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277DAY -農大オープンキャンパス行ってきた-

 東京農業大学は、1891年に榎本武揚によって設立された私立育英黌農業科に始まり、現在までに130年近い歴史を持つ私立大学である。今回は東京農業大学世田谷キャンパスのオープンキャンパスを訪れた。

入り口を抜けると、早速木々がキャンパスを包んでいる。「名は体を表す」である。
「農大の森」と呼ばれている樹高20m以上の保存樹からなる世田谷キャンパスを象徴する空間。
教室のある一号館内部。現代的な吹き抜けの空間に階段が組まれ、教室も統一感が感じられた。エレベーターも数が多く、機能性が充実している。教室からは他の建物や世田谷キャンパスを囲む緑を臨む。
奥の茶色の建物が一号館および農大のアカデミアセンターと呼ばれるエントランスにあたる部分。統一された色彩とガラス、周囲の木々が程よくマッチした壮観な外観になっている。この細長い空間は広場で、両側が建物で挟まれることで空気の通り道となり、常に風が吹き抜けている。
意外だったのが、キャンパス内に普通にコンビニがあること。生協などもあり、食品から本類まで大抵のものは揃ってしまいそうである。
写真右部の建物は農大サイエンスポートと呼ばれる世田谷キャンパス内の研究室全てが集う都内有数の研究施設である。
農大サイエンスポート入り口。

 農大サイエンスポート内部の写真が転載可能か不明なので、文字のみで勘弁してもらいたい。

 この建物のコンセプトが「地層」なのは、その名の通り一階から七階まで研究室が地層のように積み重なる様子から命名された。白を基調としたその内部は、まるでキャンバスに黒鉛筆で描かれたスケッチのように見える。そう思っていると、その中に一際目立つものがあった。それはエントランスの茶色い階段だった。農大の奥多摩実習林で伐採された木材を利用しているその階段は、今までタイルだった床から一転、踏み締める感触が不思議と柔らかくなったように感じた。研究室に向かう前の一歩一歩が踏みしめるものが自然の残り香とは、「自然」という初心を忘れさせないような設計にでもしているように感じる。
 廊下の天井はメッシュで、上に通るダクトや配線がよく見えた。それと真っ白な廊下、窓ガラスから見える器具やファイルが折り重なる研究室の内部とが、工学的で奇妙に美しいコントラストを成した。いかにも研究室という感じかと思えば、一転して外がよく見える建物の端の方にくると、そこからはキャンパスの行き交う人々と緑がよく見えた。
 そこに案内してくれた教授が言った。「造園には、美術や建築などベースにするものが存在するが、農大では農学をベースにした造園を考える。どんな時でも造園を感じるのは人間。だからこそ生物を扱う農学をベースにする造園を忘れてはいけない」

 帰りは新宿により、紀伊国屋書店で本への欲に耐え切れず一冊購入して帰った。「何事も人間が、生物がベースであることを忘れてはいけない」という言葉。これはある意味哲学であった。そのため、「専門の学習事項とは、あらゆる哲学を人間の可視化できる形で表現する行為である」と自分は思った。本こそまさに哲学に溢れている。いや、全てのものに哲学があるのだなと感じたオーキャンであった。

(趣旨が迷子?そんなことを言ってはいけない)

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