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麻雀を教わる時の "ためになる" 質問3選

はじめに


 先日、麻雀を教える際の悩みについてまとめた。

麻雀を教えるということ(新米講師の悩み3選)|どら (note.com)

 読んでいただき、本当にありがとうございます。


 最近時、とある人から「どう質問したらよいか分からない」という質問を受けた。

 今回は、麻雀を教わる時の "ためになる" 質問について記述する。
 質問した人だけでなく、質問された人も "ためになる" 質問を3つ取り上げてみた。
 麻雀を学ぶ人(今回は生徒側と呼称)が講師に対してどのような質問をすればよいか、一つの参考になると嬉しい。

答えに窮することもある。許してほしい。


① 打●●とすると、○○という利点があるが?


 この質問はとても建設的で、議論を深めることができる点で "ためになる" 質問である。

 麻雀とは打牌候補の比較を行い続けるゲームである。
 生徒側はこの質問を行うと、下記を講師側に示すことができる。

  1. 打牌候補として打●●があると認識していること

  2. 打●●の利点を○○と理解していること



 講師側はこの質問を受けたら、下記のような回答を行う必要がある。

  • 打牌候補として打●●が挙がるのは正しいか
     → 1.への回答

  • 打●●の利点は○○で正しいか
     → 2.への回答

  • 講師側が提示した打牌と比較して、打●●よりも優れている点はどこか
     → 1. と 2. がいずれも正しい場合、生徒が聞きたい回答

 
 このように、生徒の理解が一つ一つ正しいかどうか整理しながら、疑問の解消を行うことができ、建設的である。

 例を挙げておこう。


NAGA(ニシキ)は1m推奨

<質問>
 打5mとすると、123の三色を狙えるという利点があるが?


<回答例>
 打牌候補として打5mが挙がることは正しい。
 打5mの利点として、123の三色になる可能性があることも正しい。

 ただし、手牌価値より打1mで良いと考える。

 現時点でドラがr5pあり、ドラ7mも使用するとなると、ドラ2枚で打点的価値は十分。
 ターツは 89m, 13s, 79s といずれも愚形だらけのため、5m絡みでリャンメン等の良形を作ることで、速度的価値を上げたい。
 有効受け入れ枚数の違いは、
 ・打1m(5m残し):14枚 → 3456mの4種を受ける。46mで良形完成。
 ・打5m(1m残し):11枚 → 123mの3種を受ける。23mで三色変化。

 1mを残して、123三色のために最も嬉しい 2m or 3m をツモってきたとしても、完成するのは愚形ターツであって、ノーヘッドにつきヘッド次第で123三色が崩れてしまう。

 したがって、打1mとしたい。




② この書籍を引用すると、打●●の方が良いと考えるが?


 生徒・講師双方が書籍の情報を再確認することで、理解をより深められる点で、②の質問は「ためになる」質問だ。

 この質問ができるのは、書籍情報を持つ生徒に限られる。
 今回の打牌候補の比較に使える情報だと生徒側は考えて、この質問をしていると理解できる。

 生徒側はこの質問を行うと、下記を講師側に示すことができる。

  1. 打牌候補として打●●があると認識していること

  2. 打●●の方が良いという理由を、書籍で説明できると考えていること


 講師側はこの質問を受けたら、下記のような回答を行う必要がある。

  • 打牌候補として打●●が挙がるのは正しいか(①と同じ)
     → 1.への回答

  • 本局面に対し、書籍の該当箇所を引用できるか
     → 2.への回答

  • 講師側が提示した打牌と比較して、打●●よりも優れている点はどこか(①と同じ)
     → 1. と 2. がいずれも正しい場合、生徒が聞きたい回答

 この質問を講師側が受けた時、講師側は書籍情報を本局面に適用できるかを検討することになる。

 一例を示そう。
 生徒から下記状況について質問を受けた。

<質問>
 下家からリーチが入っている。
 打牌候補として4sワンチャンスの打3s4s筋の打7sがあるが、麻雀の2択(みーにん・梶本琢程 著)P19・P20を引用すると、4sの筋である打7sがより安全ではないか。

問題図。手牌価値より、安全度の高い牌を打牌したい。


 【情報1】
 麻雀の2択(みーにん・梶本琢程 著)P19・P20には、下記のような河で他家からリーチを受けた状態では、ワンチャンスの3pよりもスジの3sの方が安全であることが記載されている。

【情報1】ドラは西、ツモ3p

 上記の情報だけを引用すると、ワンチャンス3pよりスジ3sを切ることが正しそうに見える。
 
※厳密には、自分にだけ見えるワンチャンスと、誰からでも見えるワンチャンスは異なる。

 ところが、

 【情報2】
 同書P21・P22には、下記のような河で他家からリーチを受けた状態では、スジの3sよりもリーチ前に切られている牌の外側の3pの方が安全であることが記載されている。

【情報2】ドラは4m、ツモ6m

 つまり、生徒が提示した【情報1】ではなく、【情報2】を引用すれば、問題図はリーチ前に切られている3pの外側の打2pの方が安全だとわかる。
 
 講師は局面に合った情報を用いて回答する必要がある。


問題図の再掲。NAGA(ニシキ)も僅差で打2p推奨。


 そもそも、この質問は生徒側が書籍情報を持っていないと成り立たないため、このような質問を受けると生徒側の熱意を感じる。
 講師側の勉強不足も解消できるかもしれない、良い質問だ。

余裕そうに見える講師も、裏ではいろいろと調べたり考えたりしている



③ この局は自分では悪手が無いと思うが、講師目線ではどうか?


 「自分では悪手が無いと思う」ということは、生徒側にとって疑問の無い一局だったということである。
 つまり、生徒側は自身が考える "常識やセオリー" 通りに、本局を打てたということになる。

 この質問のメリットは、「生徒側が考える "常識やセオリー"が誤っている可能性を発見できるかもしれない」という所にある。

 生徒自身が気づいていない誤りや勘違いを正せる、そういう機会を得られる点で "ためになる" 質問である。

 講師側は1巡目から終局まで粗探しを行うことになる…!
 1打1打が本当に正しいかどうか改めて丁寧に比較を行うこと、地味ではあるが講師のトレーニングになると考える。




番外1:Aさんから、こっちが良いと聞いたのだが


 この質問は良い質問であり、悪い質問でもある。
 生徒側が "こっちが良い理由" を答えられなければ、Aさんから教わったことが活かされていないということになる。

 生徒側が改めて学び直せるという点で、良い質問である。
 何度も忘れて覚えてを繰り返して、強くなっていけたらよいのだ。
 (忘却曲線がイメージとして近いかもしれない。)


 講師側としても、Aさんが良いというのであれば….と再考する機会を得られるだろう。

番外2:素人質問で恐縮ですが


 止めてくれ その術はオレに効く


おわりに

 
 本稿では、生徒側だけではなく、講師側にとっても "ためになる" 質問を取り上げた。
 本稿を読み、質問する勇気が湧いてくれば嬉しい。

 生徒も講師も間違えるのだから、自信を持って、楽しく学んでいきたい。

 最後まで本稿を読んでいただき、ありがとうございました!


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