第一期最終話! 遅れて来た味方、ケロッグコーンフロスティ 〜仲間たち〜 

幼き日の記憶

ウルトラマンティガが好きだ。俺が3歳くらいの時に流れてて、5,6歳の時に再放送か何かでハマった。これが借りて来たソフトじゃないと言い切れるのは、うっすらとウルトラマンの時間の合間に様々なCMを見たような記憶があるから。

ケロッグコーンフロスティ!の掛け声と、必ずどこかで勢いよく注がれる牛乳が妙に美味しそうで、今なお機会があれば買い求めてしまうからCMの力というのは偉大だ。

ところで、昔はケロッグコーンフロストだったらしい。知らなんだ……


あとこいつがトニーという名前なのも初めて知った。まじか……。まあ、今も食べてるから許してくれ。

そんなこんなで、朝の献立はコーンフレークを1.5人前とヨーグルトで鉄とカルシウム対策。

副菜としてはほうれん草とキノコの煮浸しのような何か。これは便利だなと思ったので後でレシピを書いておく。

背徳の揚げ物

昼食は前日の反省から、天ぷらうどんを選択。脂質と糖質を稼ぐ。ダイエットって、こう、普段の昼食から揚げ物を一つ減らすとか、そういう営みのはずなんだが脳がバグり倒す。

ちなみに俺は天ぷらうどんが結構苦手で、普段はあまり食べないのだが、ダイエットのためには仕方あるまい。どうせなら美味しい天ぷらを麺つゆに潜らせて食べられるから天ザルとか素麺と食べたい。

あとビタミンの調整で昼にゼリー飲料を飲んでおく。
ここまで来るとあとは詰将棋。

アスケンの女の倒し方その1

いよいよ決戦の時。一度は楽勝かと思われたアスケンの女バトル、居酒屋で酒を飲んでからは精神的連敗が続き、細かい栄養素にこだわるあまり全体のバランスに欠き、苦しく辛い思いをして来た。
あと、アスケンの女結構カロリーを要求してくるので夕飯をガッツリ食べないと追いつかない。

決戦の食事はこんな感じにした。

まず、主菜はうるめいわし。この手の魚は好きだしカルシウムが取れる。
納豆、トマトはいつもの健康エミュセット。レタススープは前に作った残りを再登板。
ご飯はカロリー対策で、ついにパックのご飯を買い込んだ。炊くの面倒だし……。キウイはアスケンの女が果物を一定量食わないと不足というので。

向かい合った女、その笑みの奥で彼女は何を思うのか。
いつの間にか、俺の背後にはトニーと牛乳くんが腕組みをして立っている。残業の後の食事を支えてくれたレタススープさん、秘儀麺つゆの煮浸氏、たまに食べると美味しい社食の天ぷらうどんどん。皆が一緒に戦っていてくれた。


最高得点、更新

「いや、あんたのいうこと聞いてたら食材の選択の幅がガンガン狭まって行くんだけど!?この上増やせと?こんにゃく君でも呼べというのか」
「あら?こんにゃくは食物繊維が豊富で素敵だと思いますけど♪」

視線が交わりばちばちと火花が散る。この得点に、俺は満足していなかった。この数値は、あくまで女の評価と指示をもとに、得点が出るように食品を選び抜いた結果だ。互換性も継続性も発展性もない。何より、遊び心がない。

「ちなみに、今日で1週間ですね。プレミアムサービスは終わりですが、明日からも彼らを食べ続けるおつもりですか」
「勝ち手順の一つとしては、これが答えなのは確かだけど、少なくともあと7セットは作るよ。それまでは、やめない」
「ふーん?」
「あんたにも、礼を言うよ。何度も何度も食材のカロリーや組み合わせを聞いて悪かった。正直あんたに言われなきゃ、自分がタンパク質過多の食生活だなんて気付かなかったし、ビタミンのバランスも意識できていなかった」
「いーえ。仕事ですから♬」

だが、俺はその返答が癪に触る。

「……ひとまず、明日は1日好きなようにものを食べてみる。あれがダメこれがダメと考え続けるのは結構しんどいんだ」
「たまにはいいですね。美味しいものを食べてください」

評価されるようにと評価者の提示する基準に自分を寄せて行くこと、それは競技としては正しい姿かもしれない。けれど、この食というフリースタイル戦場において、特定の基準にのみ準拠するのは随分と窮屈な戦略だ。

そして何より、俺はこの女に聞いてみたいことがあった。

「なあ、あんたは夕飯に何を食べる?あんたは何が好きなんだ?」

アスケンは途端に不思議そうな顔をして動作を止める。分かっている、この笑顔の裏には数多のデータと会話のプリセットとあとは虚無が広がっている。そこに何かを見出すのは、あくまで対話者である俺自身の意識だ。こいつは、俺の心を映し出す鏡だ。

それでも。

「また明日来る」
「お待ちしてます♪」

俺はあと6つの必勝レシピと、もう1つをこの女に見出すまでは戦い続ける。

(第一期完 第二期へ続く)

殿堂入りパーティー1 トミーと仲間たち




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