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The Flamin' Groovies – Supersnazz (1969)

 多くのガレージ・ロック・フリークから崇拝されるFlamin' Grooviesは、60年代サイケデリック・ブームの震源地だったサンフランシスコのバンドでありながら、長尺なジャムやヒッピー・カルチャーの影響を受けなかった稀有な存在である。彼らの一番の持ち味は、おなじみのロックンロールを誠実にかき鳴らすところにあった(それを味わうなら『In Person!!!』のようなライブ盤を聴くのもいいだろう)。
 『Supersnazz』は一流のロック・シンガーであるRoy Loneyと、質実剛健なギタリストCyril Jordanの黄金のタッグがいきいきとしていた時代の作品だ。彼らの掛け合いが生むサウンドは、50年代のR&Bと70年代のプロト・パンクをがっちりと結びつけているうえに、それを超えた80年代パワーポップの時代の到来さえも予言している。Huey "Piano" Smithのカバー「Rockin' Pneumonia And The Boogie Woogie Flu」の見事なブルースには何度聴いても驚かされるうえに、「The Girl Can't Help It」のポップなアレンジはRamonesをはじめとする後進のバンドへと受け継がれた。
 一方、強烈なギター・イントロで始まる緊張に満ちたブギ「Love Have Mercy」には、Magic Samの「Looking Good」を思わせる汗ばんだセクシーさがある。シングル・カットされた「Laurie Did It」や「Somethin' Else」も秀逸で、特に後者はパワー・ポップのサウンドを何年も先取りした名演だ。
 ヴィンテージなビジュアルを逆手に取ったようなアートワークは、このアルバムの本質をよくとらえている。〈ロックンロール〉と単純に括れない芳醇な世界が、このたった1枚のレコードの中に詰め込まれているのだ。