★知能研究者(12)

有村研究室にはいくつかの罰金制度があり、たとえば誰かを「馬鹿!」と罵ったりすると500円の罰金です。大きなタヌキの貯金箱に500円を入れる必要があります。有村教授いわく、「人間の知能を構成する要素は多種多様であり、馬鹿という言葉はそれら全要素の否定に繋がる。それは科学的ではない」と。

今まで計算能力、記憶力、情報入力/出力、推理力などについて僕の考えを述べてきました。

では人類愛、隣人愛は知能でしょうか?

先日都内を歩いていたら小学校低学年の女の子が自分の身体の半分ぐらいの重い袋を引きずって歩いていたのです。

僕はそれを見て「大丈夫?家は近いのかい?」と声掛けをしたくなりました。しかし、我慢しました。昨今、見知らぬ若い男が幼児に声をかける、というのは何らかの誤解を招く可能性があるからです。

「重い荷物を運んでいる幼児を見て気の毒に思う」、これは知能でしょうか?

僕はしばらくの間、考えましたが答えは見つかりませんでした。

人類愛、隣人愛。母が赤ちゃんを思う気持ち。これらは知能とはまた違う事柄なのではないかと思います。愛はあくまでも愛であり、知能とは違う。これが僕の仮説です。

(つづく)

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