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Various – Mississippi Blues (1970 ?)

 Elmore Jamesのように強烈なスライド・ギターで幕を開けるこのアルバムは、Ike TurnerがTinaと結婚する前、RPMレーベルのミュージシャンとして活躍していた時代に交流のあった3人のブルースマンの録音をコンパイルしている。かつてケント・レーベルから発売された地域別コンピ・シリーズの一枚だったのだが、人脈はもちろんその内容自体もとても興味深いものである。
 Turnerのバンドに参加していたギタリストBoyd Gilmoreは、Homesick Jamesと同様にElmoreのいとこで、幼いころから互いに交流があったとも言われている。多くのブルース研究家が彼との接触を図ったが、その素性は今なお謎のままだ。「All In My Dreams」は前述のとおりElmoreの影響を多分に受けたナンバーで、ギター・パートをElmoreのレコードからダビングしたという疑いさえかけられたほどだが、真偽のほどは疑わしい。「Take A Little Walk With Me」はRobert Johnsonによる古典をシカゴ風にアレンジしたもので、こちらはストレートに本アルバムのコンセプトに乗っ取った出来といえる。
 「Superintendent Blues」と「Monkey Motion」の2曲は、ギタリストHouston BoinesとハーピストCharlie Bookerのコンビに、Turnerがピアノで参加した録音で、Sunny TerryとBrownie McGheeのように息の合った掛け合いが聴きものである。Gilmoreよりはいくぶんデルタ風の古いスタイルに近いが、「Relation Blues」のように白熱するモダンな一曲もある。