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No.7 キングダムから学ぶCSCA【総論】

今日の話はストーリーの詳細からは少し離れて書いてみる。コロナ対策には災害対応が求められるのは何となくわかるかもしれないが、災害医療という馴染みのない言葉について解説していこうと思う。

災害医療とは

災害医療とは、医療資源(ひと、もの、場所)が足りない状況で最大限の患者を救命することを目的とする。救急医療は全力で少数の命を救うのに対して、災害医療は少数の全力で多くの命を救うのだ。

だから、優先順位をつける行為が生じてしまい、これをトリアージという。早く助けないと死んでしまうものを優先的に選び、応急手当てをし、治療のできる病院へ搬送する。黒(助かる見込みがない)、赤(早く助けないと死ぬ)、黄(待てるけど治療必要)、緑(応急手当てだけで帰れる)と色分けをして、赤を優先していく。

厳密にいうと、コロナ診療はこのトリアージをしているわけではない。最も重症の患者にも最大限の治療(エクモや人工呼吸器)を行なっているのだ。

ただし、資源が足りないことは間違いないので、軽症の患者より重症の患者を優先的に病院でみたり、誰にでも人工呼吸器をつけているわけではないので、考え方は似ている。

災害医療の基本=CSCA

こうした患者の選別をする際に必要になる災害医療の基本がある。

それが、CSCA(シーエスシーエー)という言葉だ。

①C:(Command&Control:指揮/命令系統、統制)
②S:(Safety:安全)
③C:(Communication:情報伝達)
④A:(Assessment:評価)

この順番に体制が整って始めて災害医療が提供できるといわれている。(日本DMAT隊員養成研修等)

分かりやすく言い換えると、

①リーダーが決まり組織を作る。
②活動する際の安全(スタッフ、場所、患者)が確保される。
③情報伝達を行える体制がある。
④災害に関する評価をする。

これができて初めてトリアージをすることができるのだ。

※厳密にはトリアージT:Triage、治療T:Treatment、搬送T:Transportを含めて、CSCATTTとされる。

コロナ対策において、このCSCAをいかに国や地域単位で整えるかが重要になる。

ここでもやはりキングダムから学ぶ

キングダムでは災害医療が実践されているわけではないが、ストーリー中で、戦いの際にCSCAの構築が見事になされているため、次回からシリーズに分けて解説していきたいと思う。

天下の大将軍を目指した信も、最初は戦そのもの自体を理解していなかった。信が武将として成長していくにつれ、読者もなんとなく戦いのルールを覚えていく。王様が誰か、王都や城、戦地があり、軍師や将軍の指令をきくこと、どうやったら勝ちになるか、など。

なるほど、災害医療(コロナ戦)はこうやって戦うのか、と理解してもらえたら幸いである。

本文を読んで気づかれたりしたことや、別の解釈をされた方は遠慮なくコメントを頂戴したい。現場の誰かを批判したりするつもりは全くなく、あくまでキングダムに感謝するイチ医者が書き留めた記録としてご覧になられたい。

DR.RISHIN

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