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Buddy Terry ‎– Awareness (1971)

 ニュージャージー出身のBuddy Terryは、10代の頃からジャズ・クラブのステージに立っていたたたき上げのプレイヤーだ。Dizzy GillespieやLionel Hampton、さらにはRay Charlesといったビッグネームのもとで培われた経験と、プレスティッジ・レーベルの諸作にも見られたソウルの感性、彼はそれらをこの内省的なタイトルのアルバムに目いっぱい詰め込んでいる。
 「Awareness Suite」は目まぐるしい曲調の変化を見せる組曲だ。Roland Princeのエレキ・ギターとMtuméのコンガをフィーチャーした熱いジャズ・ファンクを展開した後、第3部ではCecil Bridgewater、Stanley Cowellとソロの応酬を繰り広げる。〈団結〉というタイトルがついているものの、そこには馴れ合いの雰囲気は一切なく緊張感だけがセッションを支配している。
 アルバムのところどころでTerryはJohn Coltraneにインスパイア(思えば『Awareness』というタイトルも同様だが)されているが、全編に散りばめられた独自のファンクネスは、2人のベーシストを起用した「Humility」などにおける挑戦的なグルーヴの追求の賜だ。「Stealin' Gold」と「Abscretions」の2曲はCowellが提供したナンバーで、特にアフロビートのように重厚なアンサンブルが印象的な後者は、Charles TolliverのユニットMusic Inc.でも同年取り上げられている名曲だ。