、飲みに行きましょう!」と俺を誘った。もちろん断る理由は一つもない。人力車で銀座へ向かう。 

いつもの焼き鳥屋でポン社長と雑談していたらニチョウさんも店に来た。これは偶然である。俺たちは長らく雑談を続けた。

この店が使っている鶏は俺たちが育てたものだ。店主は味に大満足しており、俺は養鶏場をやって良かったなあ、としみじみ思った。この仕事は学歴を必要とせず、生き物に対して丁寧な考えを持っている人間が適している。鶏の気持ちをちゃんと想像できるかどうかが大事。

もし今後、この店主とかポン社長、ニチョウさんが我々の鶏の味に文句を言うとすれば、それは我々のやり方が間違っていると考えてよろしい。彼らは味覚が非常に発達した、当社の役員みたいな存在である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?