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dr_kobaia
Various – Dizzy Atmosphere (1957)
ビッグ・バンドのメンバーが夜な夜な集まって開いていた自由で気ままなジャム・セッション、というのがいわゆるモダン・ジャズ誕生の定説の一つとなっている。当時Dizzy GillespieのオーケストラのメンバーだったAl GreyやLee Morgan、Wynton Kellyといった気鋭のプレイヤーたちによる珠玉のセッション『Dizzy Atmosphere』は、リーダー不在であるがゆえの気さくさと、火花が散るようなテクニックのきらめきがアルバム全体を包んでいる。
演奏にはGillespieの支配は及んでいないが、当時ブルーノート第一作である『Indeed』を発表したばかりだったMorganの野心的なトランペット・ソロは、きっと誰の耳にも強い印象を残すはずだ。1曲目の「Dishwater」における目まぐるしいテンポの中で放たれるブロウは、いきなりアルバムのハイライトとなっている。普通こういった作品は参加ミュージシャンの連名として扱われるものだが、本作をMorganのリーダー作とみなす人が多いのはおそらくこの強烈な一曲のせいである。
スインギーな「D.D.T.」や、たゆたうような落ち着いたメロディの「Over The Rainbow」のように、ビッグ・バンド的なアンサンブルの傑作揃いとなっているのもまた本作の魅力だ。両者とも曲調は対照的なものの、いずれもBilly Mitchellの歌心のあるサックスがひときわ輝いている。
スウィングからビバップへの移行を聴く者に追体験させる一枚だ。