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Marble Phrogg – Marble Phrogg... (1968)

 1968年にデリックという地元の小レーベルから唯一のLPを発表したMarble Phroggは、オクラホマ州タルサ出身の5人組ということ以外は一切の経歴が伝わっていない存在だ。『Marble Phrogg...』はオリジナル盤が希少プレスであることに加えて、内容もCreamやJimi Hendrixといったハード・ロックからDonovanまで、サイケ・ロックの強力なカバーを網羅している。レコード・コレクター垂涎の的であり続ける一枚だ。
 「I'm So Glad」はブルースの古典だが、模範となっているのはもちろんEric Claptonのファズ・ギターのサウンドだ。Steppenwolfのヒット曲「Born To Be Wild」もオルガンこそないものの、Hendrixの「Fire」と同様に、元のボーカルやギターのスタイルを意識した実直な出来といえる。「Season Of The Witch」は、当時はVanilla Fudgeのように10分近いジャムにアレンジするのがトレンドだったのだが、本作では比較的Donovanの原曲に忠実に演奏されている。
 意外な選曲を挙げるとすればThe Rolling Stonesの「Connection」だ。後にKeith Richardsが好んでライブのレパートリーに取り上げるようになったナンバーだが、当時としては渋いチョイスである。シングル・カットされた「Love Me Again」は特に後半のギター・ソロが素晴らしく、B面となった「There's A Girl」は、The Byrdsの「I'll Feel A Whole Lot Better」と並んで本アルバムにフォーク・ロック特有の繊細な輝きを与えている。