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John Lewis – The John Lewis Piano (1957)

 クラシック音楽とジャズの融合を果たしたピアニストJohn Lewisは、The Modern Jazz Quartetの成功によってジャズ・シーンにおいて不動かつ独自の地位を築いていた。その代わりソロイストとして脚光を浴びることには無関心だった彼は、アトランティック・レーベルのプロデューサーNesuhi Ertegunから何度も説得を受けてようやく自身のリーダー作を作ることに首肯した。
 MJQの活動はもちろん、ヨーロッパ遠征や映画のサウンドトラック制作といった過密なスケジュールを縫いながら、『The John Lewis Piano』は1年以上の時間をかけて録音された。ところがそのサウンドには、当時のせわしなさなど全く感じさせない、静謐で抒情的なムードがあふれている。
 構成としてはMJQのリズム隊との演奏が半分で、もう半分はBarry GalbraithやJim Hallのギターとピアノが織りなすインタープレイ、というもの。オリジナルのブルース曲「D&E」は、MJQ版と比べるとより内省的な雰囲気を湛えているのがわかるだろう。後年Oscar Petersonのトリオもスインギーな解釈で取り上げており、こちらもぜひ聴き比べたい。
 「Warmeland」はGalbraithのギターとのデュオ形式が、程よい緊張感の中で展開する。この曲のラストにおける穏やかなトーンは、そのままHallとの「Two Lyric Pieces」に引き継がれていく。Hallは後にBill Evansともインタープレイの名演を繰り広げているが、本作では丁々発止でありながらも張り詰め過ぎることがないのが、かえって魅力となっている。この組曲は「Pierrot」と「Colombine」という2つのアイデアからなっており、これらは冒頭の「Harlequin」とともにMJQのアルバム『The Comedy』で再び取り上げられることとなる。