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76DAY ‐奥多摩日記2‐

 朝六時。何十といるのだろうか、大量のヒグラシが鳴いている。朝の目覚ましにしちゃうるさすぎである。それよりも不思議なことに六時間くらいしか寝てないのに(なぜか昨日十二時くらいまで寝れなかった)、すこぶるスッキリと目覚めていた自分があった。今日は合宿初日。参加生徒がたくさんやってくる。その為に次々と受け入れ準備をする。机と椅子の配置換え、料理の準備、ジャグにお茶入れ、おにぎり作り。できる限りのことをする。

 九時くらいになってぞろぞろやってきた。どいつもこいつも曲者ぞろいだ。不動の中学生作家コンビ、別名「村長」、多動症のまさにダイナマイト学生。しかしどの人をとっても凄い素質を秘めている。ひともみふたもみで幾らでも覚醒する人間たちだ。それにしてもこうも一気に人口が増えると、昨日に比べて更に体感温度が上がっている気がする。なんかとても暑苦しい。しかしその暑苦しさが、合宿のゴングを鳴らした。

 自分が今日やることは、雑草の生え過ぎで最早ジャングルと化した裏庭の除草だ。今日は本当に暑く、体感温度だけでも30度は優に超えている。早速道具を持ち、除草を始めた。軍手を付けた手でずっと草を引きちぎる。抜くたびに出るブチブチッという音が心地いい。逆に皮膚の表面を滴り落ちる汗がむず痒い。時間が経てど視界に映るのは土の色と草の色。臭うのは草の謎の匂いだ。時たまに蠅やアブが耳の近くを羽音を唸らせて通りすぎる。無心になってやっていたら気づいた時にはもう草が無くなっている。その快感がとてもいい。作業を終えた後のシャワーはとても気持ちが良かった。今までの疲れが流れるという感覚を感じていた。

 ところで家の中で勉強している参加生徒はというと、休み時間の時に行った川遊びの疲れが出て寝ている人が半分ではないか。それも高学年の人がほとんどへばり、低学年の人は元気である。これだから年を重ねると合宿参加者は川で遊びたがらなくなるのである。

 

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