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16時間断食は心血管死リスクを倍にする!?

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。
ダイエットや長寿に良いとされる16時間断食ですが、心血管系疾患による死亡リスクを91%増加させる、と言う報告が出ている様です。

実験報告としての質は、AHA(米国心臓協会)が発表していることから大丈夫とは思いますが、単純に16時間固形物を取らずに、8時間以内に炭水化物をドカ食いしているのであれば、当たり前の様な気がします。

16時間断食の前提としては、まず糖質依存症から脱却し、低糖質食に慣れた上で、食事や間食から糖質を減らし蛋白質や脂質を増やした上で、食べない時間を少しずつ増やしていき、一番体調の良い時間の断食を維持する、と言う順序を踏むことが大切です。

コレをやらずに糖質依存症のままで行うと、強烈な渇望的な食欲に耐え忍んだ後に、それを補うかの様に糖質を爆食して血糖値を爆上げさせる様なことになります。コレではインスリン分泌量が増えてしまい、血管内膜へのダメージが酷くなりますので、心血管系疾患での死亡リスクが増えても仕方が無いと思います。

いわゆる断食道場などで一時的な断食をする場合でも同じことが言えます。治療法や治療薬の評価では、厳格なプロトコルに則って行う傾向がありますが、食事法の評価について何故厳格なプロトコルに沿って、複数のやり方を比較したりせず、無理やり統計処理で複雑な多因子を均質化して見えない様にするだけなのか、少し不思議な気もします。

まとめますと、「8時間以内は制限なく何をどれだけ食べてもOK」と言う様な16時間断食は、健康に良くないのは確かな様ですが、16時間断食な全て悪いかどうかは、未検証と考えた方が良いでしょう。

せめて「高糖質低脂質中蛋白」「低糖質高脂質中蛋白」「低糖質中脂質高蛋白」くらいは同じ16時間断食でも比較しないといけないですが、循環器の専門家なので、栄養や食事については素人レベルの知識しか無いのかも知れません。キツイ言い方ですが、それくらい大雑把な比較しかしてないです。一応考察でその辺について触れてはいる様ですけどね。

「心拍数が早いと心血管死リスクが高く、心拍数が遅いと低くなる」と言うことから、脈を遅くする薬を使えばリスクを下げられる、とか言う仮説を立てたら、おそらくバカ呼ばわりされるでしょう。心機能が低下すれば心拍数は上がりますので、その状態で心拍数を無理やり遅くすれば、循環不全で苦しみが強くなり死ぬリスクが高くなる訳ですからね。今回の16時間断食についての報告は、それくらいいい加減と言って良いでしょう。

食事法の評価は、因子が複雑すぎるので、厳格なプロトコルを作るのが難しいのは確かです。
PFCバランスやカロリーだけ評価しても、何をどの様に調理してるかで、消化吸収の速さや代謝などは大きく違いますので、PFCバランスとカロリーが全く同じ食事でも、中身が変われば体に与える影響は全く異なります。そこをもう少し理解している人が関わらないと、食事についての科学的な評価は難しいと思います。

中医学的な食材の分類や、アーユルヴェーダ的な分類などで、更に体質別に評価をしてみるのも興味深いと思いますが、それをやるならアジア人の専門家が関わらないと難しそうです。

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