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科学は中立的で絶対的!?

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。

健康情報はもちろん、科学的な情報をいかに評価し活用するか、と言うのがとても大切な時代になっています。その情報の信頼性を分析し正しく評価判断できる、情報リテラシーの能力が個人に求められる時代とも言えます。

今回は、いかにその様な能力を高めるか、と言うところを書いてみたいと思います。

【補足】
本記事の見出し画像はDALL-Eで生成しています。
記事本文の記述に生成AIは使っていません。

【科学は分析評価は出来るが評価は得意だが、因果関係の断言は出来ない】

科学論文の多くは、注目している何らかの事柄に対して、集団間で統計的に有意とされる違いが出たかどうかで、その因子と結果に相関があるかどうか、を評価していますが、その因子と結果に、因果関係があるのか、と言うところは、考察で可能性を示唆するだけで、因果関係ありと断言することはほとんどありません。

またその論文で主張されている内容で、特定の個人に対して論文と同じことを行なった場合の結果を断定することも出来ません。ココは忘れられがちなことですが、とても大切なことです。

【科学理論は全て仮説に過ぎない】

科学に絶対的な信頼を持つ人も多いと思います。科学に携わる人であれば当たり前の事なのですが、どんな分野であっても、現在通説とされる理論は、「最ももっともらしい仮説」に過ぎず、その仮説で説明出来ないことについて説明する為の別の仮説を併用したり、新たな仮説が作られ置き換えられたり、を繰り返しているに過ぎません。

そして最先端の科学理論においても、自然界の極一部を説明しているに過ぎず、まだまだ人類には解明できていないことの方が多いのが現状です。

もちろん仮説の組み合わせであっても、素晴らしい成果をあげていますので、現状の科学が無意味と言う訳ではありません。完璧な絶対的な理論は存在しないよ、と言う認識をしておきましょう、と言うことです。

【情報は発信者の主観を反映している】

どの様なメディアであろうと、その情報を作成した人の思い込みや理解と言う主観な入り込むので、完全に中立的な情報は存在しません。そう言う意味では、組織や個人に関係なくあらゆる情報にはバイアスが存在すると言うことを理解しておくことはとても大切です。

【メディアの特集記事の問題】

全てのメディアが嘘しか言わないと言う訳では無いのですが、過去に捏造が発覚している様々な特集があります。テレビは多くの人が観ているので、それが発覚しやすいですが、新聞や雑誌も問題ある健康情報を発信していることは珍しくありません。

「流行」と言うのも本来は個人が良いと思うことが広まって自然発生するのが本来ですが、最近は服飾にせよ食べ物や飲み物にせよ、特定の人達により計画され意図的にマーケティングが仕掛けられ作られた「人為的流行」がほとんどなのも有名ですよね。

更に言えば、SNSなどのネット上については、健康情報に限らず、意図的なフェイクニュースや発信者も盲信してる誤った情報が拡散されていることが多いのは、皆さんご存知の通りかと思います。

【気をつけるべき情報の特徴】

「◯◯は健康に良い」或いは「◯◯は危ない」と言う様に断言をして、分かりやすくシンプルな言い方で、白黒ハッキリしている様な情報は、例え論文の数字やグラフを示して専門家が擁護していても、盲信すべきではありません。

と言うのは、本来の科学的知識は、無数の因子が複雑に絡み合っており、白黒ハッキリしてると言うことはほぼあり得ないからです。メディアの情報は、多種多様な情報から都合の良い部分だけ抜き出して強調して発信をしていることが多く、「メディア・バイアス」と呼ばれたりします。

【騙す情報の常套手段とは】

もちろんこの条件の情報全てが騙そうとしているとか、条件に合わない情報は信頼できる、と言う訳ではありませんが、これまでのトンデモ科学情報に多い傾向として次の様なことがあります。

・立派な肩書きの人のコメントがある
・難病や特定の病気や多くの人が悩む症状への言及がある
・「世界で唯一」などの限定性を過剰に強調
・断言し白黒をやたら強調している
・「特定の食品や物質だけ」で健康効果や害があると主張する
・「個人の感想」や「ビフォーアフター」を強調している
・耳障りの良い情報だけで「都合の悪い情報」には一切触れない

個人的に信頼できる人がいれば、その人の発信する情報を追うと言うのは良いと思いますが、広告や拡散されている情報などで、気になる情報を見かけたら、ぜひ上記のことを確認してみてください。

【情報を受け取る側の意識の大切さ】

なぜその様な発信がされて来たのでしょうか?読者などの受け取り手は、シンプルで白黒ハッキリした単純な話を好むので、視聴率や売り上げが上がりやすいから、と言うのが理由なのでしょう。

だからこそ、本来の科学に単純な話は存在しない、と認識した上で、あまりに露骨な情報は拒否して見ないようにする、と言う受け取り手の姿勢が、メディアの姿勢を変えることに繋がります。

【健康関連の情報の注意点】

話題になっている事象は、動物実験で起きたのか、人間で起きたのか?を確認します。加えて問題となる量の単位と数値を確認します。動物実験の結果の場合、人間で体重換算で置き換えた場合、特定の食材や物質を、丼単位やキロ単位で毎日摂り続ける、と言う様な量であることが多かったりします。

そして動物実験ではそう言う結果があるのは確からしいとしても、人間でそれが確認された事例があるのか、と言うところも確認しておくと良いです。世間ではやたら期待されたり問題視されてる様なことでも、動物実験での情報だけで、人間では確認されていない、と言うことはかなり多かったりします。

【科学論文における学会などの反省】

一時期、特定企業などがスポンサーとなり自社製品を擁護する様な偏りのある論文を作る様な依頼がなされ、中立的に見ると微妙な結果でも、考察などで擁護的な内容にする物が多々あり問題視され、現在では、特定の組織などから資金援助を受けるなどの、科学的客観性の確保や、被験者の利益を保護するという研究者や研究機関の責任に、重大なリスクを生じうるような「利益相反」が無いかどうかの明示が求められる事が多くなっています。英語で「conflict of interest」と言うので、 COIと略されることもあります。気になった方は、論文を確認する際にチェックしてみて下さい。

【言語の壁は突破出来る時代】

第二次大戦の米英主体の連合国の勝利により、国際的に英語が事実上の共用語になっている現在、国際的な研究論文や様々な先進的な情報のやり取りは英語で行われることが多いです。

その様な中で、日本語の情報は都合よく抜き出され紹介される形の物が多く、偏りが大きいと言われて来ました。その様な現状に対して、日本語でより中立的な情報発信をする専門家が増えて来ていますし、機械翻訳の正確性もかなり良くなっていますので、英語情報を検索して自動翻訳にかけて確認するのも良いと思います。

とは言え、英語情報の場合でも信頼性の高い情報もフェイクニュースも混ざっているので、「英語だから信頼できる」と言う様な認識は危険です。何語であっても「気をつけるべき情報の特徴」は変わりません。特に最近は文章にせよ動画にせよ、生成AIの性能が向上しているので、動画ですら疑っておく必要性が高まっています。

そして、誰でも無料でアクセス出来るPubmedの様なデータベースも英語で構築されています。その様な質の高い情報にアクセスしても、翻訳機能で日本語化すれば、要点を理解することは可能です。そしてPubmedに登録されている全ての論文の質が高い訳では無いことにも、注意が必要です。

【科学者的な情報への接し方】

ではいったいどの様に情報にアクセスし評価したら良いのでしょうか?トレーニングを受けた科学者が日常的な行っている、情報への接し方をご紹介しましょう。

・単純化され過ぎて白黒ハッキリした情報や感情論が中心の場合は相手にしない。

・その情報の発信源は何処なのか?: 学会発表された物なのか、或いはメディア発信なのか、特定の個人からの拡散なのか、などを評価します。発信源の一次情報が特定できない場合は、評価に値しないとして無視します。

・まず批判的視点で吟味する: その内容が間違っているのでは、と言う前提で吟味し、必要なら相反する情報などの多様な情報を検索し比較した上で、最終的に自分で判断をします。可能であれば、相互に関係のない3つの情報源からの情報を比較検討すると、より良い判断に繋がります。

・その情報で得をするのは誰か、被害を受けるのら誰か、を意識する。

・自分の知識や経験に固執せず、それらに反していたとしても、より信頼性が高い新たな情報は、否定せず追跡していく。

と言う様なことです。実際にやってみると、全然楽しい作業ではありませんし地味ですが、情報に踊らされるリスクはかなり低くなります。取り入れられそうなことをひとつでも試してみて頂けると、より踊らされにくくなりますよ。

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