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同じ顔、みつめあう

おなじ顔がみっつ 見つめ合いたる
われのおとうとよ われの姉よと

我が家には、ふたりのそっくりな姉妹がいた。

いや、今もいるので過去形だとおかしいのだが、親の私から見れば大分ちがった顔をしているのだが、とにかくよく似ていると言われる。

そして、その姉妹に、弟が生まれた。
息子・おもちくんである。

これがまた、姉妹を足して2で割ったような顔をした赤ちゃんである。
そしてその赤ちゃんは、気管切開と経管栄養をしている。
写真を見た人は、赤ちゃんがほっぺにテープ、喉にごんぶとのチューブをつけていることには、医療的ケア児の関係者でもなければそう触れられないが、あまりに姉妹に似ているので、

『あら!おねえちゃんたちそーっくり!』

と述べられてつかの間の平和な空気を保てる程度にはそっくりである。

さて、そんなおもちくんが自宅に帰り、3人きょうだいが揃った。

とても仰々しい機械に囲まれ、居間の特等席ハイローラックに鎮座するおもちくん。
最初はビビりまくっていた、ちいさな姉たちは、すぐにその状況に慣れ、おとうとを見つめる。
おとうとは、まっすぐ姉たちを見つめ返す。

3人とも微妙にちがう、でも、そっくりな顔。

言葉なく交わされる3人の会話を、胸いっぱいに見つめていた。
夏のおわりの昼下がり、入道雲と、名残の蝉しぐれ。

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