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eスポーツドクターとしてEVO JAPAN 2024に参加した話
eスポーツドクターのREKKAです。
日本最大規模のeスポーツ大会 EVO JAPAN 2024にてeスポーツドクターとして協力させていただいた経緯、報告について、
X(旧Twitter)に投稿しようかと思ったのですが、長くなりそうだったのでnoteに投稿させてもらいます。
eスポーツ×医療というものについて僕なりの想いを綴りましたのでお時間あります時に一読していただけたら幸いです。
・格闘ゲームとの出会い
元々KOFなどは中学生時代に少し触っていたことはありましたが、
僕が格闘ゲームを真剣にやり始めたのは医学生時代の約15年前。
タイトルはストリートファイターⅣでした。
当時はネット対戦が主流の今と違ってゲーセンでプレイする環境であり、
自分は「RE:」という名前でフェイロンを使っておりました。
ただ勝ちたくて、強くなりたくて、当時の聖地といわれていた
新宿のタイトーステーションに入り浸っていました。
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いろいろ話すと長くなりますが、
大学を留年してしまったりと現実社会がうまくいかない毎日でした。
ただゲーセンにいけば年齢や職業など関係ない"リアル"な世界がありました。
今思えばゲーセン、格ゲーに自分の居場所を見出していたのかなと思います。
・医師になって
大学を卒業し国家試験を受かり、研修医として働きだしました。
学生時代と違って患者を目の前にすると
「ちゃんと勉強しないとダメだ」
と心から思うようになり、
格ゲーや音楽系バイトを辞め、医学に集中するようになりました。
定時などという概念はなく、24時過ぎまで医学書を読み漁り、患者と向き合い、
病院に泊まり込むことも珍しくなく
家に帰ると電気が止まってたりすることもありました笑。
当時まもなくしてストリートファイターⅤが出ましたが、
やるなら極めろ。という精神から中途半端に手を出す気にはなれず、
格ゲーからは、完全に遠ざかってしまうことになりました。
そこから約10年、医者としては麻酔科等を経験しましたが
困った時になんでも相談できる医師になりたくて、
救急医、総合内科医として現在働いており
年間1000台以上の救急車対応を現在も行っております。
・ストリートファイター6発売〜EVO Japan 2024発表
仕事も落ち着いて余裕が出てきた2023年6月に
ストリートファイター6が発売。
同じタイミングで地上波の連続ドラマ医療監修をすることがあり、
そこで自分の持っている医療知識が活かされることの楽しみを知りました。
そんな中で発表されたEVO JAPAN 2024
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"医療とeスポーツ"というテーマでなにか自分にできることはないかなと思い、
企画元のSony music solutions様に問い合わせを行い、
公式eスポーツドクターとして協力させていただくこととなりました。
・EVO Japan 2024での救護活動を通じて
当日に向けて血圧計、パルスオキシメーター、体温計、ペンライトなどのバイタル測定器具や解熱鎮痛剤や吐き気止めなどの薬の用意を行いました。
またX(旧Twitter)アカウントを作成、医療ボランティア募集等を行うなどし、
当日に向けて体制を整え、いざ迎えたEVO Japan 2024当日。
AEDの場所を医療スタッフで確認するなど緊急には備えておりましたが、
正直、ちょっと吐き気がするとか、感冒症状といった軽いものが多いのだろうなと我々医療スタッフも思っておりました。
しかし、実際は全然違いました。
私と、もう1人の対応した救急医の見解としては
救護室対応者のうちの約18%は救急搬送になったであろう案件でした。
(我々の対応で結果的に救急搬送とならずに済みました。)
個人情報故に詳細を述べることが難しいのですが、
スポーツと同様の負荷がeスポーツ大会では生じている可能性があります。
我々医療者にとってもインパクトのある出来事で、
大きなスポーツ大会で医師を置くことは常識化しておりますが、
eスポーツおいては医療界でも、その重要性は認識されておりません。
故に、学会や医学雑誌で発表すべき内容であると考えております。
「eスポーツはゲームとは異なる」
このことは医学的にも言える可能性があることがわかりました。
・eスポーツドクターとしてのこれから
ぶっちゃけeスポーツドクターの活動はEVOJAPANまでかなと思ってました。
需要もない自己満足な、独りよがりなことをやるつもりはないからです。
しかし、有難いことにX(旧Twitter)にて多くの人から反響や応援をいただき、
また実際救護活動を通じてその必要性を自分でも認識することができました。
これからもeスポーツドクターとして活動を続けることとしました。
・海外大会へのチームドクターとしての帯同
・大会前のメディカルチェック
・ゲーマーへの健康増進
・eスポーツに関する学術的な研究
・世間への"eスポーツはゲームとは異なる"という啓蒙活動
上記のことを行っていきたいと思いますが、自分の力ではどうしてもやりきれないと思います。
どうか1人でも多くの皆様の応援や力を貸してもらえたら嬉しいです。
もしも共感していただけたらX(旧Twitter)のフォローしていただけたら泣いて喜びます。
https://twitter.com/dr_rekka
・余談ですが
医学論文の検索サイトとして有名なサイトとしてPubMedがあります。
PubMedで"esports"と検索すると277の論文がヒットします。(2024年5月2日現在)
"sports"と検索すると460,324の件数がヒットすることから、
まだまだeSportsと医療は未開拓といえると思います。
余談ですが、"Fighting game"(格闘ゲーム)と検索しても全く出てきません。
医学的に研究の対象タイトルとなるのは殆どがMOBA(主にLoL)かFPSで格闘ゲームを対象としたものは見当たりません。
格ゲーを対象とした研究、協力者をみつけてやっていきたいと思っています。
・最後に
X(旧Twitter)で応援、拡散していただいた方、本当にありがとうございました。
よくわからない医者の呼びかけに、職リスクはゼロとはいえない救護の現場に長時間ご協力いただいた医療ボランティアスタッフの皆様にも感謝しかございません。
そしてEVO Japan 2024のスタッフ、ボランティアスタッフの方々、本当に素敵なイベントをありがとうございました。
eスポーツドクターってなんだよ(笑)みたいな感じが現状かもしれません。
でも、その必要性があると確信しております。
これから、それを体現していきたいと思っております。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※5月6日訂正
「eスポーツは単なるゲームじゃない」というのはeスポーツではないゲームを見下しているように捉えられられかねず、私の意図することではない為、
「eスポーツはゲームとは異なる」に訂正させていただきました。
※5月4日追記
「EVO Japanぐらい大人数の人がいれば、調子悪くなる人はいるはずで、
それをeスポーツが原因と結びつけるのは早々では?」というコメントがありましたので補足させていただききます。
"本来ならばスポーツなどの負荷時に発作が起きえる症状が、eスポーツ中に生じた"
故に
"eスポーツはスポーツともいえるのではないか"
という推論をした次第です。私以外の救急医も同意見であり、他医療スタッフも同様であったことから一定のコンセンサスが得られると考えております。
eスポーツ時はエネルギー消費量、酸素消費量、二酸化炭素生成量が大幅に増大するという論文があり、自分のX(Twitter)でも投稿しておりますが、この報告もeスポーツがスポーツであること示唆するものと考えております、
・eスポーツはスポーツであると判明
— REKKA|eスポーツドクター (@dr_rekka) April 21, 2024
ランクマやってるとなんか疲れません?
実は最近の研究でランク付け上位10%のeスポーツスポーツプレイヤーに対してゲームプレイ中は安静時と比較して"エネルギー消費量、酸素消費量、二酸化炭素生成量が大幅に増大する"と報告あり。
eスポーツは"運動"といえる。
※感染症対策について
noteには記載しませんでしたが、感染対策については急患者対応時使い捨て手袋着用及びマスクの着用、バイタル器具使用後の消毒指示など医療スタッフに行っておりました。また救護室のドアノブ消毒や会場スタッフが感染リスクのあるような対応を行った際は消毒などを行いました。
今回、eスポーツドクターとして運営からは「急病人に対しての救護対応の依頼」となっており、「来場者の手指消毒、デバイスの消毒やマスク着用の可能な限りを義務付けを呼びかける」といった公衆衛生的な部分は運営判断となっておりました。
2024年5月 現在、新型コロナウイルスは5類感染症となりインフルエンザウイルスと同等となっており、マスク着用に関しても"任意"と厚生省からの通達があることから、病院ではない公共の場でどこまで対策を行うのかは難しい話だと思います。
(余談ですが新型コロナウイルスは排ウイルス性の観点から隔離期間10日間としていたものが、いきなり厚生省から5日間で良いと通達があったとき、自分はコロナ病棟なども担当しておりましたが「じゃあ今までのはなんだったの?」となりました。本当に意見が分かれるところで難しい問題だと思います。)
生命健康ゼロリスクをとれば自動車事故の観点から車はなくすべきだし、タバコはなんで売ってるの?ってなりますよね。
ただ、個人的な見解としてそう遠くない過去において猛威をふるった新型コロナウイルスですから無視していい話ではないと思っております。
X(Twitter)上でもそのような懸念の声がありましたので運営に報告させていただいた上で、また自身の活動においてもより配慮を行っていきたいと考えております。