DJ SODAさん性被害問題。迷走する議論を切る。麻生医師発言の論理も解説。

韓国人アーティストのDJ SODAさんが自身のライブイベントにて一部の観客から胸を触られる性被害を受けたとして警察に告発する事態となっている。

この件では、興奮するファンの手が届く範囲にまでDJ SODAさんが近づいてパフォーマンスをしていること、そしてセクシーな衣装であったことから、「触られるのも仕方がない」「露出の多い服装だからといって触ってよいはずはない」などの声が聞かれる。

「仕方がない」論と「露出度は関係ない」論が対決しているようだが、対決していること自体、ある二つの観点が混同されている。その点について解説したい。

まず大前提として、どんな衣装服装であろうと同意なく触ってよいはずはない。
よってDJ SODAさんが訴えるというならそのことに正当性はある。ここは間違いない。どの程度の量刑や賠償額になるかは個別の事情を勘案して決まるだろう。ここにはもちろん「軽微である」、「犯情が悪くない」などの事情で不起訴となることも含まれる。

では「そんな服装してるのが悪い」というのは100%間違いなのかというとそうとは言い切れない。
これを言うほとんどの人は、触った人が悪いのは大前提だということをはっきり言っている。つまり触ったやつは悪いということと衣装やイベントでのパフォーマンスのあり方に疑義を述べることは両立するのだ。
その論理が明示されないまま議論されているためになぜか対決構図になってしまっている。上に述べたように二つは両立するのだ。
どのように考えればよいかということを話そう。

不特定多数の人間がイベントに集まっているとき、そこにはお行儀のいい人もいれば、悪のりするおバカな人間も一定数いる。これはそういった悪のりがいいか悪いかではなく、そういう人間が一定数混ざるという事実を述べているにすぎない。
「露出度は関係ない」論の人もこの点は認めてくれるだろう。
そういった線を越える人間が0ではないという認識がある以上、しかるべき防御を講じるべきだというのが「仕方がない」論の人の言い分なのだ。ほとんど誰も犯人を擁護なんてしていない。
この論を頑迷に認めない人は、観客やパフォーマーを守るべき運営側の責任というものをどう考えるのだろう。触るやつが悪い、それでもそういうやつが会場に紛れ込んでいることが想定される中で、予防策を講じないでパフォーマーが被害に遭うのをみすみす見過ごす、そんなことで運営の仕事が適正になされたと考えるのかどうかということだ。
結局、「女の子が夜道を一人で歩くのは危ないからやめなさい」というレベルの話なのだ。

ではなぜ「露出度は関係ない」論の人はこの程度のことを認められないのか。
痴漢等の被害経験がある人にとってそれは本当に怖くて屈辱的で尊厳を踏みにじられた体験であるという。
これは男であっても、理不尽に殴られたりすれば、屈辱的な体験として何年も記憶に残るはずだ。暴力(同意のない、否応なく受ける力の行使)というだけで屈辱的なのに、それに加えてその内容が性的なものでもあるわけだから、被害体験に基づく感情にとらわれて論理が受け入れられなくなるのも無理はないのだ。他の話題を語るときには聡明な女性でもこの手の話題になると感情的であることが見受けられる。性暴力というのはそれだけ悪影響を残すものかということが、今回の議論で逆説的に露呈した形だ。

さて、今回の騒動に対して美容外科医の麻生医師が
DJ SODAさんのことを「反日当たり屋」「日本の若者を犯罪者にした」と発言したそうだ。
始めに述べたように、触った人間が罰せられるのは仕方がない。だから後者の発言には賛同しかねる。

では前者の発言はどうか。不特定多数の人間を集めてのパフォーマンスで、手の届く範囲にまでセクシー衣装で近づくことで被害に遭う状況を招くことは容易だ。ほぼこのようなことが起きることは予測できる。その意味で日本でのパフォーマンスでそのような状況を作り出し、日本を貶めることはテクニックとして可能だ。「露出度は関係ない」論の人たちが感情的に味方してくれるのも既定路線だ。よって彼女がどうかはさておきそのような当たり屋行為は少なくとも技術的に可能ではある。
彼女の意図や政治姿勢は私は知らないが、他国などでのこれまでの言動などの情報、(例えば他国でも似たような状況でのパフォーマンスがあって触られた経験があるか、その時にはどう対応したのかなど)から麻生医師の発言が妥当なのかどうかは少なくとも検証には値するのであり、検証自体を許さずにセカンドレイプなどと言うのはあまりに思考停止だ。
なぜなら被害者を騙って人を陥れたり利権を貪り続ける人というのはこれまでの世の中で0ではないからだ。それどころか今もそこらじゅうにいるではないか。今回の状況は予測できる上に意図的に必発させうること、そして感情的に味方する人が大勢いること、この二点から火をつけることは容易なのだ。

つまり触るのがいいか悪いかではなく、触る人間がほぼ必ず出てくるという現実があり、そしてそれをパフォーマー含めて皆が認識できるのだから、日本を標的とした当たり屋である可能性がある、これが麻生医師の論理となる。





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