★国語教師(34)

学校に行かず、通信教育で学ぶ、つまりホームスクーリングですが、これ、どうなんでしょうね。小中は義務教育という法律の縛りがありますのでホームスクーリングは違法です。でも通信で学んでいる子はけっこういますよね。

杉並区の中野にも明聖高校という通信制高校があり、僕の職場や家から近いこともあって興味深く思ってますが通信制の学校というのは生徒がしょっちゅう学校に来ているわけではないので授業を見学したくても日程調整がけっこうキツいんですよね。だからこの高校を訪問したことはありません。

明聖高校のホームページには以下のことが書いてあるんです。

【学校での人間関係は、もっとも多いとされている不登校のきっかけです。特に、友人とのけんかや、学校でのいじめ、いやがらせは、不登校のきっかけの50%以上にも上っています。

また、部活動の先輩・後輩や、先生との関係がうまくいかないことがきっかけになっているケースも、それぞれ20%以上と非常に多い割合です】

学校に行くメリットっていろいろあると思うんですけど、一つは先生、クラスメートなど、たくさんの人々と会う、ということだと思いますね。ところがそのメリットがデメリットになる子供たちがいる。

もし僕の息子たちがいろんな理由で不登校になったらどうしようかなあ。睦美と相談になるでしょうが、おそらく彼女は「じゃあ、家でわたしが勉強を教える」と言うんじゃないかな。もともと勉強が得意ですからね、睦美は。僕自身、睦美に受験勉強の効率的なやり方を教えてもらったおかげで千葉大学に合格できたのです。

幸い五人の息子は通学を嫌がることが一度もなくてそれぞれ小学校生活を楽しんでいるようですね。特に長次郎はサッカーに夢中で土日も喜んで学校に行きます。長次郎はあまりに学校にいる時間が長いため我が家のことを「別荘」と言ってます。(笑)

長太郎は学校に親しい友達がたくさんいるため彼らと同じ中学に行きたいと希望しています。

ところで。

そもそもイジメって、なぜ発生するんですかね。人が集まるところ、必ずイジメがあるんでしょうか

皆さん、聞いたことがあるかもしれませんが新卒の先生を生徒たちがイジメることもあるんですよ。身長の低い先生が教室に来る前に、黒板消しをすごく高いところに置いたりする。非常に陰湿なイジメですよね。先生が黒板消しをやっと見つけて呆然としている姿を見て生徒たちがクスクス笑うんですよ。

子供たちは「この先生は絶対に反撃しない」という確信を持ってこのようなことをやります。仮に先生が怒っても全く恐くない。ちゃんとそのような先生を見分けてるんですよ。たいした嗅覚です。

イジメ案件って、なぜか加害者側が複数ですよね。単独って、あまりないのです。集団で危害を加えると罪の意識が薄まるからじゃないですか。仲間意識を保つため、仕方なくイジメに加わりました、同調圧力に負けましたと言い訳できる。

間違いなく彼らはイジメをエンタメとして楽しんでいる。最近はインターネットの無料掲示板を使った誹謗中傷も盛んです。他者の誹謗中傷が彼らの娯楽だ。しかも匿名だから自分は絶対に殴られない位置にいる。すごく安全でお金がかからない娯楽なのです。

ゆかり先生が言ってましたが、先生の後輩が航空会社の客室乗務員になったら、入社早々社内で彼女に対するイジメがあったそうです。バックや化粧品などの小物を隠されたり変な噂話を広められたり、部内の業務連絡事項がなぜか彼女にだけ通知されなかったり。彼女はかなり精神的な打撃を受けて円形脱毛症になった。全く酷い話ですよね。

子供も大人も年齢性別に関係なくイジメをやるんですね。僕は嫌だなあ、誰かをイジメるのは。相手に不満があるなら正々堂々、言論で戦えと言いたいですが、それができないから陰で行うんでしょうね。

戦争反対を唱える人々はたくさんいますが戦争は度々発生します。交通事故撲滅を願う人々はたくさんいますが交通事故は毎日必ず発生します。イジメ反対を言う人はたくさんいますがイジメは決して無くなりません。

結局、イジメの加害者って、心に傷がある人たちだと思いますね。気に入らない人を精神的に追い詰めて凹ます。それを見てすっきりする。心に傷を負う人々が誰かを傷付けるという負のループみたいなものですよ。

僕は今まで何回か担任をやりましたが、必ず「クラスで一番喧嘩が強そうな、ちょっと素行が悪いけど人望がある男子生徒」を選んで彼を番長に指名します。実際は福利厚生委員長と命名してますが。

そして彼に言います、クラスでイジメられている可哀相な子を見つけたら君が全力で守れ。弱き者を守り、巨悪と戦う、それが君の役目だ、矜持を抱いてこの任務を遂行せよと。

番長役の生徒は意気に感じ、一年間張りきってこの役目をやります。他の生徒は番長が恐くてイジメを決して実行できません。僕は番長の成績を三割増しにします。

結果、僕のクラスではいまだかつてイジメが発生したことが一度もないんです。阿部校長はこのやり方を「核兵器による平和維持」と言って絶賛してました。(笑)

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