一敗地にまみれ 再起の一杯
敗因の分析
自信満々にアスケンの女に居酒屋飯を武器として挑み、ビール一杯からまさかの低得点敗北を喫したKudo130(γ-GTPが130のKudo)は、改めて酒を断ち、健康的な食事をもって強敵、アスケンの女に立ち向かうことを決めたのであった……
というわけで、敗北の後は感想戦、そして次の闘いに挑むのが成長には不可欠である。まず酒を飲むと大幅減点されることは分かった。これは簡単に対策可能だ、飲まなければよい。
次に考察したいのは、果たしてアスケンの女はどこをみて減点してくるかを探ることだ。また、どのくらいの食事内容だと安定して栄養素を稼げるのかも探求する必要がある。特に、カルシウムをどう取っていくのか。
というわけで、まず朝食の布陣は次のようにした。
トマト、ホウレンソウ、納豆、オムレツ(無塩)、ウィンナー、ご飯、みそ汁、牛乳。
カルシウムを補うために牛乳を飲んでみたのだが、結果からいえばこれは脂質を摂り過ぎる結果になったらしい。小魚などをうまく使うべきか？だが、それはそれで食塩が気になる……。カルシウムについては検討を続行する。
昼食は朝が遅かったこと、買い物のために午後はずっと外だったので、カロリーメイトゼリーを食べた。これはビタミンを随分沢山取れるので思ったよりよかった。野菜不足をアスケンの女から胡麻化す日の備えとしては一考に値する。
朝昼を終えた時点で、タンパク質と脂質とビタミンB1が不足気味であったので、夜ご飯には豚肉を使うことを決意。鉄対策としてほうれん草と納豆、あとはビタミンE対策で蕎麦を採用。(なお、後から知ったことだが、実は鉄を取りたいからほうれん草と納豆！というのはあまり効率が良いとは言えないらしい。人体に吸収しづらいらしく、レバーなどを食べるのが最速とのことだ)。カルシウムはしらすを食べることでカバーする。
アスケン女バトルにおいて、朝と昼は互いの手札を見せ合い、足りない栄養素を確定させた上で夜へと布石を打つ時間帯。ここからが本当の今日の戦いの始まりだ。
kudo130の夜レシピ 肉・ねぎの煮込みつゆの蕎麦
《材料》(2食分)
白菜 (1/4)
白ネギ 一本
豚肉(ロース) 200g
しめじ 1パック
卵 一個
蕎麦を食べるとき、俺は基本的に安いめんつゆを使うから、どうにかして味にブーストを掛けたい。手っ取り早いのは、麺つゆで野菜と豚肉ときのこを煮込んでやることで、ロースの豚肉と白菜にネギ、しめじを使うのがkudo定跡。しかし！ここでアスケントラップ発動！kudoは白菜を買い忘れた。
帰ってからしばし呆然とする。俺はまた負けるのか。しかし嘆いていてもしょうがない。足りない栄養分は朝昼のビタミン攻勢でカバーできていると信じる。過去の自分が、今の俺に前に進む力を与えてくれている。
まず、二人分のかけつゆに相当するだけの水とめんつゆを鍋に張る。火にかけたら、豚肉と切ったネギ、しめじを入れて、煮立つのを待つ。沸騰したら火を弱めて10分ほど。最後に卵を割り入れて固まるまで待つ。
並行して蕎麦を茹でる。蕎麦はたっぷりの湯で茹でるといい。そういえば、俺はそばを使う少女が出てくるストーリーを書いていて、巨大なそば切り包丁的な日本刀で戦うクールな戦いを手掛けて早半年。早く続きを書かねばならない。夏に間に合うといいな。
蕎麦が茹で上がったらさっと水で洗うのだが、水道水じゃなくて何かしらの飲用水で洗うのが好きだ。そして、出来上がったつゆを掛けて完成。
戦いの結果
この日は、慎重にレシピを組んだ。まずビタミン類をビルドして、その上でカロリーと脂質を重視しながら足りないビタミンを補いつつ、副菜も揃えてバランスがいい。このペースだと、90点台で俺の勝ちの筈だ！
結果は……！？
8、87点、だと……？いや、確かに勝利条件である85点は越えてきた。だがこんなに脂質が多いはずはない！俺は完璧な一杯を作り上げたはずだ……！
アスケンの女がニヤリと笑い、空になった鍋を指さした。空……空だと！？そんな筈はない、俺は二人前の汁を作った！翌日も同じメニューを食べられるように！
しかし、なんということか。俺は戦いの最中、蕎麦のあまりのおいしさに、鍋の中の肉を全部食べてしまったことに気が付いた。これでは計算が合うはずがない、完全に脂質オーバーだ。ついでにタンパク質の為に用意した筈の刺身も足を引っ張っているだと……？
「あまりにも、浅はか。2点分残ったのは朝と昼のあなたに免じてのことです。明日は期待していますよ」
踵を返し去っていく女の背に、俺は勝負に勝って何かもっと大事なものに負けた気がしていた……。これでは、いくら完全なメニューを用意しても無駄だ。美味しい料理を二人前目にしたとき、半分で止めるために必要なものは何か。それを追い求めるには、今日の俺は力不足だった。
(続く)
総合成績 2勝1敗
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