勝ち抜け条件計算機と麻雀界の未来


皆さんは東一局0本場終了時点における点棒状況
何通り存在するか考えた事があるだろうか。

・出和了の場合と打点
・ツモの場合と打点
・流局の場合
それぞれのパターンを数え上げれば答えはでる。

これだけなら簡単に聞こえるが
リーチ棒のやりとりまで考慮すると
実際にはもっとややこしい。

西家がリーチした状態で北家がツモ
二件リーチで東家が出和了…など
これによってパターン数は急激に増える。

ルールによって違うが、全てを数え上げると
実はたった一局で5000パターン以上
点棒移動が起こりうる。

これにダブロン、トリロンありのルールとなると
一局だけで数十万パターン以上の決着の付き方
存在することになる。

( ^ω^ ) < ダカラ ドーシタ? ハゲ?

と思う方も方もいるかと思うが、
この事実が重要となる局面が存在する。


オーラスの条件計算だ。


オーラスでは各者の思惑が入り乱れるため、
自身だけでなく他家がどの程度打点を作るかを
考えながら打牌する必要がある。

麻雀警察が開催したAMリーグのような
複数人勝ち上がりのトーナメントの場合
この計算はかなり複雑になる。

例えば、下記は予選B卓オーラスにおける
ちゃんまりの予選勝ち上がり条件だ。

数字は最終着順。2着以上が勝ち抜けのルール。

実際にちゃんまりは
平澤からの3900直撃条件を見落としてしまった。
(アマチュアだし可愛いので許されるけど)


このような条件計算一つ一つは簡単な計算問題であり
本来なら誰でも時間をかければできるはずだ。

ただし全てのパターンをきちんと計算するには
かなりの時間がかかるので
1日で収録をしているAMリーグでは条件確認に
十分な時間が確保できなかったのかもしれない。


基本的に麻雀に時間制限はないので
条件計算に好きなだけ時間をかける権利がある。

ただし「見せる」麻雀では
ある程度の時間内で対局を終わらせる必要があるし
スムーズな進行が求められるのも事実だ。

そんな中で時間をかければ誰でも計算できる事を
わざわざ手計算する意味は何だろうか?

麻雀は条件計算の速度を競うゲームではなく
牌効率や押し引きで競うゲームなはずだ。

単純な計算など機械にやらせれば良いのでは


そんな思いで今回「勝ち上がり条件計算機」を
Excel上で試作してみた。

触ってみたい方はこちらから ↓
(試作版なのでバグだらけかも)

事前にツイートした所AMリーグの参加者からも
リアクションを頂けた。
ありがとうございます!

原理は簡単で、あり得る点棒移動を全て計算し
それぞれの場合の最終着順を表にまとめている。

AMリーグでは和了止めがないため
親の和了について考える必要はない。

今回のバージョンはAMリーグ専用だが
Mリーグルール、連盟Aルール、協会ルールなど
様々なルールに対応可能な汎用版も
需要があれば作成予定だ。

作り込めば
・ 和了止めありの場合
・ 通過順位も重要となる場合
・ 卓外にも競うべき相手がいる場合
など様々なケースに対応させる事もできる。

こんなツールを作ることで
オーラスの条件計算は格段に簡単になり
運営や視聴者の負担軽減に貢献するだろう。


麻雀対局の配信は少なくとも
10年以上前から普及し始めていて
Mリーグを機に「見る雀」の数も
爆発的に増加している。

そんな中で未だに解説者が紙とペンで
条件計算をしている姿に違和感を覚えないだろうか?

今回のツールは仕事の合間をぬって
一週間ほどで作成した。

恐らく本職のプログラマーが作れば
1日そこらで完成する代物だ。

一度ツールを作ってしまえば
条件計算の正確性もスピードも圧倒的に向上するのに
放送対局で採用されない理由はなんだろうか?

将棋の放送ではAIが最善手を示す一方
麻雀の放送では山に残った和了牌を
実況者が一生懸命に数えている。

この差は一体何だろうか?


個人的な意見だが、麻雀界における
「伝統的な」雀士と「デジタルな」雀士の対立が
遠因となっているのではないだろうか。

数字ではなく経験で麻雀を打ってきた世代にとって
麻雀の世界に数字を取り入れることに
抵抗があるのかもしれない。

数字上は明らかに得な海底ずらしを
「ツモ順をずらすべきでない」という理由で
しないプロ雀士が存在するのも事実だ。

神聖な対局を自動計算機やAIで汚されたくない
という気持ちがあってもおかしくない。

彼らからすれば
「数字よりも自分達の経験が遥かに大事だ」
という事になるのだろうか?


ただ、敢えて主張するならば
この考え方は理に適っていない。

何故ならば彼らが否定する「数字」こそ
「経験」よりも信頼できるツールだからだ。

たかだか数十年で培われた「経験」に比べ
「数字」は数千年の時を経て人類が手にした叡智だ。

プロ雀士の数とは比較にならない数の
数学者によって構築された理論を
「経験」という曖昧な概念で覆すことはできない。

「数字」で「経験」を否定することはできるが
「経験」で「数字」を否定することは許されない。


巷には間違った統計に基づいた
「エセデジタル」も存在するかもしれない。

ただ、これを否定することができるのも
また「数字」だけだ。

主張を客観的に正当化する手段として
「数字」以上に信頼できるツールは存在しない。

「数字」を否定する勢力が蔓延る限り
麻雀界の本当の意味での発展は
なし得ないのでは無いだろうか。


もちろん数字は万能ではない。

麻雀を全て数字で説明するのは不可能で
経験を重視した麻雀を否定するつもりは毛頭ない。

経験が物を言う局面が無数にあるのも事実だ。

ただ、経験を重視するあまり
数字を甘く見てはいけないと主張をしたい。

数学的に証明された事実は
経験的に信じ難いものでも受け入れるべきだろう。

伝統的な麻雀とデジタルな麻雀の良いところを
うまく融合させる事ができれば
麻雀という競技をさらに高いレベルに
磨き上げることができるのではないか。


以上、素人の出過ぎた意見になってしまった。

偉そうに意見しているが
業界のことは何も分かっていないので
全く的外れだったら申し訳ない。

何が言いたかったかというと
麻雀界でも慣習に囚われずに
新技術を取り入れるべきということだ。

AIを使えば自動で牌譜を作れるだろうし
有効牌の数をリアルタイムで表示しながら
打牌の善し悪し議論する事もできるだろう。

そういった新技術を取り入れて
麻雀界に新しい風を吹かせる事が
本当の意味での発展に繋がるのではないだろうか…


こんな意見に同意して
私のツールを活用したいという方がいれば
是非ご連絡下さい!!!

こんなツールが欲しい!という意見も大歓迎です。

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