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Codona – Codona (1979)

 アメリカ音楽がワールド・ミュージックに積極的に接近していったのはなにも70年代に始まったことではなかったが、短命なスーパー・グループCodonaが発表したファーストは、ジャズ史を見渡しても頭一つ抜けた出来の作品だ。Oregonの中核をなしていたマルチプレイヤーCollin Walcottと、前衛音楽の旗手Don Cherry、そしてブラジリアン・パーカッションの第一人者であるNaná Vasconcelosは、それぞれの名前から2文字ずつ持ち寄りグループの名前を決めた。これにはリーダーを決めないという対等な彼らの意志を感じ取ることができる上に、同時に3人の持ち味が見事なバランスで共存している音楽性の象徴ともとれる。
 10分を超える「Like That Of Sky」や「New Light」は、本場インド出身のプレイヤーを擁していなくても巧みなラーガ・ジャズを作れることを証明した傑作だ。カバー曲メドレーの「ColemanWonder」では、名前の通りフリー・ジャズとポップ・ソウルそれぞれの先駆者を礼賛している。突飛ではあるが、そのサウンドに不格好な隙などは一切ない。一方で、南半球のグルーヴが洪水のように押し寄せる「Mumakata」は、言葉の意味など分からなくともこの上なくポップだ。
 民族音楽とジャズをつなぎとめる役割のCherryだが、Walcottに触発されるように、トランぺットだけでなくフルートやアフリカ楽器の〈ンゴニ〉といった多彩な楽器を披露している。Walcottの急逝により3枚のアルバムを残すのみとなったCodonaだが、この真に先駆的なトリロジーは永久にジャズ・シーンを刺激し続けるだろう。